2013/12/03

Winter Chess IM 1st round


Winter Chess の本番が始まる12/02 の朝、ルームメイトのFM Cruz Lledo, P とともにレストランに行って目を丸くしました。なんと、朝食から生ハムとシャンパンが置いてあります(笑) 他のメニューもチェックして気づきましたが、ここは四つ星のかなり高級ホテルのようです。(大会の申し込みの時点で宿泊場所もきちんと調べてきませんでした。) 前日の夜はブリッツ大会後に、すでに客のいない暗いレストランで残りの食事をいただいたので、レストランのランクもわからなかったんですね。


結局、朝ご飯のメニューはクロワッサン、ベーコン、ソーセージ、オムレツ、生ハム、サラダ、ジュースといった具合です。さすがにシャンパンはパスしました。取らなかったハムやチーズの種類も豊富で、これは夕飯への期待が高まります。


朝食後はホテルのすぐ裏手のビーチに降りてみました。イタリアの記事でも書きましたが、私は海が好きです。シーズンを外しているために海水浴客は皆無ですが、予想していたよりもずっと綺麗な海は大当たりでした。私にとって、ヨーロッパで初めて降りる砂浜です。


ルームメイトのPablo もマヨルカは初めてで、地理がよく分からないようでした。私は見つけた地図で、宿泊したホテルがブリッツ大会会場とは完全に反対の、空港の東側の海岸であることを知り、ならばこのまま海沿いに中心地パルマまで歩いてみようと決めます。散策に付き合ってくれたPablo と別れ、1人海を眺めながらパルマへ向かいます。


途中、お土産屋さんも少し覗いてみました。銅でできた魚やヤモリ、タツノオトシゴは15ユーロぐらいでしたかね。


ブダペストやローマのような大きな都市ではあまり見かけた記憶のない野良猫も、シチリアやマヨルカではよく見かけます。ビーチのお客さんが餌をあげるために、人になつきやすいんでしょうかね。地元神奈川の猫の集まる島、城ケ島を少し思い出しました。


海沿いに歩いていけば、パルマまで迷わないだろうと思っていた私ですが、1時間近く歩いてもパルマがどこなのかよくわかりません。(おそらく、途中で内陸のほうに向かうのですが、そこがどこなのか分かりませんでした。) まぁパルマでにつかなくても良いかと思いつつ、砂浜の終わり付近では、見事なサンドアートを作る男性がいたので、チップを払って写真を撮らせてもらいました。


砂浜が終わると、しばらくは岩場が続きます。そちらにも降りて海を見ますが、やはり水は綺麗です。私は訪れたことがありませんが、日本でも沖縄などは海がとても綺麗だと言いますし、何が違うんでしょうかね。神奈川も頑張れ!


いつまでたってもパルマに着かないので、いい加減諦めた頃、岩場に作られた遊歩道を発見。こちらの先まで抜けてから、ホテルに戻ることを決めました。(前日のブログを更新するためです。) しかし、この遊歩道が意外と長く、終わりが見えません。(笑) なんとか20分程かけて抜けた先でも多少迷いつつ、ホテル付近に戻る15番のバス停を見つけ、1時間半かけて歩いた道のりを、帰りは20分弱で戻ることとなりました。そして海沿いではなく、一本内側の道路を進めば、歩きでもバスでも迷わずにパルマまで着けることを発見... アホでした。


ホテルに戻ってからは、ブログの更新や試合の準備をして、夕飯スタートの6時まで過ごします。6時半前にはPablo とレストランに行きますが、ここでまたホテルのランクを知りました。お客さん中心は50代以上の富裕そうな夫婦で、25歳の私と18歳のPablo はかなり浮いて見えます。当然ですが夕飯のメニューも豪華で、今回のエントリーフィーだけで、宿泊費と食費を賄えるのではないかとさえ思いました。


こちらはパエリア。スペインに来たら食べなければいけませんね。


珍しいと思ったのはこちら、うさぎの足の肉です。うさぎもこれまでどこかで食べたことはあると思いますが、ちょっと思い出せません。


デザートの種類が特に豊富で、かつてすごいと思ったイスタンブールで宿泊したホテルを超えるかもしれません。しかし、試合前の夕飯ということで、今日以降は少し量を調整しないといけませんね。


夕飯が終わって一休みし、午後8時半から試合です。初戦の相手はスペインのFM Cubas Pons、ベテランのマスターです。夕飯の終わったばかりのレストラン脇の部屋を借り、10名によるラウンドロビンがいよいよスタートです。

Cuban Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
Winter Chess IM (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 c5 6. O-O!? Nc6 7. c3 Bg6!?



早めに5... c5 と仕掛けるラインですが、白は最も大人しいセットアップを取ってきました。French Advance で、白マスビショップがポーンストラクチャーの外にいる形は黒にとって好ましいですが、その分、cポーンを突くのに2手かけています。

8. Nbd2 cxd4 9. cxd4 Nge7 10. Nb3 Nc8!?


試合後に、ここは10... Nf5 のほうが自然ではないかと指摘されました。確かにすでにc6-c5 から多少ポジションをオープンにしている以上、クイーンサイドでのプレーよりも、素早く展開してキャスリングを目指すべきだったかもしれません。

11. Be3 Nb6 12. Rc1 Rc8 13. Bb5 Nc4!?



彼はこのポーンサクリファイスはやりすぎで、13... Nd7 と指すべきだろうと指摘しました。しかし、私はこの白マスをコントロールするプランを信じます。13... Be7 14. Na5! は黒にとって厄介で、キャスリングが遅いことが負担になるでしょう。

14. Bxc4 dxc4 15. Rxc4 Qd5?!


白マスを抑えるならば、センターのクイーンの協力は必要かと思いましたが、15... Be7!? 16. Qe2 (16. Qd2 Be4! ) 16... O-O 17. Rfc1 Be4 18. a3+/= のほうが、黒としては面白い代償のあるポジションだったでしょう。

16. Qe2 Bh5?!



ここもBe3-Bg5 から、バッドビショップを解消されることを嫌ったのですが、b1-h7 のダイアゴナルから離れるのはうまくありませんでした。単に16... h6 と突くべきだったでしょう。

17. Rfc1 Be7 18. Nc5!


この手はしばらく来ないだろうと踏んでのQd8-Qd5 だったため、これが可能だと黒は苦しくなります。ビショップを返してもポーンを取り返せば良いと思ったのも、ひどい勘違いでした。

18... Bxc5 19. Rxc5 Qxa2? 20. Qb5!



当然この手は読み筋でしたが、自分の予想よりもずっと強力なアイディアでした。

20... Rc7 21. d5!?


対戦相手は私のキングを攻め潰すことを決めました。より分かりやすいのは、21. Ne1! O-O 22. Nc2 Rfc8 23. Ra1+- とすることで、a2 のクイーンがどこにも逃げられない黒は、ここでリザインするしかないでしょう。

21... exd5 22. Rxc6!



白の攻めのポイントとなるエクスチェンジサクリファイスです。白もバックランクメイトを防がなければいけないので、すぐにh8 のルーク取りはないと踏んでいましたが、それも読み間違いでした。

22... Rxc6 23. Rxc6 bxc6 24. Qxc6+ Kd8 25. g4?


しかし、ここからお互いポジションを難しくします。最もシンプルなのは、25. h4! と指す手で、h2 にマスを作ってバンクランクメイトを防ぎつつ、h8 のルーク取りをスレットにします。黒はこれで1手の余裕を得たものの、キングもルークも逃げるマスがなく、どうしても駒損を避けられないのでした。

25... Bxg4 26. Ng5?



gポーンを捨ててバックランクメイトのスレットを外し、ナイトを攻めに参加させるプランは一見うまいようにも思えます。しかし、ここではとても難しい勝ち筋が白にありました。26. h3!! Qc4 (26... Bxf3 27. e6!! Qb1+ 28. Kh2 Qh1+ 29. Kg3 Qg2+ 30. Kh4 fxe6 31. Bg5+ Qxg5+ 32. Kxg5+- ナイトを捨てても、Be3-Bg5 のメイトスレットを絡めれば、黒はクイーンを捨ててディフェンスせざるをえません。) 27. Bg5+ (27. Qxc4 dxc4 28. hxg4 h5+/-) 27... f6 28. Qxc4 dxc4 29. exf6 Kd7 30. hxg4+/- この2ピースルークのマテリアルは、黒にとってなかなか厳しいでしょう。

26... d4?


これが負けを決定づける一手でした。しかし、手拍子で指したわけではなく、時間をかなり使っても正解がわからなかったので仕方がありません。まだ読みの力が足りないということです。26... Bd7! 27. Nxf7+ (27. Qa8+ Bc8 28. Qb8 Qb1+ 29. Kg2 Qf5 30. Nxf7+ Ke7 31. Qc7+ Bd7 32. Nxh8 Qg4+= 黒はルークを捨ててもパペチュアルチェックでドローにできます。実に難しい!) 27... Ke8 28. Nd6+ Ke7 29. Bg5+ Ke6 30. Qc2 g6 これで形勢はアンクリアーというのがコンピュータの評価です。

27. e6!!



全く予期せぬ一手でした。しかし、d7 のメイトスレットを作りつつ、f7 からポーンを消してBe3-Bg5 のメイトを狙うこのアイディアに対して、うまい応手が見つかりません。

27... fxe6?


粘るならば、27... Bxe6 28. Nxe6+ Ke7 29. Nf4! (29. Nxd4 Qb1+ 30. Kg2 Qg6+ 31. Kf3 Qxc6+ 32. Nxc6+ Kd7 33. Nxa7 Rb8 34. Bd4+/= これはまだ、黒にドローチャンスがあるかもしれません。) 29... Rd8 30. Qc5+ Ke8 31. Qe5+ Kf8 32. Bxd4+/- と指すべきだったでしょう。ピースを捨てては勝負にならないと思いましたが、ピースを守ってキングを死なせてしまっては、本末転倒というものです。

28. Nf7+ Ke7 29. Qc7+ Kf8 30. Nd6! Qb1+ 31. Bc1 1-0



最後までh8 のルークは仕事をすることなく、ゲームは終わりました。キャスリングを早くして、ピースをバランスよく使おうと私もレクチャーで教えているはずですが、こうして自分が実戦で失敗するとは、まだまだ勉強不足です。それにしても、ピルゼンから黒で連敗... ぬぅ。

Winter Chess IM Tournament Schedule

12/02 20:30 R1 Cubas Pons, J (FM, ESP, 2284) - Kojima, S (FM, JPN, 2351) 1-0
12/03 20:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Sorm, D (FM, CZE, 2303)
12/04 10:00 R3 Cuadras Avellana, J (FM, ESP, 2318) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/04 20:30 R4 Dave, D (WIM, IND, 2182) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/05 20:30 R5 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Merry, A (FM, ENG, 2297)
12/06 10:00 R6 Cruz Lledo, P (FM, ESP, 2319) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/06 20:30 R7 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Rodriguez Lopez, R (IM, ESP, 2244)
12/07 20:30 R8 Ivanov, J (IM, BUL, 2385) - Kojima, S (FM, JPN, 2351)
12/08 10:00 R9 Kojima, S (FM, JPN, 2351) - Mascaro March, P (IM, ESP, 2422)

今日は同じく午後8時半から、チェコのFM と試合です。翌日の準備も進めつつ、これから中心地パルマを少し見てこようと思います。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れさまです。 念のため? ノームを意識して残り試合を戦いましょう▼o・~・o▼汗

レクタア博士 さんのコメント...

お疲れさまです。

本日、週刊少年サンデーで連載のチェスマンガ出ましたよ。

Yamagishi さんのコメント...

>14... dxc4 15. Rxc4 Qd5?!

白の Bxc4 が抜けていますね。

Shinya_Kojima さんのコメント...

匿名さん 今回のノームは6.5P のようですね。なかなか大変そうです。

レクタア博士さん みたいですね。私も帰国後、読んでみようと思います。

Yamagishi さん ご指摘ありがとうございます。修正しておきました。

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