2014/02/18

Rubinstein Master - GM Ivan Sokolov -

今年、IM を真剣に目指すことをふまえて白番のオープニングを見直してみたところ、1つ気になる形がありました。それがNimzo-English と呼ばれる以下のポジションです。

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4



全てのNimzo-Indian プレーヤーが、黒でこの形を指すわけではないと思いますが、考え方は分かりやすいと思います。これに対し、1.Nf3 の研究を始めた当初は、4. Qc2 から、a2-a3 を突き、ダブルビショップで勝負をするラインを指すことを決めていました。しかし、これがまったくもって私とマッチせず、ノルウェー、ルーマニア(No.1 GM のNisipeanu!)、スウェーデンのマスターたちに、ことごとく敗れる結果となりました。3試合ぐらいでなにをぐだぐだ言ってるのかと思われるかもしれませんが、昨年のFS GM クラスの最終戦、ドローでIM ノーム確定のゲームで、スウェーデンのFM Westerberg に何もできずに負けたことのショックは非常に大きいものでした。(最終戦、負けたのにIM ノームを獲得できたのは、完全にラッキーでした。)

それから昨年秋にハンガリーを離れるまで、3. Nc3 ではなく、3. g3 と指してCatalan にするアイディアも試してきましたが、3... Bb4 に対する苦手意識を完全に払拭できないのは癪なので、また少しこちらのラインを調べ直しています。そこで私の頭に昨日ぐらいから浮上してきたのは、Nimzo-Indian のメインライン中のメインラインとも呼べる、Rubinstein Variation を白で指すという選択です。

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3



この変化は黒で散々アイディアを研究しながらも、白で指すという考えはこれまで欠片も頭にありませんでした。しかし、考えてみればそこまで白でこの変化を嫌がる理由は何一つとしてありません。今年、自分のチェスの幅を広げるためにも、このNimzo-Indian のメインの変化にチャレンジしてみようと思います。1. d4 を指しても良いですし、ラインは限定されますが、1. Nf3 から入るのもありでしょう。


Dutch GM Ivan Sokolov, Chessdom より

そして私が新しいオープニングを調べる際に必ずやるのは、そのラインでのゲームを多く指し、モデルとしやすいGM を探すことです。Rubinstein ならば、Aronian かなと思っていましたが、調べてみると意外とゲームが多くありませんでした。そこで初めて、このGM にスポットを当ててみることにします。それがオランダのNo.3 GM Ivan Sokolov です。

Sokolov は現在、レイティングが2650、世界ランキングは100位をわずかに割る位置です。あまり詳しく知らないプレーヤーも多いかもしれません。私としても、オランダ代表の一人で、かつてカペルで見かけたことがある(しかし、不調でどこのボードで試合をしていたかよくわからなかった...) ぐらいの印象でした。しかし、もう少し深く考えてみれば、かつてKasparov をRubinstein Variation で破ったゲームは有名ですし、彼の著書であるWinning Chess Middlegame は、前半とにかく彼のNimzo-Indian Rubinstein Variation のゲームが多く使われています。そこで今回、Rubinstein Variation を調べるにあたり、最初の師匠と仰ぐべきは彼なのではないかと考えたわけです。(これを伝えるためだけの、長すぎる前置きでしたw) 実際調べてみるとSokolov は白番で100試合近くRubinstein Variation を指しており、勝率もかなり高いです。今日並べたゲームの中で、面白かったゲームを一つ紹介しておきます。

Sokolov, I (GM, NED, 2657) - Maze, S (GM, FRA, 2579)
EU-ch 10th (11)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. a3 Bxc3+ 6. bxc3 d5 7. cxd5 exd5 8. Bd3 c5 9. Ne2 b6 10. O-O Ba6



白の最も危険なピースである白マスビショップを交換することは、黒として最もロジカルなプランだと言えそうです。しかし、それでも白はセンターとキングサイドでアドバンテージを主張します。

11. f3! Re8 12. Ng3 Qc8 13. e4 cxd4 14. cxd4 Bxd3 15. Qxd3 Qa6


クイーンをこのように使い、交換を持ちかけるのが黒のQd8-Qc8 のアイディアです。(こうした少し凝った手の作り方は、日本のプレーヤーに見習ってほしいと思います。) これに対して白は当然、このクイーン交換を避けます。

16. Qe3! Nc6 17. e5 Nd7 18. f4 Qa4 19. Bb2 Na5 20. Qf3 Qb3 21. Bc3!



こうしたポジションで私が難しいと考えるのは、クイーンサイドからのカウンタープレーにいかに対応しつつ、キングサイドでのアタックチャンスを求めるかです。このバランスを間違えると、クイーンサイドを突破され、白は駒か攻撃のチャンスを失うでしょう。

21... Rac8 22. Ne2!


ナイトはf5 に向かうものだとばかり思っていたので、ここで一度守りに使うのが面白いアイディアだと感心しました。このナイトはまた別のルートで攻撃に戻ってきます。

22... Qb5 23. f5 Nf6 24. a4 Qa6 25. Nf4!



a5 を取る選択肢もありそうですが、こうしてd5 の孤立ポーンを攻撃すれば勝負ありです。マテリアルは1ポーンダウンでも、黒のセンターからキングサイドにかけての負担はとても大きいものです。

25... Ne4 26. Nxd5 Nxc3 27. Nxc3 Nb3 28. Rad1 Qa5 29. Ne4 1-0


Sokolov のプレーについては、これから彼の著書も読みつつ、勉強させてもらおうと思います。

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