2016/09/25

Weekly Chess Puzzle Vol.29


Torma, R (IM, HUN, 2417) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
First Saturday 2014 December GM(9)
Black to move


Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057)
Japan Chess Championship 2014(2)
White to move

オリンピアード最終戦をSlav で勝ったことで、また少し自分の中でSlav熱が上がってきました。過去に自分で指したSlav のゲームを最近は振り返っていますが、その中で面白いメイティングアタックが出てきた例を、今夜はご紹介します。ここまで駒が減っていても、意外とメイティングアタックはあるものですね。答えが分かった方は、いつも通りコメント欄にどうぞ。

2016/09/22

Club Championship 2016 Day2 Tournament Report


大盛況だったクラブ選手権 Photo by Hasegawa

21日に行われた、クラブ選手権2日目のレポートです。初日を1勝1敗1ドローだった私たち、東京バイリンガルチェスクラブB は、4R で大学生を中心としたSophia A と2勝2敗のドロー、5R で中学生を中心とした麻布学園チェスクラブB を3勝1ドローで下し、最終戦で上位テーブルに戻ってきました。最後は東京大学OB とのマッチで、私は久々に石原くんとの対戦になります。

Kojima, S - Ishihara, T
Club Championship 2016 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 e6 4. Bg2 Bb7 5. O-O Be7 6. d4 d5?!



オーソドックスなQueen's Indian になるかと思いましたが、石原くんはここでd7-d5 を突いてきました。かつて小林くんとも指したことがありますが、このタイミングでポーンを進めるのは良くないと私は考えています。6... 0-0 7. Re1 d5!? であれば、黒はe4 をがっちりと抑えることで、Rf1-Re1 を無効化できるため、悪くないタイミングでしょう。しかし本譜であれば、白は理想的なRf1-Rd1 をテンポロスすることなく指すことができます。

7. cxd5 exd5 8. Nc3 O-O 9. Bf4 c6 10. Qc2 Na6 11. Rac1 Rc8?!


これも白にとってはラッキーです。Bg2-Bh3 はどこかで指しておきたい1手です。

12. Bh3! Ra8 13. Rfd1 Re8 14. Ne5 Bd6 15. a3 Nh5 16. Qf5



ここは私はチャンスだと思い、f5 にクイーンを進め、f7 を狙いました。別のアイディアでは、16. e3!? Nxf4 17. exf4+/= と指して、e5 のナイトをしっかりとサポートするのも面白いでしょう。

17... Bxe5!


私はこのアイディアを軽視していました。黒はここで黒マスビショップを諦めても、いずれf7-f6 から取りかえすことができます。

17. Bxe5 g6 18. Qd7 Bc8?!



これは予想していましたが、黒にとってベストではありません。18... Re7! 19. Qxd8 Rxd8 20. g4 f6! 21. gxh5 fxe5=

19. Qxd8 Rxd8 20. g4!?


ここは悩みながらも、20. Bxc8 Raxc8 21. g4 f6 (21... Ng7 22. e4!) 22. gxh5 fxe5 23. hxg6 exd4 24. gxh7+ Kxh7 25. Rxd4+/= ではなく、本譜をチョイスしました。異色ビショップでも、a1-h8 のダイアゴナルを抑えられるのであれば、十分に勝つアドバンテージがあると考えたのです。

20... f6 21. gxh5 Bxh3 22. Bxf6 Rf8 23. Be5 gxh5 24. e4 Kf7!?



この手は私にとって予想外で、少し困ってしまいました。黒からはRf8-Rg8+ というわかりやすいスレットがあり、h5 のポーンも絶妙に働けるようになってしまいます。ここでのピースサクリファイスを正確に読めず、白はここからアドバンテージを手放すことになります。

25. exd5 Rg8+ 26. Bg3 cxd5 27. Nxd5!?


27. Rd3! h4 28. Rf3+ Ke8 29. Nxd5 hxg3 30. Nf6+ Ke7 31. Nxg8+ Rxg8 32. Rxg3+/= サマーオープンでの山田くんとの試合でもそうでしたが、私は2ピース vs. ルークの形勢判断が少し苦手です。2ポーンを取り、a6 のナイトがプレーに戻ってくるのを遅らせば、ルークを持つ白が有利であると判断できませんでした。ただし、もちろん本譜も悪くありません。

27... h4 28. Nc7 hxg3 29. Nxa6?!



ここも恐れず、2ピースvs. ルークにするべきでした。29. Nxa8 gxf2+ 30. Kxf2 Rxa8 31. b4!+/= このポジションの形勢判断もまだまだ難しいですが、本譜は少し黒にチャンスを与えすぎです。

29... gxf2+ 30. Kxf2 Rg2+ 31. Kf3 Rxb2


マテリアルはイコールですが、黒の一番困っていたa6 のナイトを捌かせてしまい、ビショップvs. ナイトの構図にしてしまいました。この時点でチームの負けはほぼ決まっていましたが、個人賞のためにはこれを勝ちにいかなければいけません。

32. Rc7+ Kf6 33. Rdc1 Rb3+ 34. Kf4 Bg2 35. R1c3 Rxc3 36. Rxc3 Rd8 37. Ke3 Rd7 38. Rc7



ルークを残してプレーするのはリスクが高いと判断し、ビショップvs. ナイトのエンドゲームにします。キングサイドのポーンマジョリティーは抑えられるので、問題はdファイルのパスポーンが働くかどうかです。

38... Ke7 39. Kf4 Bf1 40. Rxd7+ Kxd7 41. Nb4 Kd6 42. Ke4


ナイトを安定した状態で、相手キングを制限するためには、e3 まで持ってくることのがベストだと判断しました。しかし、すぐにNb4-Nc2-Ne3 とすれば、キングがf4 から動けず、クイーンサイドのポーンマジョリティーを止めに行けません。そこで私はキングをd3 まで運べるようにしたうえで、ナイトをe3 に切り替えることにします。

42... a5 43. Nc2 Bg2+ 44. Kd3 b5 45. Ne3



これでクイーンサイドのポーンは抑えつつ、黒キングが近づくことを防げているので、負けはなくなったと思いました。ここから勝つチャンスを作り出すアイディアをひねり出そうとします。

45... Bh3 46. Ke4 Bc8


このポジションで勝ちにいくならば、d4-d5 を突くしかないと思いました。しかしこのタイミングでd4-d5 を実行した場合、Kd6-Kc5 の後でクイーンサイドのポーンとdポーンの勝負がどうなるか、残り少ない持ち時間で読み切ることができませんでした。そこでもう少しキングを動かしながら、機を伺うことにします。

47. Kd3 Be6 48. Kc3 Bh3 49. Kd3 Be6 50. Kc3 Bh3 51. Kd2 Bd7 52. Kc2 Be6 53. Kd3 Bc8 54. Ke4 Bb7+ 55. d5!?



私はここで負けも覚悟しながら、d4-d5 を実行します。先ほどと違うのは、黒がビショップをc8 から動かしているため、d7 を抑えるためにはもう一度、Bb7-Bc8 と手を使わなければいけない点です。これならば白にチャンスはあると考えました。

54... Bc8!?


結論から言えば、この手でもドローですが、私は54... Kc5 を警戒していました。55... Kc5 56. Ke5 b4 57. axb4+ axb4 58. d6 Bc8 59. Nd1 b3 60. Nb2 Bd7 61. Nd1 Kc6 62. Nb2 こうなればお互いにパスポーンをブロックしあい、進展がなくドローになるでしょう。

56. Kd4 Bh3 57. Nd1 Bd7



黒にとって最もシンプルなのは、57... Bg2 58. Ne3 Bh3= と指すことでしょう。後ろからd5 のポーンを狙えば、白はc3 にナイトを回す暇をえられず、すぐにドローです。

58. Nc3 b4 59. axb4 axb4 60. Ne4+ Ke7 61. Kc4 Bf5 62. Ng3 Bb1!


この手以外、黒はドローに持ち込むことはできません。d5 までポーンを進め、d4 にキングを置き、チェックで黒キングを遠ざけるという理想的な条件まで作っておきながら、ドローになってしまうことに気付いて少し落ち込みましたが、それでもここまでやってみて良かったと思います。とても勉強になりました。

63. Kxb4 Kd6 64. Kc4 Ba2+ 65. Kd4 Bxd5 66. Nf5+ Ke6 67. Ng7+ Kf7 68. Kxd5 Kxg7 1/2-1/2



私と2B がドローで、東京大学OB には3-1 での負けです。私自身、個人賞を逃したのは残念ですが、チームメイトの子供たちは、全員が2P 以上を獲得してレイティングを稼いでいます。みんな、頑張りましたね!


今回のチームメイトたちです。中学生、大学生、そして社会人チームを相手によく健闘しました。これまで麻布や慶應のメンバーでチームを組むことが多かった私にとって、今回のクラブ選手権は新鮮で、とても楽しいものになりました。


上位入賞はトップシードに近いチームが埋めました。桑田くんが率いる慶應OB-C が今年こそ優勝かと思いましたが、最終戦でそのチームを破った大阪が5P。そして4勝2ドローと安定した強さを見せた麻布OB-A、慶應OB-C に負けた以外、全勝の麻布OB-B が5P で並びました。タイブレークの順は、麻布OB-B、大阪、麻布OB-A となっています。みなさん、おめでとうございます!

今年のクラブ選手権は、31チームがエントリーし、130名を超えるプレーヤーが会場に集うこととなりました。日本最大のトーナメントとなったクラブ選手権は、来年も今年以上に盛り上がることが期待されます。私もチーム編成はどうなるかわかりませんが、また来年もどこかのチームで参加したいと思います。それではまた、次のトーナメントでお会いしましょう!

2016/09/18

Club Championship 2016 Day1 Tournament Report


今日から2日間は、蒲田で開催されているクラブ選手権に参加しています。日本で唯一のチーム戦であるこのイベントは、終了したばかりのオリンピアードと形式は似ています。最大6人で1チームを組み、毎ラウンド4人ずつを出して試合をします。私は今回初めて、東京バイリンガルチェスクラブから、子供たちと組んで出場することにしました。初戦はトップテーブルで、優勝候補チームとの対戦です。

Baba, M - Kojima, S
Club Championship 2016 (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nh3!?



ナイトがNg1-Nh3-Nf4 と飛ぶ変化は、3年前のチーム戦で塩見さんに指されています。e6 へのサクリファイスを気にしつつも、しっかりと指せば黒に問題のない変化です。

7... e6 8. Nf4 Bh7 9. Bc4 Nf6 10. c3 Nbd7 11. Qe2 Bd6


ここは少し時間をかけ、11... Nb6 と迷いつつも本譜の手を選びました。e6 を守る11... Qe7 も指されているようですが、黒は面白くないでしょう。

12. Ngh5



12. Bxe6 fxe6 13. Nxe6 Qe7 14. Nxg7+ Kf7 15. Qxe7+ Bxe7 16. N7f5 Bxf5 17. Nxf5 Rae8-/+ と進む変化は、黒大丈夫です。3ポーンピースですが、白のポーンが脅威になる気配は感じません。

12... O-O 13. O-O?!


ここは13. Nxf6+ Nxf6 14. Bd2 と指し、クイーンサイドのキャスリングも視野に入れたほうが良かったと思います。

13... Nxh5!?


過去の実践例とコンピュータの評価を見ると、13... e5! 14. dxe5 Nxe5 15. Nxf6+ (15. Bb3 Nfg4! 16. g3 Re8-+) 15... Qxf6 16. g3 Rfe8-/+ と指したほうが、白にとって厳しかったようです。確かにこうしてみれば、白は展開が遅く、e2 の位置にいるクイーンが不安定で、黒にはっきりとしたアドバンテージがあることがわかります。

14. Qxh5 Nf6 15. Qf3 Nd5 16. Bxd5?



Caro-Kann Classical の面白いところなのですが、黒はビショップのペアを失っても、固いポーンストラクチャーで満足に戦うことができます。しかし、白は片方のビショップ(特に白マスビショップ)を失ってしまうと、途端に白マスの弱さが浮き彫りとなります。私と馬場さんにとって予想外だったことは、16. g3! Qf6 17. Be2! Nxf4 18. Bxf4 Bxf4 19. Qxf4 Qxf4 20. gxf4= と進めた形が、白大丈夫であることです。確かに、白のポーンストラクチャーは乱れていますが、黒はそれをアタックしたいピースをほぼ捌いてしまっています。ポーンストラクチャーを乱すか、白マスビショップを手放すかで、馬場さんは間違えたチョイスをしてしまいました。

16... cxd5 17. Qh3 Qf6 18. Nh5 Qg6 19. Bf4 Be7!


ビショップのペアをもらった直後、簡単に駒得のチャンスが訪れました。これでh4 のポーンは守れません。

20. Ng3 Qf6 21. Ne2 Qxh4-+



ビショップのペアを持ち、ポーンアップにもなった黒は、ゆっくりとクイーンサイドで手を作っていけば問題なく勝てると判断できます。

22.Qe3 Rfc8 23. Rfe1 b5 24. a3 a5 25. Rec1 Qg4!?


マイノリティーアタックをいきなり仕掛けるのではなく、b5-b4 を見せておきながら、クイーンを白マスで使えるようにしておきます。

26. f3 Qg6 27. Qe5 Rc6 28. Qe3 Rac8 29. Re1 Qc2 30. b4 axb4 31. axb4 Bf6 32. Ra7 Bd3!



これでc3 のポーンを落とせば、黒の勝ちは決まりです。

33. Be5 Bxe5 34. Qxe5 Bxe2 35. Rxe2 Qxc3 36. Re3 Qxb4 37. Qf4 Qb1+ 38. Kh2 Qg6 39. Rb7 Rc2 0-1


チームは敗れましたが、昨年この大会で敗れた馬場さんにきっちりお返しができました。今日は3試合をして私は3連勝、チームは1勝1敗1ドローとなっています。私は個人賞を狙って、2日目の明日も頑張ります!

2016/09/17

Baku Chess Olympiad Closing Ceremony and Departure


オープンチームは、1位アメリカ、2位ウクライナ、3位ロシアでした。

バクーでのオリンピアードを終え、帰国して2日が経ちました。今夜の記事を最後として、オリンピアードについては終わりにしようと思います。

メキシコ戦を勝利で飾った私たちは、その日のうちに行われたクロージングセレモニーへと出席します。このブログでは日本チームの戦績ばかりで、トップ争いについては触れてきませんでしたので、上位がどうなったか、知らなかった人もいるかもしれません。オープンチームはアメリカとウクライナが最後まで競り、ぎりぎりでアメリカの優勝となりました。Caruana、Nakamura、So とスーパースター軍団の揃ったアメリカでしたが、30年ぶりとなるオリンピアード優勝です! Nakamura Hikaru が世に知られるようになってから10年以上経ち、Caruana とSo の加入で、アメリカも今度こそという思いがあったでしょう。Ivanchuk 抜きのウクライナも、5B のVolokitin の活躍もあり、よくここまで食い下がったと思います。

私たち日本チームは、メキシコ戦に勝った影響で大きく順位を上げ、スタートは97位ながら、全体で68位、Cクラスで5位という好成績でのフィニッシュとなりました。60位台のフィニッシュは、参加国が100か国を超えるようになったこの20年では初めてで、過去最高の順位と考えて良いでしょう! 格上からは白星が奪えず、やきもきすることもありましたが、最終戦で自分の仕事ができ、チームの順位のアップに貢献できたことは、とても嬉しく思います。

Baku Chess Olympiad Open Final Ranking


女子は中国、ポーランド、ウクライナの順位となっています。最終戦で中国 - ロシアという見ごたえのあるマッチとなり、2.5-1.5 でロシアを振り切った中国が優勝を決めました。Hou Yifan はラトビア戦で2200台に敗れる波乱がありましたが、その後は持ち直して星を重ねました。4,5B でも個人金メダルとなれば、中国の優勝は当然でしょう。

日本の女子チームは後半戦、3連勝後の連敗で、最終順位はスタートと同じ96位となりました。個人の課題は色々と見えたと思いますが、それでもタイトル保持者を2人出したのは、私の知る限り今回が初めてで、喜ぶべきことでしょう。次のオリンピアードは、どういったメンバーになるかまだわかりませんが、またそちらも期待したいですね。

Baku Chess Olympiad Women Final Ranking


一夜が明け、バクーを出る最終日は、朝から一部のメンバーでフレームタワー内のフェルモントホテルへと足を運んできました。日本チームは今回のオリンピアードで、山田くんがFM、星野さんがWFM、なつみがWCM のタイトルを新たに獲得しており、その証明書を取得できると聞いたためです。しかし、実際にはIM, GM などのノーム獲得者の証明書を発行していたようで、私たちには用のない場所でした。しかし、せっかく足を運んだので、19階からバクーの街並みを見ていくことにします。カスピ海沿いに広がる美しいバクーは、これまでオリンピアード訪れた都市の中でも、また来たいと思う気持ちの強い場所になっています。


午後は休憩日にパスをした、カーペットミュージアムへと行ってみることにします。バクーの観光名所の一つであるカーペットミュージアムには、古いものから新しいものまで、バクーの名物である絨毯が展示されており、実際に織る様子も見学することができます。


私にとって6回目となるオリンピアードでしたが、今は無事に終えることができて一安心です。個人的にはオリンピアードでの初めての勝ち越し、わずか1ではありますが、レイティングもプラスで終えることができたことを、上記のチームの最終順位とあわせて嬉しく思っています。その反面で、オリンピアードに臨む前の準備が、チームとして十分だったか疑問もあるため、また次のオリンピアードの日本チームをより良くするために、色々と考えていきたいと思います。次回、2018年のオリンピアードは、ジョージアのバツミでの開催となります。またそれに向けてこつこつと力をつけていきたいですね。

明日から始まるクラブ選手権では、多くのプレーヤーと会うことになると思いますので、そこでもオリンピアードの土産話ができればと思います。それではこれで、オリンピアードの記事をすべて終わりにしようと思います。2週間以上、日本チームを見守っていただき、本当にありがとうございました!

2016/09/16

Saturday Lecture on 24th September 2016


【日時】 2016年9月24日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Instructive Games in Baku Chess Olympiads
【テーマ詳細】

つい先日、世界トップクラスのGM たちが集まるチェスオリンピアードが、アゼルバイジャンのバクーで開催されました、アメリカが30年ぶりに劇的な優勝を果たしましたが、その陰には様々な名勝負とドラマがあります。そこで2か月ぶりの池上でのレクチャーは、終わったばかりのバクーでのチェスオリンピアードから、厳選したゲームをご紹介しようと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2016/09/15

Baku Chess Olympiad R11 Mexico - Japan


メキシコと対戦する日本オープンチーム Photo by Mrs. Hoshino

いよいよ2週間に渡るバクーのオリンピアードも、最終日を迎えました。最後のR11 は、日本男子チームはメキシコとの対戦になります。メキシコは8年前、北京のWorld Mind Sports Games でも対戦し、その際に私はメキシコの天才GM Manuel Leon Hoyos と試合をしてました。Leon はかつて、モレリアのトーナメントにて、若くしてIvanchuk のセコンドに抜擢されたプレーヤーです。現在は2400台に落ちており、今大会の代表を外れていますが、それでもGM Hernandez Guerrero を擁するメキシコは、強豪国であることは間違いありません。

しかし、試合の朝、目を覚ましてからボードペアリングをチェックしてびっくり。1B のHernandez Guerrero を外すというオーダーでした。実はメキシコは、2B のIM Capo Vidal が7連勝中でパフォーマンスが3000を超えており、彼に個人賞を取らせるためにもう1試合、白をもってプレーさせるという作戦に出たのです。完全に南條くんの相手だと思い、ノーチェックだった強敵に、黒をもって私のオリンピアード最終戦が始まります。

Capo Vidal, U (IM, MEX, 2314) - Kojima, S (IM, JPN, 2398)
Baku Chess Olympiad (11)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 dxc4 5. a4 e6 6. e4 Bb4 7. Bxc4!?



今大会、私は黒番でのd4対策は、Nimzo-Indian のつもりでしたが、Capo Vidal がSlav Exchange とLondon を指しそうだったので、1... d5 で受けてみようと思いました。ところがどっこい、彼はSlav の中でも攻撃的なギャンビットの変化を選びました。私もそうくるのであれば、真っ向から受けて立つほかありません。

7... Nxe4 8. O-O Nf6 9. Bg5 Nbd7 10. Qe2 O-O


以前研究した、Mamedjarov - Postny のゲームで、黒がQd8-Qc7、Bb4-Bd6 と組んでいたのを思い出し、まずはそのセットアップを目指します。

11. a5?!N



白が指したこの手を見てとても驚きました。a5 のポーンはただで取ることができ、特に危険なタクティクスなどもないように見えたのです。ただよくよく読んでみると、白はポーンを捨てた代わりに黒の遅い展開でバランスを取ろうとしているため、a3-f8 のダイアゴナルから黒マスビショップが離れるのは、さらに展開を遅らせることに気付きました。それでも黒陣は固く、白のアタックを十分捌けると判断して、相手のチャレンジを受けることにします。

11... Bxa5 12. Ne5 Bb4


ここでビショップをa5 に残したままだと、次にf7 を取られてしまうため、すぐにビショップを戻します。c7 から当初の予定通りにd6 でもOK ですが、d6、e7 の両方に退くチャンスのあるb4 を再び選びました。

13. Rfe1 Qc7 14. Bd3 Bd6 15. Rac1 a6 16. Qe3 Nd5



私がQd8-Qc7、Bb4-Bd6 の後に指したいと考えていたのは、このナイトの1手です。駒得している黒にとってありがたい、ピース交換を狙うとともに、f7-f6、f7-f5 などとポーンを進め、キングサイドをディフェンスする意図があります。

17. Qh3 f5!


g7-g6 も考えましたが、h6、f6 を弱めるほうが、白にチャンスを与えてしまうのではなかと思いました。そこで思い切ってfポーンを進めますが、大丈夫だと思っていた手筋に一つ読み落としがありました。

18. Nxd5?!



Capo Vidal は1ポーンを取りかえす手筋を見つけたようですが、それよりも実戦的には以下のように指すほうが良いと思います。18. Bxf5 Rxf5 19. Nxd5 exd5 20. Qxf5 Nxe5 21. Qf4! h6! (21... Ng6?? 22. Re8+ Nf8 23. Rxf8+!-+) 22. dxe5 Bf8!!


Analysis Diagram

これはとても見つけるのが難しい手ですが、こうしなければ黒は負けになってしまいます。実際、私も試合中に読めておらず、この変化に飛び込んでいた場合、どのように試合が進んでいたかはわかりません。23. Bh4 g5 24. Bxg5 hxg5 25. Qxg5+ Qg7-/= コンピュータは2ピースを得た黒良し評価ですが、まだまだどうなるかわからないでしょう。

18... exd5 19. Bxf5 Nf6!


私は上記の変化にするか、ポーンを返したつもりでおとなしく戦うかで悩みました。しかし、21. Qf4! が見え、それに対する応手が分からなかったため、より黒にとってわかりやすい、本譜を選ぶことにします。

20. Be6+ Bxe6 21. Qxe6+ Kh8



これで黒はポーンを返しても、1ポーンアップの駒得を保っており、はっきりと優勢なことが分かります。次の手はNf6-Ne4 や、Ra8-Re8 を嫌ったのだと思いますが、ここでのビショップナイトの交換は、黒にとってありがたいと感じました。

22. Bxf6 Rxf6 23. Qh3 Kg8 24. Rc2 Re8 25. Rce2 Rfe6


2つのルークをeファイルに重ね、e5 のナイトを消そうとします。

26. f4 Qb6! 27. Qd3 Bxe5!



ここでは少し迷いましたが、Ne5-Nd7 がある以上、c6-c5 は少し早く感じ、もうビショップとナイトを好感してしまうことを決めました。

28. Kh1!?


ここは他の手でもだめですが、それでもこの手は読んでいなかったので驚きました。28. fxe5 c5! 29. dxc5 Qxc5+ 30. Kh1 Rxe5!-+, 28. Rxe5 Rxe5 29. Rxe5 Rxe5 30. fxe5 Qxb2-+ どちらも黒は駒得を広げ、勝勢となります。

28... Qxd4! 29. Qxd4 Bxd4 30. Rxe6 Rxe6 31. Rxe6 Bxb2-+



ここではエクスチェンジを捨てても、4コネクテッドパスポーンを作れば勝ちになると読み切りました。黒のポーンが、c3、もしくはa3 に到達した時点で、白はルークでパスポーンを止められないことが分かります。

32. Re7


32. Re8+ Kf7 33. Ra8 b5 34. Ra7+ Ke8 35. Rxa6 c5-+ でもあまり変わらず黒の勝ちです。

32... b5! 33. Ra7 c5 34. Kg1


ここでキングを動かす手ではどうしようもないので、ほとんど読んでいませんでした。34. Rxa6 c4 35. Kg1 c3 36. Rc6 b4 37. Kf2 b3 38. Ke2 c2 39. Kd2 d4! 40. Rc7 d3 41. Rc6 c1=Q+ (42... Ba3 からb3-b2 でも、もちろん勝ち。) 42. Rxc1 Bxc1+ 43. Kxc1 Kf7-+ これで勝ちを考えていましたが、Misha が検討戦で、b3,d3 のFlouting Square であれば、黒はキングサイドのポーンが無しでも勝てると教えてくれました。


Reference Diagram

1. g4 Kg7 2. h4 Kg8 3. f5 Kf7! (46... Kg7?? 47. h5 Kf7 48. h6 Kf6 49. g5+ Kf7 50. g6+ Kf6 51. h7 Kg7 52. f6++-) 47. h5 Kg7 48. g5 Kg8 49. g6 Kg7-+ これでツークツワンクとなり、黒勝ちです。

34... c4 35. Kf2 c3 36. Rc7 b4 37. Ke2 b3 0-1



最後はルークとキングでもパスポーンを止められないことがはっきりとし、白はリザインしました。レイティングは下の相手ですが、この大会で誰も止められなかった相手を、最終戦でストップできたのはとても嬉しいことです! 隣のボードの南條くんも、私が試合を終えた時点で勝勢、奥の山田くんも相手がリザインする直前で、マッチの勝利を早くも確信しました。

Mexico - Japan 1-3

Capo Vidal, U (IM, MEX, 2314) - Kojima, S (IM, JPN, 2398) 0-1
Cofre Archibold, N (FM, MEX, 2255) - Nanjo, R (IM, JPN, 2340) 0-1
Garcia Guerrero, I (FM, MEX, 2308) - Averbukh, A (JPN, 2223) 1-0
Flores Guerrero, J (IM, MEX, 2345) - Yamada, K (CM, JPN, 2100) 0-1


南條くん、山田くんが無事に勝ち、メキシコを下してのオリンピアードフィニッシュです! レイティングが上の1,2B はともかく、200以上のレイティング差を跳ね返して勝利を収めた山田くんは、大金星といえるでしょう。また明日のオリンピアードまとめ記事でも書きますが、この勝利で山田くんは勝率が65%を超え、オリンピアード規定によりFM のタイトルを獲得しています。

Japan - Australia 1-3

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Richards, H (WIM, AUS, 2199) 0-1
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Nguyen, T (WFM, AUS, 2119) 1-0
Sakai, A (JPN, 1703) - Guo, E (WIM, AUS, 2035) 0-1
Fukuya, N (JPN, 1636) - Jule, A (WIM, AUS, 2000) 0-1


3連勝中で上がってきた女子チームは、最後はカナダ、オーストラリアに連敗です。それでも、星野さんのみが白星を挙げ、彼女もまた勝率65%達成、WFM のタイトルを獲得しています。

色々と書きたいことは多いですか、残りは明日の記事にまわすとします。ひとまず、プレーしていた選手の皆さんと、観戦、応援してくださった皆さん、2週間に渡るオリンピアード、お疲れ様でした!

2016/09/13

Baku Chess Olympiad R10 Japan - Azerbaijan 3

オリンピアード10R のこの日は、日本チームにとって苦しい1日でした。オープンはアゼルバイジャン3、女子はカナダとともに各上のチームとの対戦です。アゼルバイジャン3 は、7月のU16 World Youth Olympiad の代表メンバーたちです。

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Asadli, V (FM, AZE, 2406)
Baku Chess Olympiad (10)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d6 6. O-O Nc6 7. Nc3 a6 8. h3 Bd7 9. e4 e5 10. dxe5 dxe5 11. Be3 Be6 12. b3!?



以前、GM Fominyh と指した際は、12. Qa4 b5! と指されて敗れました。それ以来少し考えていて、初めて試すこちらの手を選びます。ちょうど試合の日の朝、このラインになるかもしれないと思って調べなおしていました。

12... Rb8 13. Qc1!?


この変化では、このようにクイーンをc1 に振り、d1 のマスはルークのために空けておくアイディアがしばしば見られます。13. Kh2!? もありえる手ですが、私は次の黒の手を覚悟のうえでクイーンを動かしました。

13... Nd4 14. Kh2?!



このタイミングでキングが上がる手は、d4 にナイトを残させてしまうのでいまいちでした。代わりに、14. Rd1! Nxf3+ 15. Bxf3 Qc8 16. g4!+/= と指すべきであるというのが、コンピュータの指摘です。 私としては、なるべくgポーンを伸ばしたくはなかったでこの変化をあきらめたのですが、私の予想よりも本譜の流れは白にとって嫌でした。

14... Ne8 15. Rd1 c5!


指される前までは、d5 をアウトポストにしてくれるのはありがたいと思っていましたが、センターにアウトポストを抱えるのはお互い様で、黒にとって困ることはありません。それよりも、d4 のナイトが全く消えないことが、白にとって重荷となります。

16. Ng5 Nd6 17. Qd2 Bd7!



これも指されてからうまく構想だと思いました。d5 を全くカバーしないのは変に見えますが、ビショップはBe6-Bd7-Bc6 とダイアゴナルを切り替え、e4 にプレッシャーをかけられる位置に移動します。

18. Rac1 Bc6 19. h4


e4 のポーンがアタックされている以上、f3 にはナイトを動かしづらいので、h3 に退けるようにマスを作ります。アイディアはOK ですが、これを決断するのに時間を使いすぎたことが、後の重要なポジションで負担となります。

19... h6 20. Nh3 Kh7 21. Nd5 Rc8 22. Re1



私はe4 のポーンを孤立に、e5 のマスをアウトポストにすることを嫌い、自分からfポーンを突きませんでしたが、22. f4! exf4 23. Nhxf4 Re8 24. Qd3 と指すほうが実際には良かったかもしれません。細かな形の良しあしを気にするよりも、h3 のナイトを早くプレーに戻すというアイディアです。

22... f5 23. exf5 gxf5 24. f4?


この手はとても悪く、ほぼ黒の勝ちを決めてしまいます。私としては時間のない中、f5-f4 をされてキングの前を崩されてはたまらないと考え、指した1手でしたが、f4 のマスが使えない状態で、e5-e4 と伸ばされるのは予想よりもずっと白が厳しい形でした。このあたりの判断は、まだKing's Indian の理解の浅さの表れかもしれません。代わりに24. Qd1! からQd1-Qh5 という手を見せておけば、まだ勝負は分からなかったでしょう。

24... e4!-/+ 25. Nc3 Rc7 26. Red1 Rd7 27. Qe1 Ne8 28. Nf2 Nf6!



h3-h4 を指した時から危惧していた、g4 のマスの弱さまで利用されてしまえば、白にはなすすべがありません。

29. Nd5 Nxd5 30. cxd5 Rxd5 31. Nxe4 fxe4 32. Bxe4+ Kh8 33. Bxd5 Qxd5 34. Qf2 Re8


時間が全くない中、駒を捨てて何か手を作ろうとしましたが、相手が決め手を作るのを助けてしまうだけでした。

35. Bxd4 Bxd4 36. Qd2 Qf3 37. Re1 Rg8 38. Rg1 Bxg1+ 39. Rxg1 Re8 40. Qd6 Kg7 41. Qc7+ Kg8 42. Qd6 Qg4 0-1



何もできず負けたゲームでした。途中、自分が正しく形勢判断ができていないこともありましたが、過去に対戦した2400台の中で、最も強かったのではないかという印象を受けました。次に会うときは彼は2500 になっているでしょう。私もまだまだ勉強が必要です。

Japan - Azerbaijan 3 0-4

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Asadli, V (FM, AZE, 2406) 0-1
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) Bashirli, N (FM, AZE, 2387) 0-1
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Gadimbayli, A (FM, AZE, 2294) 0-1
Tang Tang (JPN, 2108) - Gasimov, P (FM, AZE, 2323) 0-1

Canada - Japan 4-0

Zhou, Q (FM, CAN, 2367) - Ishizuka, M (JPN, 1778) 1-0
Yuan, Y (WIM, CAN, 2205) - Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) 1-0
Botez, A (WFM, CAN, 2092) - Shibata, M (JPN, 1638) 1-0
Ouellet, M (WCM, CAN, 1992) - Fukuya, N (JPN, 1636) 1-0


チームはオープン女子ともに4-0 でのストレート負け。最終戦直前でこれは痛い結果でしたが、こういうこともあると割り切るしかありませんね。今日行われた最終戦はすでに終わっていますが、それはまた明日以降の記事で結果とゲームをお届けします。

2016/09/12

Baku Chess Olympiad R9 Saudi Arabia - Japan


日本 vs. サウジアラビア Photo by Alex

今大会、私はR9 のサウジアラビア戦で初めての抜け番をもらいました。サウジアラビアが相手であれば、私が抜けても戦力的に十分勝てるであろうことや、山田くん、Alex のFM 獲得チャンスを残すことを考慮してのオーダーです。オリンピーアドでは、9試合以上で65% 以上の勝率を挙げれば、レイティングが2300に到達しなくともFM のタイトルを獲得することができます。直前のラウンドまでに6試合をし、4P 獲得している山田くんのゲームを今夜はご紹介します。

Al Habeeb, E (KSA, 2030) - Yamada, K (CM, JPN, 2100)
Baku Chess Olympiad (9)

1. Nf3 Nf6 2. d4 d5 3. g3 e6 4. Bg2 Be7 5. O-O O-O 6. c4 dxc4 7. a4?



山田くんはこのオリンピアードで、7. Qc2 a6 8. a4 と1試合指されており、対戦相手はそれを研究してきたのでしょう。しかし、付け焼刃の研究だったためにクイーンを挟む大切な1手を忘れてしまい、黒に簡単な展開にされてしまいます。黒がa7-a6 と指していないのであれば、a2-a4 は意味を成しません。

7... c5! 8. Qc2?


ここでポーンを捨てては勝負になりません。せめてc5 を取るべきでしょう。

8... cxd4 9. Qxc4 Nc6 10. Rd1 e5-+



私はライブを見ていて、この時点で試合は終わったと思いました。1ポーンアップ、白マスビショップの働きの悪さを改善済み、ピースの展開良しの黒は、どのようにでも白を料理できます。

11. e3 Be6 12. Qb5 a6 13. Qf1 Bb3 14. Rd2 Qb6


私は14... Bb4 を指すと予想していましたが、もちろん本譜でも大丈夫です。

15. exd4 exd4 16. Qd3 Rad8 17. Re2 Be6 18. Ne1 Nb4 19. Qd2 d3 20. Re5 Ng4 21. a5 Qc7 22. Re4 Bc5 23. Rf4 Nxf2 24. Rxf2 Nc2 25. Ra4 Nxe1 26. Qxe1 Bxf2+ 27. Qxf2 Qxc1+ 28. Bf1 Qxb1 0-1



一番対戦相手とのレイティング差が小さく、結果を心配していた山田くんでしたが、全く問題なかったですね。しかしこのラウンド、Alex が前のラウンドに続いて敗れてしまい、4-0 でのフィニッシュとはなりませんでした。4B に入った唐堂くんは怪しいゲーム運びでしたが、なんとか勝って今大会初白星です。

Saudi Arabia - Japan 1-3

Masrhi, A (KSA, 1900) - Nanjo, R (IM, JPN, 2340) 0-1
Bukannan, A (KSA, 1890) - Averbukh, A (JPN, 2223) 1-0
Al Habeeb, E (KSA, 2030) - Yamada, K (CM, JPN, 2100) 1-0
Al Turky, F (KSA, 1861) - Tang Tang (JPN, 2108) 0-1


United Arab Emirates - Japan

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Nouman, A (WIM, UAE, 1983) 1-0
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Jehad, A (UAE, 1668) 1-0
Shibata, M (JPN, 1638) - Bashaer, K (WCM, UAE, 1584) 0-1
Fukuya, N (JPN, 1636) - Wadima Humaid S H AlKalbani (UAE, 1606) 1/2-1/2


連勝中だった女子チームは、少し厳しいかと思われたアラブ首長国連邦とのマッチを、見事2.5-1.5 で乗り切って3連勝となりました! 観戦していた日本のチェスファンは、1B の石塚さんが完全に負けのポジションから、不死鳥のようによみがえって逆転する様を見たことでしょう。今大会、苦しんでいた女子大将はここで大きな1勝を挙げ、大事なマッチの勝利に貢献しています。


日本の女子たちは、コメンテーターとして有名なアメリカのGM Seirawan と交流できたようです。

今日のR10 はともに厳しい相手とぶつかります。勝ち、ドロー、勝ちでポイントを積み重ねてきたオープンチームは、アゼルバイジャン3との対戦です。オリンピアードでは毎回、開催国のみ複数チームを出場させることが許されており、多くの場合、下のチームは有望なジュニアプレーヤーで構成されています。今回も例にもれず、アゼルバイジャン3は全員がジュニアFM のチームで、レイティングでいえばザンビアよりも手ごわい相手でしょう。昨日は貴重な休みを貰い、連続で白の私がなんとかポイントを取り、マッチで勝つチャンスも作り出したいですね。

一方で女子はカナダが相手です。WFM ではなく、FM を持っているZhou Qiyu が率いる、平均2200近いチームです。初戦のアゼルバイジャン2と同等の相手に、日本の女子がどのようなプレーをするでしょうか。残りの2試合も、応援をよろしくお願い致します。

Japan - Azerbaijan 3

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Asadli, V (FM, AZE, 2406)
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) Bashirli, N (FM, AZE, 2387)
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Gadimbayli, A (FM, AZE, 2294)
Tang Tang (JPN, 2108) - Gasimov, P (FM, AZE, 2323)

Canada - Japan

Zhou, Q (FM, CAN, 2367) - Ishizuka, M (JPN, 1778)
Yuan, Y (WIM, CAN, 2205) - Hoshino, K (WCM, JPN, 1802)
Botez, A (WFM, CAN, 2092) - Shibata, M (JPN, 1638)
Ouellet, M (WCM, CAN, 1992) - Fukuya, N (JPN, 1636)


2016/09/11

Baku Chess Olympiad R8 Japan - Zambia


ザンビアのIM Kayonde と Photo by Alex

女子チームがザンビアを破った翌日、今度はオープンチームがザンビアとの対戦になりました。私の対戦相手は6年前のオリンピーアドではUR でしたが、それからめきめきと力をつけ、今年7月の大会でIM タイトルを獲得しています。貴重な白を持ち、負けられない一戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Kayonde, A (IM, ZAM, 2422)
Baku Chess Olympiad (8)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 e6 4. Qc2 dxc4 5. Qxc4 Nf6 6. Bg5 Be7 7. e3 h6 8. Bh4 Qa5+



オープニングの準備は早々に外れ、Triangle の一変化になります。私はここでのチェックに対し、慎重に読んで本譜のように進めることにします。

9. Nbd2 g5 10. Bg3 g4?! 11. Ne5 Ne4 12. O-O-O!


d2 のナイトを守るためにはこれしかないという1手ですが、相手はこれを読み落としていたようです。クイーンサイドキャスリングした白キングの守りはやや薄そうにも見えますが、それはキングサイドを崩してしまった黒も同じです。ならば、ピースの展開の早さで、白はすでに十分なアドバンテージがあるでしょう。

12... Nxg3 13. hxg3 Nd7 14. Nxg4 f5 15. Ne5?!



しかし、1ポーンを取った直後が正確ではありませんでした。f7-f5 はe6 のポーンとe5 のマスを弱めているので、そこを突ければしっかりと白が優位に試合を進められるはずです。メインで考えていたのはナイトを捨てる変化ですが、15. Qxe6 fxg4 16. Bc4 Nf6 17. Qf7+ Kd8=/+ それはこのように逃げられ、ピースの代償が十分ではありません。そこでポーンを返しても、白が良いと確信できる変化に飛び込もうとしますが、試合中になぜか全く考えなかった15. Nh2! ならば、白は駒得をキープしたまま戦うことができます。

15... Nxe5 16. dxe5 Qxe5 17. Nf3


Bf1-Be2-Bh5+ を入れる変化とどちらにするか悩みましたが、白マスビショップはBf1-Bc4 からe6 を狙うことを決めます。

17... Qf6 18. Qf4 Qg7 19. Qc7 O-O 20. Bc4 Bf6 21. Qxg7+



ここはb2 を守るためにクイーンを交換するしかないと思いましたが、b2 をあえて捨てる変化も面白いでしょう。21. Qd6!? Bxb2+ 22. Kb1 Qf6 23. Nd4 Bxd4 24. Rxd4 こうなれば、白は次にhファイルにルークを重ねることができ、攻勢です。

21... Kxg7 22. Nd4 Re8 23. Rh5 a6!


クイーン交換をしても、e6 とh6 へのプレッシャーで白はチャンスを作れるかと思いましたが、黒はゆっくりとそれを緩和できるように指していきます。

24. Rdh1 c5! 25. Nb3 b5 26. Be2 c4 27. Nd4 Rh8



27... Bb7 28. Bf3 Bxf3 29. gxf3 Bxd4 30. exd4 Rh8= 本譜でも大きな問題はないですが、このようにマイナーピースを全て捌いてしまうほうが、黒にとっては簡単だったでしょう。

28. g4 Bxd4 29. exd4 Bd7 30. Bf3 Rad8 31. gxf5 exf5 1/2-1/2


30手を超えた直後にドローオファーされ、この試合では無理をせずに受けることにしました。チームは調子を上げてきた南條くんが勝ったものの、Alex が敗れたために2-2 のドローとなっています。ここまで3勝2敗3ドローというチームの戦績は、私の個人戦績と全く同じですね。

Japan - Zambia 2-2

Kojima, S (IM, JPN, 2398) - Kayonde, A (IM, ZAM, 2422) 1/2-1/2
Nanjo, R (IM, JPN, 2340) - Phiri, R (IM, ZAM, 2342) 1-0
Averbukh, A (JPN, 2223) - Mwali, C (IM, ZAM, 2335) 0-1
Yamada, K (CM, JPN, 2100) - Chumfwa, K (IM, ZAM, 2240) 1/2-1/2

Japan - Barbados 3.5-0.5

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Blackman, K (WCM, BAR, 1642) 1/2-1/2
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Murray, D (BAR, 1419) 1-0
Sakai, A (JPN, 1703) - Sandiford, S (BAR, 1226) 1-0
Fukuya, N (JPN, 1636) - Nurse, L (BAR, 1291) 1-0


女子チームは無事に格下のバルバドスを下し、チームとして連勝を挙げています。これで男子チーム同様、3勝を挙げたことになります。この調子で今日の試合もポイントを取ってもらいたいですね。

今日のR9 はオープンがサウジアラビア、女子がアラブ首長国連邦との対戦です。私は初の抜け番のため、試合を観戦しながらこうしてブログを書いています。私が抜けた代わりに復帰した唐堂くん、そして残り試合でのポイント次第では、FM 獲得のチャンスがある山田くんとAlex に、特に頑張ってほしいですね。願わくばこのラウンドは、4-0 で勝ってほしいと思います。オリンピアードのゲーム観戦は、引き続きChess24 がおススメです!

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