2013/04/14

Saturday Lecture and Tournament on April 2013


午後、試合中のチェスセンターの様子 Photo by Mimura

昨日は告知通りに、チェスセンターでレクチャーを行ってきました。参加者は14名程でしたかね。朝から私のレクチャーにお越しいただき、ありがとうございます。日本では久々のレクチャーでしたが、感触はなかなか良かったように思います。新規の方もいらっしゃったので、来月以降もまた、楽しみにしています。

そして午後は、トーナメントのほうに2R から参戦してきました。最初は同級生の三村くんとの対戦、彼とは5年半近い付き合いですが、公式戦での対戦は初めてでした。

Mimura, K (1837) - Kojima, S (FM, 2395)
Saturday Tournament (2)

1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 a6 5. Nc3 Nc6 6. Be2 Qc7 7. O-O Nf6 8. Bg5 Bd6!?



ここは8... Be7 が普通だろうなと思いつつ、こういった手を指してみることにしました。試合後に調べてみると、数は少ないですが、GM の指している試合もあります。

9. h3 Bh2+ 10. Kh1 Be5 11. Bxf6?!


これはやや不自然なビショップナイトの交換です。特に白にメリットが見当たりません。11. Be3! b5!? 12. f4 Nxd4 13. fxe5 Nxe2 14. Qxe2 Qxe5 15. Qf2 ならば、白は1ポーンダウンですが、開いたポジションでのダブルビショップを持つので、面白い勝負ができそうです。

11... Bxf6 12. Nxc6 dxc6 13. f4 Bxc3!?



13... e5 14. f5 O-O= このようにダブルビショップを残す選択肢も考えましたが、白マスビショップをこの後どうアクティブして良いのかがわかりません。そこで、黒マスビショップを返してしまい、ポーンストラクチャーの良さで勝負することにします。

14. bxc3 Bd7 15. Qd3?!


ここは3段目でクイーンを振るより、素早くdファイルにメジャーピースを重ねるほうが有効です。私が考えていたのは、15. Qd4! でした。 g7 をアタックしているので、黒はそれに対処しなければいけないのが、本譜との違いです。

15... c5 16. Qg3 O-O 17. c4 Bc6 18. Bd3 e5!?



この手はかなり迷いましたが、c4、e4 にポーンを固定することで、白のビショップの働きを抑え込もうと考えました。e5 の一時的に捨てたポーンさえ取り返せれば、黒の優勢は間違いありません。

19. fxe5 Rae8 20. Rf5 g6 21. Rg5?


このルークはgファイルにいってもやることがありません。21. Raf1! からf7 にプレッシャーをかけるのが正解で、そうすれば黒はe5 のポーンを取り返すのに、さらなる一工夫が必要となります。

21... Re7 22. e6 Qxg3 23. exf7+ Rfxf7 24. Rxg3 Bxe4 25. Rg5 b6 26. Rb1 Rf6 27. Kg1



白はポーンを返す決断をしましたが、それは黒が願った展開です。ポーンストラクチャーの良さで、間違いなくやや優勢の黒は、勝ちを手繰り寄せるプランを模索します。

27... Bxd3!? 28. cxd3 Re2 29. a3


ここから本譜で白が指すようなパッシヴなディフェンスは、ルークの使い方としてふさわしくありません。守るよりも攻めで使い、反撃の糸口を探るのがルークの正しい使い方です。29. a4 Ra2 30. Rd5!

29... Ra2 30. Rb3 Kg7


時間があまりなかったので、とりあえずキングを進めておこうと思いましたが、指してすぐに30... a5! で即勝ちであることに気が付きました。

31. h4 a5! 32. Rd5 a4 33. Rc3



白のルークはポーン1つを守るために、あまりに消極的な位置にいってしまいました。黒はその間に、理想的な位置である7段目に2つ目のルークを潜り込ませ、勝負を決めます。

33... Rff2 34. Rg5 Rfb2!


これで次にRb2-Rb3 からa3 のポーンが落ち、黒の勝ちとなります。

35. d4 Rb3 36. Rgg3 Raxa3 37. Rxb3 axb3 38. dxc5 bxc5 39. Rd3 Ra1+ 40. Kh2 b2 41. Rd7+ Kf6 0-1



三村くんとしては不出来な内容だったかもしれませんが、勉強になるエンドゲームだと思ったのでこちらでご紹介させていただきました。

続く3R では、最近好調の三ツ矢さんに1.e4 で勝ち。この日はSicilian が続く一日となりました。これもThe Sicilian Labyrinth の影響ですかね。この日の2勝で、2週間半後の全日本には、 国内レイティングを2400台に戻しての出場となりそうです。

3 件のコメント:

くろ さんのコメント...

はじめまして。
いつも興味深く拝見させて頂いています。
突然ですが、チェスの基本的なことについて質問があります。
よろしいでしょうか?

昨日、素人の仲間内でチェスを指したのですが、
ポーンがプロモーションした時、
そのポーンをそのまま使用するのか、
それとも取られて盤外にある駒で代用するのとどちらでしょうか?
個人的には前者だと思っています。
なんかルークを逆さにして置くという意見も出ましたけどそれはないと思うのですが(^^;

お手数ですがよろしくお願いします。

Shinya_Kojima さんのコメント...

くろさん、コメントありがとうございます。

プロモーションした駒は(多くの場合、クイーン)、多くの場合は、すでに取り除かれた駒を盤上に戻して使います。プロモーション用に、予備のクイーンが用意されているチェスセットもあります。大会の時等は、すでに終わっているチェスセットから、駒を借りてくることもありますね。

もし、まだプロモーションしたい駒が取られておらず、盤上に残っている場合は、ポーンを2つ置くか、ルークを逆さに置くのが一般的だと思います。いずれにせよ、指しているプレーヤー同士が分かれば、どのような形でも問題はないでしょう。

くろ さんのコメント...

こんばんは。
Kojimaさん、アドバイスありがとうございました。
ルークを逆さにしても良かったのですね。
それは意外でした。
仲間にも伝えたいと思います。

これからもKojimaさんのご活躍を楽しみにしています。
頑張ってください。

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