2014/05/07

Japan Chess Championship 2014 Final Day


全日本選手権は無事に昨日、最終日を迎えて閉幕しました。優勝を争っていた南條くんと私は、ともに最終戦を勝ち、南條くんが10.5/11 という驚異的なスコアで優勝を決めました。私も南條くんとの5R のドロー以降、後半戦6連勝で追いすがりましたが、最後まで0.5P の差が縮まらず、単独2位でのフィニッシュです。

1st Place 南條遼介 (CM, JPN, 2308) 10.5p (0.5 小島)
2nd Place 小島慎也 (FM, JPN, 2346) 10p (0.5 南條、権田)
3rd Place Lewis A (FM, ENG, 2281) 8p (0 南條、小島 / 0.5 松尾、桑田)
4th Place 小林厚彦 (JPN, 2058) 7p (0 南條、小島、松尾/ 2 bye)


私は今年も2位に終わりましたが、10/11 というスコアは自己ベストですし、FIDE レイティングも27プラスということで、IM タイトルに再びぐっと近づきました。タイトル奪還はなりませんでしたが、オリンピアードチームメイトである南條くんが好調であることは、私にとっても喜ばしいことですので、2人でチームを牽引していければと思います。南條くん、3回目の全日本優勝、おめでとう!

それでは最終戦のゲームへ移ります。麻布の13代先輩である松尾さんとは、百傑に引き続き2度目の対戦、色も同じ黒です。前回は優勢なエンドゲームを粘られてドローにされてしまったので、今度こそ勝ちを目指します。

Matsuo, T (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
Japan Chess Championship 2014 (11)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6 14. Ne4 Rd8 15. g4!?



たまたま百傑のChirs 戦でも、このe4 にナイトを残した形でのg2-g4 ギャンビットが登場し、黒の受けを考える良いきっかけを得ていました。個人的にはe4 にナイトを残していると、黒の典型的なディフェンスであるf7-f5 がナイトをアタックするうえ、黒はまだキャスリングしていないので、このg2-g4 は早すぎると思っていましたが、実際に試合を進めてみると、もう少し難解なポジションであることが分かります。ちなみに3年前、馬場さんと名古屋で指したゲームでは、15. Nxf6+ Nxf6 16. Qe2 c5 17. c3 O-O と進んで、黒が満足なポジションになりました。

15... Nxg4 16. Rdg1!? f5 17. Ng3!?


このナイトが戻る手は1手損になるうえ、f2 の守りがなくなるので変だと考えていました。この時点でピースをサクリファイスするアイディアもありますが、17. Qe2!? c5! (17... fxe4 18. Qxe4 Ndf6 19. Qg6+ Kd7 20. Rxg4 Nxg4 21. Qxg4 Bf6=/+ これでも駒得で黒が指しやすいですが、キングのポジションがやや不安定です。) 18. Nh4!? O-O 19. Ng6 Rfe8=/+ こうして黒は安全にキャスリングを済ませ、優位に試合を進めることができるでしょう。

17... c5!?



17... Nxf2?! 18. Qe2 Nxh1 19. Nxf5! という強烈な返しがあるので、h1 のルークを取るのが危険だと判断した私は、6段目の利きを開いて、クイーンを利用したディフェンスができるようにしました。このアイディアはもちろん悪くありませんが、17... Qb5! (d5 をアウトポストにする、Caro-Kann Classical では典型的なクイーン交換のアイディアです。) 18. Qxb5 (18. c4?! Nde5! は見つけづらい1手でしょう。) 18... cxb5 19. Re1 Nf8=/+ このようにして、ピースサクリファイスからの難解なポジションを避けることも、黒の選択肢としてありえました。

18. Nxf5!!


g3 に白がナイトを戻した以上、黒としては最も警戒すべきアイディアです。これを受けきれると読んだうえでの、c6-c5 でしたが...

18... exf5 19. Qxf5 Nxf2 20. Rg6?



これは試合をあっさり終わらせてしまう、もったいないブランダーでした。白がピースの代償を求めるのであれば、クイーンではなくキングを攻撃しにいくべきです!

20. Rxg7! Qf6 21. Rxe7+!


Analysis Diagram

私の読み筋にもありましたが、予想よりも黒のピースの連携は取れておらず、十分に白が戦えるポジションになります。21... Kxe7 22. Re1+ Kf8 23. Qd5 Qc6 (23... Re8 24. Qxd7 Ne4=) 24. Qf5+ Qf6 25. Qd5= こうなれば、白はルークをサクリファイスしたままの状態で、パペチュアルチェックに持ち込むことができました。黒がこれを避けようとすれば、f2 のナイトは諦めるほかなく、エクスチェンジの代償がありそうな難しいポジションになるでしょう。

20... Rf8! 0-1



クイーンを逃がす前に、白のクイーンを攻撃してしまえば、白にはこれ以上、ピースの代償を伴って戦う方法がありません。たった1マス、ルークを置く位置を間違える悪手でゲームが終わり、松尾さんにとっては惜しまれるゲームだったでしょう。こうして南條くんから多少遅れながらも、10P での単独準優勝を決めました。

今回、私が知る限りで最多の48人という参加者があり、各所で面白いゲームも見られました。自分のプレーについてだけでなく、試合をしていた自分の生徒たちの成長や今後の課題が見えたことも、私にとっては大きな収穫でした。満足な結果を残せた人も、そうでなかった人も、今年の後半戦、これからもまた頑張っていきましょう。

最後になりますが、参加者と運営陣の皆さん、6日間本当にお疲れ様でした! それでは次回はどこかのトレーニングや、6月の快速選手権でお会いしましょう!


スピーチ中の南條くん。10.5/11 という新記録にも触れてほしかったです。 Photo by Hiebert


池上会館の猫。次にこの会場に足を運ぶのはいつになるでしょうかね。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058) 1-0
05/04 10:00 R7 Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/04 15:30 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Lewis, A (FM, ENG, 2286) 1-0
05/05 10:00 R9 Watanabe, A (FM, JPN, 2258) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/05 15:30 R10 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Averbukh,A (JPN, 2179) 1-0
05/06 10:00 R11 Matsuo, T (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1

2 件のコメント:

Wada.H さんのコメント...

全日本選手権お疲れ様でした&準優勝おめでとうございます(*´∀`*)
次回こそタイトル奪還を達成できるように頑張ってください!でもまずはIMタイトル獲得ですね☆応援してます!!
またお会いするのを楽しみにしています(^^♪

Shinya_Kojima さんのコメント...

Wada ちゃん、お祝いのコメントありがとう!
そちらもゴールデンオープンでの初勝ち越し、良かったね! これからもっともっと、勝てるようになると思うよ。今後もお互い、頑張りましょう~。

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