2013/09/27

CAISSA 2013 September IM 6th round - Compensation -


ハンバーガーやランゴッシュショップの並ぶ広場。なぜか3匹の子豚の小屋を連想させます(笑)

前日の5R にようやくCAISSA での初白星を挙げ、少しは気が晴れてきました。すでにノームのチャンスはなく、レイティングをプラスにするにはまだまだ頑張らなければいけませんが、それでもやはり1つの勝ち星で気分は一新します。いつも昼食はパンとバナナぐらいで簡単に済ませますが、この日は昼ハンバーガーをチャレンジしに、こちらに足を運んでみました。


しかし、一番高い全部乗せを頼んだのはやりすぎました。パテが2つ、サラミ、ベーコン、そして大量のチーズ... 連勝への景気づけということで、きれいに平らげました。そして、この日の対戦相手はケチケメートに住む青年、Keresztes, R です。去年の5月からの通算戦績は1勝1敗1ドロー。互いに勝ち越しをかけた対戦となります。

Kojima, S (FM, JPN, 2357) - Keresztes, R (FM, HUN, 2237)
CAISSA 2013 September IM (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 d6 3. d4 Nc6 4. g3 Bg4 5. Bg2 e5 6. d5 Nb8 7. h3 Bh5 8. Nc3 Nbd7 9. g4 Bg6 10. Nh4



King's Indian 崩れの謎のオープニングでしたが、白マスビショップを捕獲できれば、白としては満足な展開だと考えました。しかし、ここから予想より難解なポジションが現れます。

10... Ne4 11. Nxe4


11. Nxg6 Nxc3 12. Qb3 hxg6 13. Qxc3 Be7+/= これでもやや白良しですが、黒は一番の問題である黒マスビショップをBe7-Bg5 から交換できれば、さほど大きな問題は抱えないでしょう。

11... Bxe4 12. Bxe4 Qxh4 13. Qa4!?



これが私のアイディアで、とりあえずキャスリングを封じておき、あなたのキングどうするんですか?と訴えかけてみます。

13... g6! 14. Be3 Bh6 15. Bxh6 Qxh6 16. e3 Ke7


彼の回答はシンプルなもので、バッドビショップを交換したうえでピンを外し、ナイトをフリーにします。すでにイコールに近いかもしれないとは思いつつ、キングを安全にし、ルークをセンターに運べる白のほうがまだ指しやすいはずだと自分に言い聞かせ、手を続けます。

17. O-O-O a6!? 18. Kb1 b5 19. cxb5 axb5!?



彼はc5 のマスを抑えたうえで、クイーンサイドでポーンを捨てる決断をしました。これは少し足りていないだろうとも思いながら、キングの前に2つのオープンファイルを作られるのは、やはり嫌なものです。ただ、ここは19... Nc5 20. Qc2 axb5 21. b4 Nxe4 22. Qxe4 Ra4 23. Rc1 Kd8 として、ポーンを捨てずに戦うのもありだったでしょう。c7 へのアタックは、問題なく捌くことができそうです。

20. Qxb5 Nc5 21. Bc2 Rhb8 22. Qc4 Ra7 23. Ka1 Rba8 24. a3 Qf8


黒は唯一戦いに参加していないクイーンを、バックランクを回すように展開することで、クイーンサイドまで運ぼうとします。この辺りまでは予想通りでしたが、ここから少しディフェンスに走りすぎました。

25. Rc1?!



ここはセンターにいる黒キングめがけて、もう少し積極的に手を作りに行くべきでした。25. f4! Qg7 (黒クイーンが完全にクイーンサイドに回るまで、a1-h8 のダイアゴナルは開くべきではないと考えていましたが...) 26. Qc3! これでロングダイアゴナルもカバーし、e5 を攻める形を作れています。

25... Qb8 26. Ka2 Rb7 27. Qc3 Na6 28. Rhd1 Qa7 29. Rd2 Rab8 30. Bd1 Nc5!


黒はルークをbファイルに重ね直したうえで、ナイトもアクティブなマスに戻します。私はビショップでb3,a4 はカバーし続けるつもりでしたが、2段目をルークのために空けたために、e4 がカバーできなくなりました。これをどう解決するかが、白の次なる課題になります。

31. Qc4?!



31. f3?! e4! は、d3 へのナイトの侵入を許してしまうため、良くありません。代わりに31. Re2! Kf8= と指すべきで、ナイトフォークから逃れるこのシンプルなアイディアを見落としていました! しかし、黒もキングを安全圏に逃がすことで、1ポーン分の代償を伴ったまま、ゲームを続けることができそうです。

31... Rb4 32. Qc3 Kd8?!


c7 を守られた際にはなるほどと思いましたが、やはりキングがセンターにとどまるのは危険です。32... Kf8! から黒はじっくりとチャンスを待つべきでしょう。

33. Re2! Qa6?!



この手は私に、待ちに待った手を指すチャンスを与えてしまうことになります。33... Ne4 34. Qd3 Nc5 35. Rxc5!? (勝負のエクスチェンジサクリファイス! 白は最も厄介な黒のピースを取り除きます。) 35... dxc5 36. d6 cxd6 37. Qxd6+ Ke8 38. Qxe5+ Kf8 39. Rd2 これはまだまだアンクリアーですが、今度は白がエクスチェンジの代償を十分に得てプレーできるでしょう。

34. f4!


25手目で躊躇したこのブレイクを、今度こそ実行に移します。今度はa1-h8 のダイアゴナルが開くことは白にとってのみ好ましく、e2 に回ったルークもさらに活躍のチャンスを拡大できそうです。

34... e4??


Keresztes は残念ながら時間切迫のため、ここで力尽きました。白はシンプルなタクティクスでピースアップとなります。代わりに34... R8b7! 35. fxe5 Nd3! 36. Rb1 Nxe5 37. Rf2+/= ならば、黒はなんとかe5 のポーンを取り返し、1ポーンダウンで試合を続けられたでしょう。

35. Qf6+ Ke8 36. Rxc5!+-



彼はキングの守りばかりをチェックしていて、6段目の利きが見えていなかったのでしょう。ここまではうまく指していただけに、ちょっぴり悲しい結末です。

36... Rc4 37. Rc2 Rxc5 38. Rxc5 Qa7 39. Rc4 Kf8 40. Qh8+ Ke7 41. Rxe4+ 1-0


久々の連勝でようやく流れを掴めてきた気がします。しかし、今日は我が親友にして最大のライバルである、インドネシアのSean との直接対決! 彼は午前中にGM Sax とのトレーニングをこなしてくるというタフぶりですが、なんとか彼のノーム獲得を阻むつもりで、しっかりプレーしてこようと思います。

9/21 15:30 FM Kojima, S 2357 - FM Lyell, M 2220 0-1
9/22 16:30 IM Meszaros, A 2273 - FM Kojima, S 2357 1/2-1/2
9/23 15:00 FM Kojima, S 2357 - Bird, A 2203 1/2-1/2
9/24 15:00 FM Kojima, S 2357 - Rudakov, A 2209 0-1
9/25 15:00 IM Farkas, T 2255 - FM Kojima, S 2357 0-1
9/26 15:00 FM Kojima, S 2357 - FM Keresztes, R 2237 1-0
9/27 15:00 FM Sean, W 2338 - FM Kojima, S 2357
9/28 10:00 Vamos, V 2181 - FM Kojima, S 2357
9/28 15:00 FM Kojima, S 2357 - IM Sarosi, Z 2265

この日、周りのゲームはと言えば、ノームのチャンスが残るSean が午前中にIM Farkas を退け、勝ち越しを3つに伸ばします。すでに勝ち越し3のRudakov は、あっさりFarkas とドロー。ここを勝ちにいってノームに王手をかけるかと思っていたので (チェスプレーヤー的には、チェックをかけると言うべきかw)、 少し意外な結果でした。最も白熱したのはLyell - Meszaros 戦で、序盤で白がポーンアップしましたが、最終的には以下のようなドローの異色ビショップエンディングになりました。


FM Lyell, M - IM Meszaros, A

Mark にとっては惜しいゲームでしたが、私はMeszaros の粘りに一番感心しました。もう1列、左にすべての駒がずれていれば勝てるんですけどね。やはり劣勢でも諦めずに、一番ドローの可能性がある形を模索しなければいけません。


Mark の長い試合が終わるのを待ち、再びSean と3人で夕飯へ出かけました。この日はMark の案内で、ケチケメートに何軒かあるうち、お気に入りだというイタリアンレストランへ。ケチケメートのイタリアンと言えば、2月にブダペストから遊びに来てくれた友人2人と、会場近くのお店に足を運んだことを、懐かしく思い出します。

ここでは3人とも、3サイズあるうち最大であるXL のピザを頼みました。そしてSean が、さっきちょっと食べてきたんだよね~と私に一部をお裾分け。だったら最初からサイズ落とせよ!と突っ込みたくなりますが、ありがたくいただいておきました。

この日もチェスを始めとした日本のボードゲーム事情や、デリバリーピザの話など話題はいろいろでしたが、一番印象的だったのは、Mark から英語のレッスンを受けたこと。彼は生粋のイギリス人で、本職は英語教師です。私が「2004年のWorld Chess Championship で、Leko が最終戦、Kramnik にドローを取っていたら、ハンガリーチェスの歴史も変わっていただろうね」と話したところ、時勢がおかしいと突っ込みを受けました(笑) 私もSean も、時々Mark からは英語のミスの指摘を受け、会話を続けています。


そして夕食後、Sean が「ケーキ食べに行こう!」と我々を誘います。お前、さっき満腹だって言ってピザ分けたじゃねーかよ(笑) と苦笑しつつ、3人で夜遅くでも開いているケーキ屋へ。Sean は過去にアメリカのプレーヤーとこの店に足を運んだことがあり、ウエイトレスのお姉さんが美人なので、またここを選んだそうです。


結局、3人で1つずつ好きなケーキを選び、会場に買って帰ってきました。私はティラミスをチョイスし、これをつつきながら今日のSean - Farkas 戦を振り返りました。前回、2月の1人で黙々と鶏肉を煮る日々も良い経験ではあるのですが、今回のCAISSAは、間違いなくこれまでで一番楽しいケチケメート滞在になっています。でも、この日は明らかに食べすぎですね!

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