2013/01/27

CAISSA IM January 7th and 8th round - Long Fight -


久々にモールのアイス。思い切って一番高いやつを注文してみました。

大会8日目は再び午前の試合だったため、昨日今日の2試合はまとめて、結果とゲームをお伝えします。まずは、昨日のKiss Pal とのゲームから。勝利を求めて戦った結果、今年最長のゲームとなりました。

Kiss, P (IM, HUN, 2349) - Kojima, S (FM, JPN, 2349)
CAISSA IM January(7)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. e3!?



6月以来となるQueen's Gambit Semi-Tarrasch Variation です。得意のIQP ポジションを目指そうとしますが...

4... c5 5. a3 cxd4 6. exd4 Be7 7. Nc3 O-O 8. c5!?


このようにポーンを突き越すアイディアは知っていましたが、黒で指すのは初めてです。クイーンサイドでスペースを取られた黒が、どのように反撃するか、そして白マスビショップを活用するかがポイントとなります。

8... Ne4 9. Qc2 Nxc3!?



あまりStonewall は馴染みがないのですが、ここでは 9... f5 10. b4 Bf6 11. Bd3 Nc6 12. Ne2 と指すのがより一般的なようです。

10. Qxc3 Bf6 11. Bd3 Nc6 12. O-O a5!?


どうしても白のb2-b4 を嫌い、多少クイーンサイドで抵抗してみることにしました。この後はうまい具合にd4 にプレッシャーをかけるか、e6-e5 のブレイクで、白マスビショップが活用できるようになれば十分だと考えていましたが、少し目論見が甘かったことを直後に思い知ります。

13. Bf4 Nxd4 14. Nxd4 e5 15. Be3 a4!?



センターを開いてみたものの、黒はd5 にポーンが残るので、少し指しづらそうです。そして、白マスビショップが残るミドルゲームで(さらには将来的なエンドゲームで)、a4 のポーンは明確なターゲットとなりそうですが、どうしてもb2-b4 からクイーンサイドでパスポーンを作られるのが我慢できず、リスクを承知でポーンを進めてみることにしました。

16. Qb4


この手は少しラッキーだと感じました。黒からピース交換を促す狙いですが、あまり効果的だとは思いません。私が考えていたのは、Bd3-Be2-Bf3 というマヌーバリングと、Bd3-Bc2 からa4 を狙う手です。どちらでも白はやや優勢に試合を進められるでしょう。

16... exd4 17. Bxd4 Bd7!



黒のディフェンスのキーとなる一手です。e6 ではなく、c6 にビショップを配置することで、d5 だけでなくa4 にも守りを付けておきます。

18. Rfe1 Bc6 19. Re3 Bxd4 20. Qxd4 Re8 21. Rae1 Qd7


ここまで来ればだいぶ楽になりました。白のeファイルのコントロールはさほど脅威ではなく、ポジションはイコールに近いでしょう。ここから相手の時間切迫を利用して手を作りにいきますが、逆転して優勢を築くのは容易ではありません。

22. f3 g6 23. Kf2 Rac8 24. Rxe8+ Rxe8 25. Rxe8+ Qxe8 26. Qe3 Qf8



白マスにポーンが散った同色ビショップエンディングは明らかに不利なため、クイーンは当然盤上に残してプレーを続けます。ここからは長く、大きなミスに気を付ける我慢の展開が続きます。

27. Qd4 Qh6 28. Bc2 Qc1 29. Bd1 h5 30. h4 Kh7 31. Kg3 Qb1 32. Kh2 Qc1 33. Kg3 Qb1 34. Kh2 Qf5 35. Kg3 Qe6 36. Kf2 Qe7 37. Bc2 Bb5 38. Bd1 Kg8 39. g3 Qe6 40. g4!?


ここまでポジションの特徴に大きな変化はありませんでしたが、時間の増える40手目に白はキングサイドのポーンを伸ばしてきました。キングの守りが薄くなるので、何かつけ込む隙はないかと思いましたが、相手もミスはしてきません。

40... hxg4 41. fxg4 Qe7 42. g5 Bc4 43. Bg4 Bb3 44. Bf3 Qc7 45. Kg2 Qd7 46. Bg4 Qb5 47. h5!?



g5 が弱くなるので、まさか突いてこないだろうと思っていましたが、相手は果敢に指してきます。再びクイーンをキングサイドに戻し、ポーンをかすめ取るチャンスを伺いします。

47... gxh5 48. Bxh5 Qe8 49. Bf3! Qe7 50. g6!?


これはポーンタダ落ちなのではないかと思いましたが、相手の計算は私のだいぶ上をいっていた(もちろん、完璧に読み切っていたかは分かりませんが)ようです。

50... Qg5+ 51. Qg4 Qxg6 52. Kf2! Kf8 53. Qxg6 fxg6 54. Bg4=



白は一時的に1ポーンを捨ててクイーンを交換することに成功しました。この後、b7 のポーンは守ることができませんが、ビショップを端に追い詰めることで何かしらのチャンスを得られないかと工夫を凝らします。

54... Ke7 55. Bc8 Kd8 56. Bxb7 Kc7 57. Ba8 Bc4 58. Kf3 Bb5!?


一瞬、ビショップを交換すれば勝ちのポーンエンディングだと考えましたが、そんなことはありませんでした。また、ポーンを単純に突く手でも、黒は勝つことができません。58... d4 59. Ke4 d3 60. Ke3 g5 61. Bf3 Ba6 62. Kd4 Bb5 63. Ke3= 黒にはポジション改善の方法がありません!

59. Bxd5 Bc6 60. Ke4 g5 61. Bxc6 Kxc6 62. Kf5 Kxc5 63. Kxg5



この位置ならば、白キングは一手の差でディフェンスに間に合うので、このポーンエンディングはドローです。結果は分かり切っていますが、最後まで続けることにしました。

62... Kc4 64. Kf4 Kb3 65. Ke3 Kxb2 66. Kd2 Kxa3 67. Kc2 Ka2 68. Kc1 a3 69. Kc2 Ka1 70. Kc1 a2 71. Kc2 1/2-1/2


不思議なオープニングでしたが、色々と勉強になりました。ハンガリーに来て以来、同じ相手との3連続ドローは初めてかもしれませんね。また次にKiss Pal と対戦できる機会を楽しみにしています。続いて今日行われた、スロバキアのMolnar 少年とのゲームへ。

Kojima, S (FM, JPN, 2349) - Monlar, E (SVK, 1940)
CAISSA IM January(8)

1. d4 d5 2. c4 e6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 dxc4 8. Bxc4 b5 9. Bd3 Bb7 10. O-O



ハンガリーではお馴染みのSemi-Slav Anti-Meran です。昨年頭から研究していますが、最近は勝率も良く、ようやく呑み込めてきたような気がします。このポジションでは本譜の代わりに10. Ne4!? も調べていましたが、以前と同様にノーマルにキャスリングすることにしました。

10... O-O 11. Rd1 Rc8!? 12. a3 a6?!


この手はやや不用意な一手です。c6-c5 が突ければ黒に不満はありませんが、当然白は次の手でそれを防ぎます。

13. b4! Qe7 14. Ng5!



タイミングこそ様々あれど、この1ポーンサクリファイスこそ、Bc4-Bd3 と退くラインの真骨頂だと私は考えています。最近になって良く指されていますが、少し古いゲームでは90年代にロシアのGM Zvagintsev が使っています。

14... Bxh2+


14... h6 15. Nge4 でも白はc5 のマスを抑えることで、アドバンテージがあると断言できます。

15. Kxh2 Ng4+ 16. Kg1 Qxg5 17. f3 Ngf6 18. e4 Qh4 19. Be3



さて、このラインでオーソドックスな形となりましたが、黒はQd8-Qe7-Qxg5 と1テンポをロスしており、その間に白は理想的な手(a3-b4-Rd1)をいくつも挟んでいます。1ポーンダウンながら、ダブルビショップと厚いセンターを持つ白に、十分な代償のあるポジションですが、次の黒のミスでゲームは一気に終幕へと向かいます。

19... g6? 20. Qd2!


黒マスの弱さを突いて黒クイーンを狙い、ゲームオーバーです。

20... Nh5 21. Bg5 Qg3 22. e5! Nxe5 23. dxe5 Qxe5 24. Ne4+-



クイーンを救うためにナイトを捨てざるを得なかった黒は、さらに白のピースの配置の良さに押され、もろくも崩れていきます。

24... f6 25. Bh6 Rfd8 26. Nc5 Rc7 27. Re1 Qd4+ 28. Qf2 Qxf2+ 29. Kxf2 Bc8 30. Rad1 e5 31. Bc4+ 1-0


Molnar 少年は、私を含めた3人のマスターに白でも黒でも負け、このクラスに挑むのは少し早かったようですね。明日からの2試合は、ここまで負け越しているセルビアの宿敵、IM Farkas との対戦です!


たまには外で食事しよう思ったところ、苦手のレバーを引きましたorz やはり自分で作るほうが安全か...

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