2012/04/03

百傑戦 Games and Analysis Vol.4

4.5/5 で迎えた百傑の最終戦。相手はもちろん羽生さんでした。2010年からお付き合いがありますが、公式戦での対局は初めてです。

Habu, Y - Kojima, S
Hyakketsu (6)

1. d4 e6 2. c4 Nf6 3. Nf3 d5 4. g3 Bb4+ 5. Bd2 Bd6!?



5...Be7 と比較すると珍しい変化ですが、2009年頃からトッププレーヤーの間でも指され始めました。5...Be7 同様、黒は堅い形を築くことができます。

6. Bg2 c6 7. b3 Nbd7 8. Nc3 O-O 9. O-O b6 10. Qc2 Ba6?



早くも勝負の分かれ目が訪れました。10...Bb7 ならば白が面白い展開だと考え、局面を複雑にしようとしたのが裏目に出ました。10... Bb7 11. Rad1 Qe7 12. e4 Nxe4 13. Nxe4 dxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qh4 c5= と進めば黒は満足できます。

11. e4 dxc4?!


10...Ba6 と指した時点で2ピースルークにするつもりだったので、ここで方針転換は難しいですが、まだ以下の変化のほうがベターです。
11... Nxe4 12. Nxe4 dxe4 13. Qxe4 Bb7 14. Rad1+/=

12. e5 cxb3 13. axb3 Bxf1 14. Rxf1 Be7 15. exf6 Bxf6 16. Ne4!+/-



私が見落としていたのは、d6 の弱さです。c6 のポーンはすばやく...c5 を突くことで解消できると考えていましたが、d6 がセットでは弱点を解消しきれません。

16...Rc8 17. Nd6 Rc7 18. Bf4 Nb8


18... g5 19. Be3 Be7 20. Ne4 h6+/- とポーンを守る手ももちろん考えましたが、キングの守りを薄くしているため、本譜とどちらが良いかの比較は難しいところです。

19.Ne4 Rc8 20. Nxf6+ Qxf6 21. Bxb8 Rxb8 22. Ne5 c5



c6 のポーンをただで取られるより、3ポーンピースのほうがチャンスがあると考え、エクスチェンジを捨てます。しかし、この後の羽生さんの指し方は実に正確でした。

23. Nd7 Qxd4 24. Rd1!


エクスチェンジを取るより先にルークをセンターに回すことで、f6 にクイーンを下がらせません。

24...Qb4 25. Nxb8 Rxb8 26. Rd7


基本通り、センターに回ったルークは7段目に突入します。

26...a5 27. h4 h5


27...g6 28. h5 ではキングの上がるマスを作った意味があまりなく、ジリ貧で負けてしまいます。

28. Be4!



ここでビショップも攻めに参加させます。次にBh7+ - Bg6!がスレットになっていることにようやく気がつき、f7 を守りにいきます。

28...Qe1+ 29. Kg2 Qa1 30. Bh7+! Kf8 31. Qd3


ビショップでキングをセンターにいぶり出した後は、クイーンでとどめを刺しにいきます。

31...Qe5 32. f4 Qf6 33. Qd6+ Ke8 34. Bg8! 1-0



最後はキュートな手で終わりました。観戦者には白熱した戦いに見えたかもしれませんが、正直なところ一方的な負けです。また腕を磨き直して再戦の機会を心待ちにします。

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