2014/02/20

Chess in Georgia Vol.1


昨夜、Facebook では、Chess News に掲載されていたボツワナのチェスの記事(こちらもおススメです!)について触れたのですが、こちらのブログでは、また違う国について2回ほどに分けて触れてみようと思います。分類が西アジアなのか東ヨーロッパなのかは難しいところ。チェスの世界ではヨーロッパだと考えるのが一般的でしょうかね。タイトルにある通り、扱うのはグルジアです。

グルジアはトップ10名の平均レイティングによる世界ランキングが16位、GM 数は27人で、私が留学していたハンガリーほどではないにしろ、世界的にチェスのレベルの高い国です。特に女子プレーヤーのレベルは高く、1962年から1978年まではNona Gaprindashvili, 1978年から1991年まではMaya Chiburdanidze と、2人のグルジアの女子プレーヤーが30年もの間、女子の世界チャンピオンの座を守ってきました。私がチェスを始めた頃、グルジアの女子のレベルが高いと聞いて、それがなぜなのか理解できていませんでしたが、それもそのはずです。91年のソ連崩壊まで、グルジアは世界最強のチェス国家、ソ連の構成国でした。(それを踏まえれば、2人の女子チャンピオンも、ソ連人だと考えるのが正しいかもしれません。)

91年以降は、中国女子のレベルが上がり、初の中国からの女王となったXie Jun, カタールのGM Al-Modiakhi と結婚してカタールに移籍し、中国チェス界を揺らしたZhu Chen らが台頭し、現在はその後を継いだHou Yifan が女子世界チャンピオンとなっています。それでも女子のレベルが高いのはどこなのか聞かれれば、現在でも中国やグルジアだと答えるでしょう。GM のタイトルを持つ女子プレーヤーが3人以上いるのは(WGM じゃないですよ!)、 世界中を見渡してもロシアとウクライナと中国、そしてグルジアだけです。


チェコではWIM Abdumalik のコーチを務めていた、グルジアのGM David Arutunian

一度、女子から話題を切り離しましょう。私個人の感想ですが、グルジアに24人いる男子のGM たちは、プレーヤーであると同時に、コーチ業を多く務めているような印象を受けます。私がチェコで出会ったカザフスタンの少女、Abdumalik はコーチにグルジアの有名なGM David Arutunian を連れており、ヨーロッパ遠征を行っていました。(その遠征は現在も継続中のようです。) そして、ヨーロッパ以上にグルジアのGM を多く見かけるのは、グルジアから遠く離れたアメリカです。アメリカの大きな大会では、驚くほどグルジアのGM の姿を見かけ、聞けば彼らはグルジアを離れてアメリカでのコーチ業を主に行っているそうです。プレーヤーの数や大会の規模を考えれば、アメリカに渡るほうがチェスコーチとして稼げるのでしょうね。私がアメリカの大会で会ったGM は、Gelashvili, Jojua, Sanikidze, Kekelidze らでしょうか。グルジアのランキング5位の GM Gelashvili とは、3年前に対戦もしています。

Kojima, S (FM, JPN, 2328) - Gelashvili, T (GM, GEO, 2616)
World Open (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. g3 a6 4. Bg2 b5 5. b3 c5 6. Nc3 Qb6 7. e4 d6 8. d4 Bb7 9. d5 e5 10. O-O g6 11. Qe2 Bg7 12. cxb5 O-O 13. Nd2 axb5 14. Qxb5 Qc7 15. Qd3 Ba6 16. Nc4 Nbd7 17. Nd1 Nb6 18. Nde3 Bh6 19. f4 Nfd7 20. Bb2 Bg7 21. Qc2 Rfb8 22. Rfd1 Nxc4 23. Nxc4 Bxc4 24. Qxc4 Rb4 25. Qe2 exf4 26. Bxg7 Kxg7 27. gxf4 Qd8 28. Rac1 Qf6 29. Rf1 Kg8 30. Kh1 Qg7 31. e5 dxe5 32. fxe5 Qxe5 33. Qxe5 Nxe5 34. Rxc5 Rxa2 35. d6 Rg4 36. Bh3 Rh4 37. Rc3??



シンプルに37. Bg2 と戻っていれば、黒からはあまりうまい手がなく、ドローにするぐらいが関の山でした。

37... Rd2 38. Re1 Ng4 39. Bxg4 Rhxh2+ 40. Kg1 Rhg2+ 0-1


この久々のアメリカでの大会、前半は好成績でしたがこの黒星から大きく崩れてしまいました。それでも、強豪国グルジアの代表クラスと試合ができたのは、3年前の私にとって大きな経験となったのです。

今回、グルジアのトッププレーヤーについて記事を書こうと思ったのですが、調べてわかったことプラス、私の経験から、書きたい内容が多くなってしまったので、2回のシリーズに分けることにしました。次回の記事でスポットを当てるのは、グルジア不動のトップGM Jobava Baadur です。

Vol.2 に続く

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