2012/10/09

FS 2012 October 2nd round - Can You Be a Tactical Chess Genius? -


1日休みを挟んだ第2試合は、6月から1勝1敗2ドローのIM Szeberenyi との試合です。彼は8月のFirst Saturday で、IM Galyas を抑えて、断トツの戦績で優勝しています。それでも私は、過去4試合の対戦で色に関わらず良いポジションを築けているので、今回も中盤から勝負のつもりで会場に向かいました。

Kojima, S (FM, JPN, 2307) - Szeberenyi, A (IM, HUN, 2365)
First Saturday IM October (3)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 g6 6. e4 Bg7 7. Be3 O-O 8. Be2 d6 9. O-O Bd7 10. Qd2 Nxd4 11. Bxd4 Ng4N



Maroczy Bind のチョイスは意外だったうえ、さらに黒から新手が出ます。私がイスタンブールオリンピアードで用意していたMaroczy Bind 対策は、以下のような変化でした。11... Bc6 12. Bd3!? (1月の野口さんとのゲームでは、オーソドックスに12.f3 と指しました。) 12... a5 13. Rfe1 Nd7 14. Bxg7 Kxg7 15. Re3↑

12. Bxg7 Kxg7 13. Bxg4!?



ビショップナイトの交換をする大きな決断です!Maroczy Bind のポーンストラクチャーでは、白の白マスビショップはあまり働かないため、敢えてそれを消し、キングサイドのアタックに期待します。

13... Bxg4 14. f4 Be6?!


この手は私もナイトを取る前から予想していましたが(ビショップを退かないと、f4-f5 からビショップの退路が絶たれるため)、指されてからよく考えてみると、白のタクティクスが通るように思えてきました。

15. f5!!



c4 を見捨ててキングサイドアタックを成功させます!このような形は、昨年の三阪さんとのゲームで、経験がありました。

15... Qb6+ 16. Rf2 Bxc4 17. b3! Bb5 18. Nd5 Qd8 19. f6+!?


30分以上かけてこの手を指しました。実際のところ、アイディアはこれで良いのですが、このタイミングはベストではありませんでした。

(a)19. Nxe7 f6 20. Nd5 g5!(Nd5-Nf4-Ne6+ を防ぐ) こうなると白良しは明らかですが、黒も堅い形です。
(b)19. Rc1!!


Analysis Diagram

19... Bd7 (19... Bc6 20. Nxe7!+-) (19... Rb8 20. Rc7+-) 20. f6+ exf6 21. Qd4 Re8 22. Rxf6 Re5 23. Rxd6+-
本譜のようにf5-f6 を突く前に、19.Rc1 を挟んでおくのがポイントで、黒はうまい対処がなく、キング前が崩壊します。

19... exf6 20. Qb2 Re8 21. Nxf6 Re5 22. Ng4



これでエクスチェンジアップになります。このポジションは17手目辺りからすでに見えていたのですが、この1ポーンエクスチェンジ以上に白が良くなる方法を探して、かなり時間を使ってしまいました。

22... f6?!


これは少し捻りすぎで、黒は大人しくエクスチェンジを手放すほうが良かったでしょう。22... Qe7 23. Rd1 Bc6 24. Qd4 がメインの読み筋でした。

23. Nxf6!


ここはエクスチェンジではなく、ポーン取りをチョイスします!黒はエクスチェンジダウンを再び止めるため、キングの守りをさらに弱めるしかなく、そこが白の付け込む大きなポイントとなります。

23... h5 24. Rd1 Rc8 25. h3 Qe7 26. a4! Ba6??



このブランダーはSzeberenyi にとって、悔やんでも悔やみきれないでしょう。26... Bc6 27. Qd4 Rf8 28. Rdf1 (f1 のマスが使えるようになるのが、a2-a4 を突いた狙い)28... Ra8 29. Rf3+/- ならば、白に大きなポジショナルアドバンテージがありますが、すぐに決定打を見つけられるわけではありません。

27. Nd7! 1-0


以下、27... Qxd7 28. Qxe5+ dxe5 29. Rxd7+ と、2重のピンを利用したタクティクスで、白のエクスチェンジアップが確定です。この先は続けても望みがないため、Szeberenyi は潔くリザインしました。(試合後、かなり不機嫌そうに会場を去っていきましたが...)


試合前の昼食には、リスト音楽院に通っている子がフレンチトーストとスープを作ってくれました。


ポーランドの14歳、Gajek はIM Lengyel に勝利。


Hou Qiang - Nguyen Huynh Minh Huy はドローだったようです。

3試合目の今日は、同じ1勝1ドローのIM Nguyen Huynh Minh Huy に黒で当たります。彼は私同様、数年前にハンガリーを訪れ、長期滞在の末にIM を獲得したようです。初対戦となるアジアの先輩に胸を借り、良い試合ができるよう頑張ってきます!

5 件のコメント:

kamiyakumo さんのコメント...

ganbare!!

kathmanz さんのコメント...

IMに短手数の勝利!

misaka さんのコメント...

小島が時間落ちしたアレ?

Shinya_Kojima さんのコメント...

kamiyakumo さん、kathmanz さん、ありがとうございま~す。

misaka さん、そうですね、懐かしいですw

匿名 さんのコメント...

完勝ですね。おめでとうございます。目玉を抜かれたドラゴンのあまりの弱さに驚いています。ところでCOM山COM吉くんは20手目の白の指し手についてNxf6を示し以下...Qe7なら21. Rf5というスゴイ手を示しています。恐ろしいですねぇ

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