2014/02/13

The Highest Level Training In Japan In February 2014


寒さの続く中、今月の羽生さんとのトレーニングの日を迎えます。このトレーニングも、12月の帰国以来3か月連続となり、すっかり習慣となりました。1月は他のプレーヤーも呼んで多人数でにトレーニングでしたが、今月は再び2人に戻ります。いつも通り、午前中のラピッドからスタートです。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Training (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. f3!?



先月のトレーニングでは弘平くんと指したSlav Classical の6. Ne5 が登場します。私も白でこのポジションを持つので、9手目は何を指すか頭を悩ませるところ。羽生さんはf3-e4 からセンターポーンを伸ばすプランをチョイスしました。

9... Nfd7 10. e4!? Nxe5 11. exf5 Ned7 12. d5 g6! 13. dxc6 bxc6 14. Qd4 Rg8 15. Be3?!


この新手はあまり有効とは言えなさそうです。ルークをアクティブに働くことを許しても、15. fxg6! Rxg6 16. Qf2!? と指すのが正解でした。白はダブルビショップ、黒は早い展開でバランスは取れています。

15... gxf5 16. Rd1 e6 17. Nb5?



アイディアとしてはありえるだろうと思っていましたが、さすがにこのタイミングではやりすぎです。単純にピースを取っても良さそうですが、少し考えてもっと安全な手をチョイスします。

17... Nd5!-+


ターゲットとなるb6 のナイトをあらかじめ逃がしつつ、Bf8-Bc5 をスレットにします。b5 のナイトを頂くのは、それからでも遅くありません。

18. g3 cxb5 19. Bxb5 Rc8! 20. Qa7 Rc7 0-1



白は最後のクイーンの飛び込みも働かず、ここでゲームオーバーです。ちょっと羽生さんらしくないゲームでした。

そして検討と多少の研究の後、羽生さんからハンガリー料理を食べにいこうとのお誘いが! 1月に私が近くでハンガリーレストランを見つけたのですが、前回の集まりでは休日だったため、満席で入れなかったのでした。私が再び行きたがっていたこと、覚えていてくださってありがとうございます!


そんなハンガリー料理でまったりランチ。羽生さんはパプリカを使ったハンガリーの伝統スープ、グヤーシュのセット、私はエビのクリームコロッケとポークソテーのセットでした。私の頼んだセットは、あまり懐かしいハンガリーの味ではなかったかも(笑) 一方で、とてもポピュラーなハンガリー料理は、羽生さんに気に入っていただけたようで何よりです。

昼食の席では、相変わらずチェスの研究の話や仕事の話を。1時間弱の昼休みののち、色を交代して2試合目です。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. g3 dxc4 5. Bg2 Nc6 6. O-O Rb8 7. Bg5!?



少し悩みましたが、Catalan にすることにしました。このラインは黒が多少のリスクを伴いながらも勝ちにいくチャンスを作れるので、白もどう対応するべきか難しいところです。

7... Be7 8. e3 O-O 9. Nfd2


Rb8 ではなくa6 の形ですが、9. Qc1!? と指す手をPostny の試合で見たのに、試合中は忘れていました。(そして、検討ですぐに思い出すという...) アイディアは黒のc4-c3 を防いでおきつつ、隙を見てb2-b3 から1ポーンを捨て、aファイルとc5 のマスのコントロールで戦うというものです。

9... e5! 10. Bxf6 Bxf6 11. d5 e4 12. Nc3



検討では、もう1つの手の可能性も深く掘り下げます。12. Nxc4 b5 13. dxc6 bxc4 14. Nc3 Rxb2 15. Nxe4 c3!-/+ 黒の15手目は見落としていましたが、別の変化を羽生さんと考えることで、たくさん勉強させてもらいました。こうしたポジションでアイディアを出し合うことは、このトレーニングの大きな目的だと思っています。

12... Bxc3 13. bxc3 Qxd5 14. Bxe4 Qc5


黒のダブルポーンがもう少し悪い形であれば、白もポーンの代償があると考えたいところですが、このポジションではd3 の重要なマスを抑えられているため、むしろ黒のダブルポーンはよく働いていると判断できそうです。

15. Qe2 Ne5! 16. Rfd1 Bg4!-+



指される直前まで、少しこの手を過小評価していました。e3 のポーンを弱めては、白が戦いを続けることは難しくなるでしょう。

17. f3 Bh5 18. g4 Bg6 19. Bxg6 fxg6 20. Kg2 b5 21. f4 Nd3 22. Qf3 Rbe8


シンプルですが、e3 にプレッシャーをかければ、黒は決定的なアドバンテージを掴むでしょう。最初、次の手はNd2-Ne4 を考えていましたが、Qc5-Qe7 で何事もなくe3 が落ちて終わりでした。

23. Nf1 g5 24. f5 g6 25. e4 Qe5 26. Ng3 Qxc3 27. Kh1 Qd4 0-1



この日は互いに白のプレーに冴えがなく、1勝1敗でした。(ブログの記事タイトルは、改めなければいけないかもw) その後、ブリッツ4試合、そして羽生さんの提案したポジションの研究と進み、7時間ほどのトレーニングはあっという間に終了したのでした。羽生さんが時間を取れるようであれば、また来月もトレーニングをお願いしたいと思います。

2 件のコメント:

Yamagishi さんのコメント...

>ターゲットとなるb6 のナイトをあらかじめ逃がしつつ、Nf8-Bc5 をターゲットにします。
「Nf8-Bc5」は悪手で「Bf8-Bc5」が正着でしょう。

Shinya_Kojima さんのコメント...

修正しておきました。ご指摘ありがとうございます。

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