2013/11/27

Czech Tour Pilsen Open 3rd round


ピルゼンに到着して3日目の朝、目覚めるとそこは銀世界... とまではいきませんが、昨夜降った雪の残滓を見ることができました。ブダペストでも初雪が降ったと友人から知らせが届いていたので、こちらでもそろそろかもしれないと思っていた矢先のことです。午前中、道に薄く残る雪を踏みしめながら、共和国広場のある中心街へと向かいます。


お昼ご飯はケバブにしてみました。ノーマルなパン生地も良いですが、こうしたトルティーヤ生地で包んでもらい、さらに鉄板でプレスしたものも、また違った美味しさがあります。

この日はさらに、ブルノ同様に銀行でお金をおろすつもりでしたが、地図で調べた場所をいくら調べても、それらしきものが見当たりません。仕方がないので、日本円を両替しようとホステルに戻ることにします。


その途中、空は一部晴れているのに降ってきました! (見えますかね?) これはまさに、レミオロメンの世界... などと浸っている場合ではありません。雪が降り始めてからというもの、とにかく寒くて仕方ありません! チェコにも本格的な冬が訪れたことを感じつつ、ホステルへと退散していきました。悲しいことに、観光は一切なしです。

3R は久々、隣国オーストリアのプレーヤーとの対戦となります。Slav のe3 をメインに準備していましたが、ゲームは意外な展開に。

Ernst, M (AUS, 2164) - Kojima, S (FM, JPN, 2364)
Pilsen Open (4)

1. d4 d5 2. Bf4 c5 3. e3 Nc6 4. c3 Nf6



またもやこれです! 皆さん、ロンドンシステムがお好きですね。私としては、黒がきちんと対応すればオープニングのアドバンテージが取れないため、白で指すことはお勧めしないでしょう。

5. Nf3 Qb6 6. Qb3 c4 7. Qxb6


ここは7. Qc2 Bf5! 8. Qc1 と指すのがもう1つのメインラインですが、テンポ良くビショップを展開でき、スペースも十分な黒が満足であることは、疑いようがありません。

7... axb6 8. Na3 Bf5 9. Kd1?



いや、それはないでしょうと突っ込みたくなる一手です。Na3-Nc2 を指したい気持ちはわかりますが、黒には典型的かつ有効なアイディアが隠れており、すぐに勝勢となります。

9... e5!


1ポーンを捨てて、f4 のビショップとa3 のナイトを同時にアタックするこの手は、8手目でビショップを展開する代わりにも可能です。(8... e5!? は、黒の勝率が良いものの、実際はアンクリアーだと思います。) 本譜では、黒のビショップの位置が良いうえに、白のキングの位置は悪くなっているため、その効果は絶大となります。

10. Nb5 Ra5!



10... exf4 11. Nc7+ Kd8 12. Nxa8 fxe3 13. fxe3 Nd7 と指して、ゆっくりa8 のナイトを取りにいくアイディアもありそうですが、 本譜のほうが黒の優勢が明らかになります。Ra8-Ra5 もこのラインでは典型的なルークのマヌーバリングで、c7 のナイトをフォークをかわしながら、逆にナイトをアタックしてテンポを取ります。

11. dxe5


11. Nc7+ Kd7 12. Nxe5+ Nxe5 13. Bxe5 Ng4! (13... Bd6?! 14. Bxf6 gxf6 15. Nxd5 Rxd5 16. Bxc4 Ra5 17. Bxf7 Ke7 はやや怪しそう。) 14. Nxd5 Rxd5 15. Bg3 Rb5-/+ このように白がピースを捨てても、その代償は十分とは言いがたいでしょう。

11... Rxb5 12. exf6 Rxb2-+



私の思い描いた理想のポジションに到達しました。7段目に突入したルークは追い返されることなく、白の初期位置にいるポーンを食い尽くす大きなチャンスを秘めています。キャスリングの権利もすでに放棄した白にとって、このポジションはすでに絶望的です。

13. Nh4 Bd3!? 14. Bxd3 cxd3


強力なロングダイアゴナルを抑える白マスビショップは消えたものの、6段目に刺さったパスポーンは、最高の位置にいるルークと合わせ、大きなアドバンテージを黒にもたらします。

15. Nf5?



白が粘るならば、15. e4! dxe4 16. Re1 (d1 にキングを寄せたことを正当化する、唯一の手かもしれません。) 16... g6 17. Rxe4+ Kd7 18. Re3 Rxf2 19. Rxd3+ Ke6-/+ と指すべきだったでしょう。いまだポジションは苦しいままですが、本譜よりはずっとマシです。

15... gxf6 16. Bg3 Kd7! 17. a4 Bc5 18. Nd4 Bxd4 19. cxd4 Na5!-+



ナイト、ルーク、ポーンがキングに襲い掛かれば、裸のキングに抵抗するすべはありません。h8 のルークは、おまけで攻撃に参加しても、しなくても良いでしょう。

20. Kc1 Nc4! 21. h4 Rc8


ここは、21... Rc2+ からルークを取っても当然勝ちですが、ルークをもう1つ加えれば、メイトのチャンスがあると考えました。

22. h5 Rc2+ 0-1



以下、連続チェックによる6手でメイトです。皆さん、読み切れますか?

11/24 16:00 Kalist, K (CZE, 1886) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
11/25 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Paldus, P (CZE, 2022) 1-0
11/26 16:00 Ernst, M (AUS, 2164) - Kojima, S (FM, JPN, 2364) 0-1
11/27 16:00 Kojima, S (FM, JPN, 2364) - Abdumilak, Z (WIM, KAZ, 2312)


私が今、最もリベンジしたい相手にここでヒットしました! ブルノの優勝者、Abdumilak には、再び白を引いての対戦です。さすがに白を連続で引いての連敗は許されないでしょう。ここがピルゼンの頂上決戦のつもりで、勝負に臨んで来ようと思います!


右側に座る少女は、机に置いた可愛い虎のぬいぐるみ(ペンケースでしょうかね) がトレードマークで、前日も各上に勝って6番ボードに上がってきました。(2R の対戦相手は試合前、「見てくれよ、この虎、めっちゃ可愛いんだけど~」となぜか私にアピールしてきました。そして敗れましたw) 3R では、IM Piankov おじいちゃんからドローを奪い、まだまだ上位勢に食らいついているようです。

左手前、ひげを生やしたワイルドな青年が、ブルノで私と対戦したGrove, Michael です。私とのCaro-Kann の試合はひどかったものの、今年はGM からポイントを取るような活躍も見せており、この日は2300台のIM に勝利。やはり高いポテンシャルを秘めています。ちなみに私と同じ、1988年生まれのようです。他、1-4B は全て各上が勝ち。Grove を含めて、5人が3連勝となっています。


共和国広場では、クリスマスマーケットの準備がいよいよ大詰めです。屋台のお姉さんからは、ピルゼンのクリスマスマーケットは、本日27日スタートだと聞いています!


夕飯は軽くピザで済ませましたが、その後はデザートにケーキをパクリ。友人の丹野さんからは、チェコのケーキはそんなにおいしくないと聞いていましたが、私にとってはそんなことはありません。早めに試合が終わった後は、こうしてゆったりと過ごすのが至福のひとときです。

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