2013/09/17

FS 2013 September IM 10th and 11th rounds - Up Dawn -


最終日前日の16日は、再び1日2試合です。外に出る時間はなく、試合しかしていないので、すぐに解説に入ります。

Kojima, S (FM, JPN, 2357) - Dokuchaev, A (RUS, 2239)
First Saturday 2013 September IM (10)

1. Nf3 e6 2. c4 c5 3. Nc3 Nf6 4. g3 Be7 5. Bg2 d6!?



私はQGD Tarrasch を予想していたので、このようなHedgehog 型でくるとは意外でした。実を言えばさほど白で経験はありませんが、自然に進めれば白にわずかなアドバンテージがあるでしょう。

6. d4 cxd4 7. Nxd4 a6 8. b3 Qc7 9. Bb2 Nc6 10. O-O Bd7 11. Rc1!


私の好きなアイディアです。黒が気付かなければ、白の意図する手が決まりますが...

11... Nxd4 12. Qxd4 Bc6?! 13. Nd5!



これで大きな優勢に転じました。このようにビショップナイトを交換する or ポジションを開く手は典型的で、昔から私の好きなアイディアです。

13... Qa5 14. Bc3! Qd8 15. Nxe7 Kxe7 16. Bb4!


ここは白マスビショップを交換しても、d6 のポーンさえ狙えば勝ちに十分なアドバンテージがあると考えました。黒マスビショップを失った黒は、d6 のディフェンスに苦労します。

16... Bxg2 17. Kxg2 Qc7 18. Rfd1 Ne8 19. e4



ここはすぐに19. c5! でも良かったのですが、c6-g2 のダイアゴナルを閉じ、d5 のマスを先に抑えておくことにします。

19... b6 20. e5 Qc6+ 21. f3 Rd8 22. exd6+?!


22. c5!+- ここは完全に勝負の決まるこの一手を読み落としていていました。本譜でもポーンを取って白勝勢ですが、決定打を見つけるのにはまだ時間がかかります。

22... Kd7 23. a4 Rb8 24. Qh4 f6 25. Re1!?



e6 のポーンが弱まったので、そちらを揺さぶりにいきます。

26... g6 26. Re2 h5 27. Rce1 g5 28. Qd4 e5 29. Qd3


29. Rxe5! fxe5 30. Qxe5 Rh6 31. Qe7+ Kc8 32. Qxe8+ Qxe8 33. Rxe8+ Kb7 34. d7+- このようにルークを切って即勝ちになるのを読み切れないのは、自分の実力もまだまだということですね。

29... Rb7 30. Qf5+ Kd8 31. c5 a5 32. Bd2 Qxc5? 33. Rc1 Qxd6 34. Qc8+ 1-0



それでも盤全体でしっかりゆさぶりをかけ、勝利をもぎ取りました。これで1つ勝ち越し状態となり、肝心の午後の試合を迎えます。私にとっては、こちらが問題でした。


Farago, S (IM, HUN, 2254) - Kojima, S (FM, JPN, 2357)
First Saturday 2013 September IM (11)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6!?



完全に予想外の1. Nf3 でしたが、こちらもドローになりやすいラインは避け、完全に臨戦態勢で勝負します。しかし、ここからの彼の駒組みはかなりトリッキーで、黒が簡単にアドバンテージをつかむことになりました。

5. Qb3 g6 6. cxd5 cxd5 7. Ne5?! Bg7 8. Qa4+?! Nbd7 9. f4 O-O 10. d4 Nb6!


白が無駄にテンポロスしてくれたおかげで、黒は完全に展開のリードを得ました。よくよく見れば、ポジションは典型的な Stonewall Pawn Structure なので、どのようにここから白マスをコントロールするかを考えます。

11. Qb3 Be6 12. a4 Qc7 13. Bd3 Rac8 14. O-O Nc4=/+



序盤が終わった段階で黒はかなり満足です。クイーンサイドは完全に抑え込んでおり、白の黒マスビショップは動くことができません。しかし、キングサイドでのアタック (f4-f5) を恐れすぎたことと、e4 のマスを抑えることにこだわったため、ここからベストの手を指すことができませんでした。

15. Qd1!? Qb6?!


ここはシンプルに15... Rfd8 と指すべきでした。

16. Qe2 Nd6 17. a5 Qc7 18. Bd2 Nfe4 19. Rfc1 Nxc3 20. Rxc3



a5 まで伸ばさせたポーンはターゲットになるかとも思いましたが、白はキングサイドからルークを運ぶことで、それを全く気にせずにプレーできます。ルークを捌いてもまだ黒にわずかなチャンスがあると思いましたが、それは自分のポジションの過大評価だったかもしれません。

20... Qb8 21. Rb3!? f6 22. Nf3 Qc7 23. h3 Qd7 24. Kh2 Bf5!


このようなポーンストラクチャーでは、白マスビショップを交換することは黒にとって好ましいはずです。これでe4, c4 のマスを弱め、自身のナイトの力を強めます。

25. Bb4! Bxd3 26. Qxd3 Rc7?



これは大きなポジショナルミステイクでした。冷静になって考えてみれば、相手のバッドビショップと、こちらのグッドナイトを交換させるべきではないのですが、なぜか残った黒マスビショップが将来的に強いだろうと考え、この交換を許してしまいました。26... Ne4 27. Nd2 Nxd2 28. Bxd2 f5= このポジションは、おそらくドローになるでしょう。ここまでピースを交換していたら、これで満足すべきでした。

27. Bxd6 Qxd6 28. Rb6 Qd7 29. Qb3 e6 30. Re1 f5


これで次にe5 でピースを交換すれば、7段目にピースを重ねることでb7 を守り、ドローを確保できると最初は考えました。しかし、白は勝ちを得るためにキングサイドから更なるゆさぶりをかけることが可能です。

31. Ng5 Re8 32. Re2 Bf6 33. Nf3 Rec8 34. g4!



手を作るならば、当然ここからです。時間のない中、ベストのディフェンスを探します。

34... Re8 35. Rg2 Kf7


35... Kh8 36. g5! (私が恐れていたのは、gファイルを開くのではなく閉じる手です!) 36... Bg7 37. h4! Rec8 38. Kg3+/= これで白はh4-h5 からhファイルを開き、チャンスを得られそうです。

36. gxf5 gxf5 37. Qd1!



クイーンサイドからキングサイドへ! 非常に力強いピースのマヌーバリングです。2200台のレイティングを落としているIM とはいえ、やはりテクニックはあるのだと実感しました。

37... Rg8 38. Ng5+ Bxg5 39. Qh5+ Kf8 40. fxg5 Rg6


これでなんとか40手に到達しましたが、持ち時間が30分増えても、ここからじわじわとくる白のプレッシャーを捌くのは容易ではありません。

41. h4 Kg8 42. Qf3 e5? 43. Rf6!+-



30分のうち、半分以上を使って42手目のようなディフェンスを考えましたが、すぐに破られてしまうダメなアイディアでした。他のアイディアでも白のh4-h5 を止めたり、Qh5-Qf3-Qf4 からのクイーンサイドの飛び込みに対処するのは、かなり難しそうです。

43... exd4 44. exd4 Rc4 45. Rxf5 Rxd4 46. Rf2 Rxh4+ 47. Kg3 1-0


これまで無敗だったIM Farago に負けたのはショックではありますが、ベテランの判断力とテクニックは勉強させてもらいました。この経験は、次の試合、そして次の大会に生かしたいと思います。


9/07 14:30 FM Kojima Shinya 2357 - IM Szalanczy Emil 2261 1-0
9/08 16:00 Verstraeten Rein 2298 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/09 16:00 IM Szeberenyi Adam 2320 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/10 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Sean Winshand Cuhendi 2338 1/2-1/2
9/11 10:00 FM Lyell Mark 2220 - FM Kojima Shinya 2357 1/2-1/2
9/11 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Blazeka Matej 2312 0-1
9/12 16:00 IM Pribyl Josef 2314 - FM Kojima Shinya 2357 0-1
9/13 Bye
9/14 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - FM Fayard Alain 2259 1-0
9/15 16:00 Rudakov Aleksandr 2209 - FM Kojima Shinya 2357 1/2-1/2
9/16 10:00 FM Kojima Shinya 2357 - Dokuchaev Andrey 2239 1-0
9/16 16:00 IM Farago Sandor 2254 - FM Kojima Shinya 2357 1-0
9/17 16:00 FM Kojima Shinya 2357 - Moeldner Juergen 2273

First Saturday 2013 September IM

さて、いよいよ今日が最終戦です。レイティングは残念ながらマイナスが確定してしまいましたが、最下位に沈んでいるドイツ人には何とか勝って、今大会を締めくくりたいところです。


久々のアンダンテ通常ごはん。お客さんにはフォアグラも少し分けてもらいました。


こちらは管理人さんの手作りデザート。洋ナシを使っていて、とてもおいしいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.