2012/10/24

CAISSA 2012 October 4th round - Fighting with Anti-Grunfeld -

10月のCAISSA も1/3 が終わって、プレーヤーの調子が見えてきます。私の3ドローという結果は、パフォーマンスを考えれば悪くはありませんが、First Saturday でIM ノームを取った勢いは、影をひそめていると言えるでしょう。そんな中で迎えた4R は、ノームを目指すならば重要な試合でしたが、勝負所の判断は相手が一枚上だと感じさせるゲームとなりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Battey, A (IM, USA, 2362)
CAISSA IM October (4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 d5 5. cxd5 Nxd5 6. Nc3 Nb6 7. d3 Nc6 8. Be3 O-O 9. O-O e5



IM Battey は非常に幅広いオープニングレパートリーの持ち主ですが、この日はGrunfeld を採用してきました。私にとっては未知のポジションでしたが、ここで早々に向こうからドローオファー。これを受けて、空いた時間でチェス通信の記事でも書こうかとよこしまなアイディアが頭に浮かびましたが、何をしにハンガリーまで来ているのかを思い出し、勝負することに。

10. b4!?


Gelfand のアイディアですが、試合数はさほど多くありません。Be3-Bc5 がダブルアタックとなるため、黒このポーンを取ることはできません。

10... Nd4 11. Rc1 h6 12. Nd2



d4 のナイトは厄介な存在で、試合中これをどう捌いて良いのかよく分かりませんでした。最悪、ビショップで取ってしまえば良いのですが、簡単にダブルビショップを放棄するのは面白くありません。試合後にいくつかのゲームを調べて、Nc3-Ne4 (もちろん狙いはNe4-Nc5 からb7 にプレッシャー)、Be3-Bd2 (ナイトを交換した際にポーンフォークになることを防ぐ)、Nf3-Nd4 といった手を組み合わせて、ナイトを交換するアイディアがあることを学びました。もちろん、本譜のようにd2 にナイトを退いて活用するのも、ありえる駒組みです。

12... Qe7 13. b5 Rd8 14. a4 Qa3 15. Re1!?


地味な一手ですがe2 のポーンを守ることは、後々有効です。

15... a6 16. bxa6!



aファイルを開くことは、ルークが活用できるようになる黒に有利なようにも思えますが、ここではちょっとしたタクティクスにより、白はポーンを取り返し、有利な局面を作ることができます。

16... Rxa6 17. Nb5! Qxa4 18. Qxa4 Rxa4 19. Nxc7!?


もう一つの変化も読み、どちらも白のほうが有利だろうと思って本譜をチョイスしました。しかし振り返ってみると、こちらのほうが分かりやすかったのではないかと思います。19. Nxd4! exd4 20. Bf4 (Bc7 がダブルアタックなので、黒はc7-c6 とポーンを進めることができないのがポイント) 20... Nd5 21. Bxd5 Rxd5 22. Rxc7 Be6 23. Rxb7+/=


Analysis Diagram 1

先は長そうですが、d4 のポーンが孤立していることを考えれば、勝つチャンスは十分にあるでしょう。

19... Ra2 20. Kf1?!



ポーンを取り合う変化を読むのに力を使い過ぎたのか、この先から不正確な手が続いておかしなポジションになってしまいます。20. Nb5! Nxb5 21. Bxb6 Rf8 22. Nc4+/=

20... Bg4 21. Bxb7?


これはポーンタダ取りだと考えたのですが、そんなに甘くありませんでした... 試合後にFM Bodo と検討したところ、21. h3 Bd7 と一度ビショップを追い返すのがベターとの結論に至りました。しかしそうすると、逆にh3 が弱点となるためにb7 を取ることができず、白の優勢が怪しくなってきます。

21... Na4?


今度は相手から甘い手が!21... Nc2! 22. Red1 Na4!-/+ ならば、白にはうまい受けがありません。私はBh3+ からビショップを挟んで交換したうえで、この手筋を読んでいましたが、 考えてみればe2 に利きを残していたほうが黒としては良いはずです。

22. Bxd4?



しかし、せっかく相手にもらったチャンスをフイにしてしまいました。22. Bd5! Rb2 (22... Bh3+ 23. Kg1 Rb2 24. Bxd4 exd4 25. Nc4+/=) 23. Bxd4 exd4 24. Nc4+/= と進めれば、白のピースは全て位置が良く、優位に試合を進めることができました。局所的な考えにとらわれ過ぎて、こういった全体のバランスを考えることができないのは、まだまだ甘いところだとこのゲームで感じました。

22... exd4 23. Ne4?


連続で悪手しか指していないのでは?と思えるひどい内容です... 相手のタクティクスに気づき、諦めた変化こそが唯一白を救う一本道でした。23. Ra1! Bxe2+! (この手を見つけてルークをぶつける手がダメだと判断しました。) 24. Kxe2 Nc3+ 25. Kf3 Rxd2 26. Ba6! (この当たり前のようにd3 を守る手がなぜか見えていませんでした。) 26... Rd6 27. Ne8 Rb6 28. Bc4 Rbb2 29. Bxf7+!


Analysis Diagram 2

Bodo との検討では、この手が出てこなかったために黒優勢と結論付けられましたが、これで白に望みが出てきます。

29... Kxf7 30. Ra7+ Kf8 31. Nxg7 Rxf2+ 32. Kg4 Rf7 33. Ne6+ Kg8 34. Ra8+ Kh7 35. Rea1 Rxh2 36. R1a7 Rhf2 37. Nf4 Kg7 38. Rxf7+ Kxf7 39. Ra7+ Ke8 40. Nxg6= コンピュータの指摘による複雑な変化で、ここまで読むのは当然無理にしても、試合中に23. Ra1 をもっと掘り下げて考えなければダメでした。

23... Nc3 24. f3?



Final Mistake! 24. Nxc3 dxc3 25. Bg2 Ra5=/+ でもナイトの行き場がなく苦しいですが、本譜よりは粘れます。

24... Bh3+ 25. Kf2 Ra7!


全く見えていませんでした。ここにきて、7段目にうかうか跳び込んだ兵士たちが餌食となります。

26. Nc5 Bc8!



この辺りのタクティクスを正確に読むのは流石だと思います。白はピースを救うことができず、勝負ありました。

27. Ra1 Rxa1 28. Rxa1 Bxb7 29. Nxb7 Rd7 30. Ra8+ Kh7 31. Rc8 Be5 0-1


ドローオファーを蹴って負けたのは久々ですが、もちろんあそこで受けなかった判断は正しかったと思っています。非常に勉強になるゲームでしたが、もちろん負けは負けで、相当悔しいです。今月の初負けにより、今大会のIM ノームは厳しくなりましたが、気を落とさず次のゲームに向かおうと思います。

そして棋譜の中にパラパラと書いてありますが、昨日は夕飯後に、FM Bodo に検討に誘われ、この試合を振り返りました。(最初は、一昨日の彼とのゲームを検討しようと言われたのかと思いました。) 検討の最中、やはり2400台だと思える鋭い指摘をビシビシとしてもらい、大変ためになりました。これがあっただけでも、簡単にオファーを受けなくて良かったと思えます。さらには彼がこの日勝ったゲームも、最新の研究を交えて教えてもらいました。Bodo さん超良い人♪


3R でFM Bodo と対戦。

今日の5R は中国のHou Qiang が相手です。前回のFirst Saturday では、私が劣勢のポジションから勝ってしまったことにより、相手が試合後の握手を拒否し、それをオーガナイザーが問題視していました。私はさほど気にしていませんが、穏便に試合が終わることを願います。(もちろん、ドローにするという意味ではなく)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

尖閣JAPANなんて書いてあるTシャツ着ていくとかしたら大会から追い出されるかもしれないので気をつけましょう 汗

Shinya_Kojima さんのコメント...

着ません(笑)

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