2014/07/30

Tromso Olympiad Tournament Schedule


いよいよトロムソへの出発前日となりました。明日の午前中の便でコペンハーゲン、オスロを経由し、現地の夜に到着予定です。いまさらですが、今回のオリンピアードのスケジュールを確認しておきましょう。

7/31 11:40 成田発、現地時間 21:45 トロムソ着
8/01 19:00 オープニングセレモニー
8/02 15:00 R1
8/03 14:00 R2
8/04 14:00 R3
8/05 14:00 R4
8/06 14:00 R5
8/07 Rest Day
8/08 14:00 R6
8/09 14:00 R7
8/10 14:00 R8
8/11 14:00 R9
8/12 14:00 R10
8/13 Rest Day
8/14 11:00 R11 19:00 クロージングセレモニー
8/15 06:30 トロムソ発
8/16 09:05 成田着

以前、ヨーロッパのトーナメントスケジュールを書いた際にも思いましたが、こうして見ると長いですね! 日本とノルウェーの時差は現在7時間ですので、R1 の中継は日本時間の22時、R2 からは21時のスタートとなります。日本のチェスファンにとっては、割と見やすい時間でしょうかね。それでは明日から17日間、よろしくお願い致します。各国代表たちとの再会、および対戦を楽しみに行ってきます!

トロムソオリンピアード公式HP

2014/07/28

Nagoya Open 2014 Tournament Information


前回の名古屋遠征は、ほぼ3年前です。

オリンピアード直前ですが、来月の国内大会の告知を出しておきます。ハンガリーに留学していたため、2012年、2013年の2年間は足を伸ばせなかった名古屋ですが、今年は行くつもりです。今年の名古屋オープンは8月最終週の週末、30日31日の開催となります。

日程: 2014年8月30日(土)、31日(日)
会場: 東桜会館
形式: 60分+1手30秒、6R スイス式
参加費: 10000円(18歳未満8000円、早期振込み割引有り)
大会詳細: 名古屋チェスクラブ

かつては初日が2試合で、合計5Rだった名古屋オープンは、知らぬ間に6Rに増加されたようですね。今年はジャパンリーグに参加できないため、もう1つの大きな賞金トーナメントである名古屋に行くわけですが、朝から60フィッシャーを3試合ずつ、2日間というのはきついスケジュールになりそうですね。

2011年には、名古屋オープンと中部快速の2つの大会を優勝した私にとって、名古屋は相性の良い地です。9月2日には山梨に行く可能性があるので、名古屋でゆっくりできるかは分かりませんが、久々に中部、関西圏のプレーヤーと交流できる機会を楽しみにしています。関東からの参加を検討している皆さんも、よろしくお願い致します。

2014/07/26

Junior Championship 2014 Day1


今日は午前中にMisha とのトレーニングをこなし、蒲田でジュニア選手権の見学、そして渋谷でレッスンの仕事というスケジュールでした。Misha にはサマーオープンの試合をチェックしてもらい、色々と鋭い指摘を貰っています。私も結構しっかり指すようになってきたと思っていましたが、Misha に比べるとまだまだですね(笑)

年に一度、日本のジュニアチャンピオンを決める全日本ジュニア選手権は、今日と明日2日間の開催です。リストトップで、レイティングをリスト2位と大きく離している唐堂くんは、日程を間違えて1R で不戦敗という、大変よろしくないスタート。しかし彼の悲劇は2R にこそありました。


初日3連勝の福住くん(左)

初の公式戦で、まだUR ですが、日吉のトレーニングでは高い評価を受けていた福住くんが、唐堂くんを2R で破り、3R も勝って3連勝です。私も2R の後半と3R の前半を見ましたが、初公式戦の高校1年生とは思えない、落ち着いた指しまわしでした。海外勢ではなく、日本にいながらネットで腕を磨いたそうで、日本にも若いダークホースが隠れているものだと感心させられました。


3R2B は相馬 - 大多和というペアリングでした。

関西の中学生としてはおそらくNo.1 の実力を持ち、今年は全日本でも最年少選手としてプレーした大多和くんは、2勝1ドローで初日を終えています。3R のドローは久々に姿を見る相馬アーディくんで、彼も2勝1ドロー。2R では1B で、リスト2 のヒーバートケンジくんを破っています。リスト1、リスト2 が初日の前半で陥落した今年のジュニア選手権、2日目も多少荒れそうな予感がしますね。


注目の3R1B は、柏原くんが黒で勝ち星を収めました。

1B で行われた、麻布と高槻のエース対決、堀 - 柏原戦は、黒がKing's Indian で押し切ったようです。初の全日本では苦戦を強いられた柏原くんですが、その経験がこの大会で生きると良いですね。柏原くんとは空き時間にブリッツをしましたが、レイティング以上の実力がありますし、関西ではトップのジュニアであることは間違いないと思います。

ジュニア選手権は2日目の明日も、午後の早い時間に見学に行くつもりです。2日目も皆さん、頑張って下さい! IVL メンバーの唐堂くんも、残り3試合しっかり!(笑)


夕方からはこんな感じでした。(デザートはレッスン終了後です。) 私のメインの仕事については、オリンピアード後に機会を見て記事を書こうと思います。

2014/07/24

Tromso Olympiad Team Lists


オリンピアードの出発まで1週間と迫り、ようやく女子チームも含めた全チームのリストとメンバーが公開されました。情報を真っ先に伝えてくださった長谷川さん、ありがとうございます! ロシアの女子チームがエントリーの遅れで出場が危ぶまれるなどの話題もありましたが、無事にエントリーできているようです。公式HP ではなく、Chess Results のリンクを貼っておきます。


以前の記事では、アルメニアやオーストラリアのボード順が妙だと伝えましたが、あれは単にアルファベット順に並べられていただけで、きちんとAronian やSmerdon が1番ボードに修正されていました。ただし、アゼルバイジャンはGuseinov がトップボードを務め、ランキング1位のMamedyarov は2番でプレーするようです。こうした、ちょっとしたボードの入れ替えは、国ごとの作戦でしょうね。(それにしても、アゼルバイジャンのことを考えると、Gashimov が生きていたらと思わずにはいられません...)

しかし、問題は日本チームにありました。日本の女子チームは、1番ボードから、橋本、星野、雨宮、長谷川、若林の順にすると、チーム内の話し合いで決めており、国内レイティング順でボードを決めると発表した渡井さんを、私が説得したはずでした。(快速選手権の試合結果を反映したレイティングを、オリンピアードのボード順に採用するのはどう考えても変です。) しかし、今日の発表を見ると、3番ボードと4番ボードの雨宮さん、長谷川さんの順番が逆になっています。一体どうしてこうなったのでしょうか、現在こんな気分です→ (-_-;)


JCA にはボード順の申請をどのようにしたのか、確認したうえで、可能ならば修正するようメールしておいたので、現在連絡待ちです。資金繰りでの開催自体や、ロシア女子の参加が危ぶまれるなど、開催までにトラブルの話題が何かと絶えないトロムソオリンピアードですが、なんとか安心して現地入りを果たしたいところですね。出発日の異なるメンバーもいますが、基本的に日本チームがトロムソに経つのは、31日午前の便です。

2014/07/23

Susumu Kuwata's Chess Blog


8th IVL より, Photo by Hasegawa

13年前、麻布学園チェス部の部室に、ひょっこりと1人の小柄な少年が現れました。私は数日前に入部したことで謎の先輩風を吹かせ、その子にチェス教えてあげることにしました。しかし、彼は将棋の経験があったうえ、チェスのセンスもピカイチで、私は何事もなく敗れました(笑) それが14年目の付き合いになる、私と桑田くんとの出会いです。

そんなACC の同期であり、現KUCC の設立メンバーでもある桑田くんが、チェスのブログを始めたようですので、今夜はそちらをご紹介しておきます。タイトルはひねりがないですが、そこがまた桑田くんらしくて良いですね。


そして最初の記事には、かなり驚かされました。彼の2010年以降の棋譜が200試合以上、text ファイルで公開されており、pgn 形式でダウンロードすれば、チェスベースで開くことも容易になっています。私も自分のゲームをかなりオープンにする人間だと思いますが、まさかいきなりサマーオープンまでの全棋譜を出してくるとは... 白番での1.e4 と、黒でのCaro-Kann、Slav Defence をチェックしたい人にとって、彼のゲームは必見だと思いますが、日本のプレーヤーは、彼のプレーからそれ以上のことを学べると思います。

5月の全日本選手権でも彼や汐口くんと話をしましたが、桑田くんのプレーは「足ることを知る」とでも言えば良いでしょうか。白番であれば、わずかな優位(ピースの展開のリード、スペースアドバンテージ、そしてそれらがもたらすアタックのチャンスなど) で十分に戦えること、一方で黒番であれば、多少の不満(展開の遅れ、スペースの狭さ、ダブルビショップの放棄など) があっても戦えることを、高いレベルで理解しています。欲を出して、無茶なアタックを仕掛けたり、楽な勝ちを求めたプレーをすることは、結局勝つためには遠回りでしかなく、不確実な方法であることを、よく分かっていると思います。

6年前に彼が慶應義塾大学に入学してきて、チェスサークルを設立をしたことが、今日の私や彼のチェスつながっています。今後も友人として、ライバルとして付き合いは長いと思いますので、彼のプレーを見守り、勉強させてもらうつもりです。ブログの更新は大変だと思いますが、今後の記事も楽しみにしています。

2014/07/22

Summer Open 2014 Day2


Open Class 入賞者たち

オリンピアード前、最後の公式戦であるサマーオープンが終わりました。結果は私が6連勝で優勝です。6試合以上の大会で、全勝優勝は久々ですね。2000以上のリスト2-4 の3人とも、面白い試合ができたので満足です。

1st Place Shinya Kojima (FM, 2434) 6/6
2nd Place Ichiro Ishii (1906) 4.5/6
3rd Place Susumu Kuwata (2181) 4/6


4P は桑田くん、三ツ矢さん、角谷くん、汐口くんの4人が並びましたが、タイブレークで最も高かったのは桑田くんでした。今日の棋譜は、彼との最終戦を載せておきます。

Kuwata, S (JPN, 2181) - Kojima, S (FM, JPN, 2434)
Summer Open 2014 (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 c5!?



去年まではこの手がメインの準備でしたが、ヨーロッパ遠征最後の地、スペインで痛い負けを喫したので、半年以上封印していました。とは言え、しっかり研究し直したわけではなく、桑田くんに指したのは何となくです。

6. Be3 Qb6 7. c4 Qxb2 8. Nbd2 Ne7 9. O-O Nbc6 10. Nb3 dxc4 11. Bxc4 O-O-O 12. Nxc5 Nd5


Caro-Kann Advanced Variation では非常にポピュラーなアイディア、d5 のアウトポストにナイトを運んで、黒マスビショップのダイアゴナルを開いておきます。

13. Bg5 Bxc5! 14. Bxd8 Nxd4 15. Bxd5?



この手は直感でダメだと感じていました。白は15. Ba5! と指してダブルビショップをキープすべきで、そうしていた場合のほうが、黒がエクスチェンジの代償をどこに求めるか、多少難しくなっていたでしょう。

15... Rxd8! 16. Bc4 b5!


これで白マスビショップをシンプルにアタックすると、白はマテリアルをキープし続けることができません。

17. Nxd4 Bxd4 18. Rc1 bxc4 19. Rxc4+ Kb8 20. Qa4 Bb6



これでダブルビショップ vs. ルークのマテリアルとなり、キングへのアタックも防いで黒勝勢です。この後は自画自賛ですが、鮮やかに決まったと思っています。

21. Rfc1 Qxf2+ 22. Kh1 Bh3!


23. Rc8+ からルークを捨てても、パペチュアルチェックが入らないことを確認して、黒からメイティングアタックを仕掛けます。

23. Qc6 Qe2! 24. gxh3 Rd1+ 25. Rxd1 Qxd1+ 26. Kg2 Qe2+ 27. Kg3 Qf2+ 28. Kg4 h5+ 0-1



最後はエクスチェンジダウンながら、29. Kxh5 Qf5+ 30. Kh4 Bf2# となります。試合後に話を聞いたところ、桑田くんも黒番で5... c5!? がメインの用意だったようで、そんな彼とシャープなゲームができたことは、オリンピアード前の良い刺激になりました。

今大会、久々の30秒増加の持ち時間だったためか、私の初日の試合以外にも、エンドゲームまでもつれるゲームが多く見られました。閉会式でも述べましたが、まだ日本のプレーヤーは全体的に、エンドゲームが未熟であるように思えます。オープニングの研究とタクティクスばかりでなく、ポーンエンディングの基本や、ルークエンディングにおけるルークの働かせ方など、基礎からで良いので、少しずつエンドゲームへの理解を深めてもらえればと思います。

また私自身、最近はイベントの主催者やコーチとしての活動が多少忙しく(言い訳ですw)、目立った戦績は残していませんでしたが、このサマーオープンで良い戦績を残せたことは、オリンピアードへの良い弾みとなりそうです。他の代表の皆さんも、お疲れ様でした! 次は7月最終日に、成田でお会いしましょう。

2014/07/20

Summer Open 2014 Day1 - Endgame Day -


Photo by Honma

この2日間は蒲田でサマーオープンです。初日の今日、私は1番ボードで3連勝でしたが、全て60手前後のエンドゲームで、合計180手を超えるハードな内容でした。勝田くん、前田さんとの試合はかなり誤魔化した感じがしますが、3R 汐口くんとのゲームは非常に面白い内容だったので、こちらをご紹介しておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2434) - Shioguchi, T (JPN, 2010)
Summer Open 2014 (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Nbd7 10. e4 Bg6 11. Bd3 a5!?



最近、白でも黒でもClassical Slav の6. Ne5 ばかり指していたので、久々に気分を変えて6. e3 を指してみることにしました。汐口くんの11... a5!? は未知の手だったため、ここから考え始めます。

12. h3 Qc7 13. e5 Nd5 14. Bxg6 hxg6 15. Bd2 N7b6 16. Rfc1 Be7 17. Ne4 Nb4 18. Neg5!


少しイマイチな流れだった気がしていましたが、この力強い1手で白がチャンスを取り戻します。一般的にf7, g7, g6 のポーンストラクチャーは堅いものですが、g5 にナイトを固定されてしまうと、Qe2-Qe4-Qh4 のメイトスレットに対応しなければいけません。

18... Rfd8 19. Qe4! Nd7 20. Qf4!



これでf7 をアタックし、黒マスビショップをいただいておきます。

20... Bxg5 21. Nxg5 Nf8 22. Ra3!?


白は、ここからd3 のマスをカバーしてルークをセンターに回すため、この手をチョイスしますが、黒マスビショップを返しても、d5 のアウトポストにナイトを戻させないのも、有効な作戦だったでしょう。22. Bxb4 axb4 23. Ne4+/-

22... Nd5 23. Qf3 Rd7 24. Ne4 Ne7 25. Rd3 Nf5 26. Bc3 Qd8 27. Nc5 Rc7 28. g4 Ne7 29. Bd2 Nd5 30. Ne4 Nb4 31. Bxb4 axb4 32. b3 Nd7 33. Rc4



私はb4 でビショップナイトの交換になるのは、白にとってありがたいと考えていましたが、汐口くんは1ポーンを捨ててでも、ルークの利きを開こうと考えたそうです。この辺りの考え方は難しいですね。

33... Nb6 34. Rxb4 Nd5 35. Rc4 b5 36. axb5 cxb5 37. Rc5!


ここは時間のない中、勝負の1手です。単にルークを交換しては面白くないと思った私は、ポーンをばらしてもパスポーンを作り、d6 にナイトを跳びこませてf7 を狙うチャンスを残します。この後のサクリファイスは、すでにこの段階で構想にありました。

37... Rxc5 38. dxc5 Qc7 39. Nd6 Ra1+ 40. Kg2 g5 41. Rxd5!



ここはエクスチェンジサクリファイスをして、黒の強力なナイトを取り除いておきます。試合後、これで白良しと読んでいたのかと、汐口くんに尋ねられました。私はcファイルのパスポーンと、e5-e6 のブレイクを両方を防がなくてはいけない黒の負担は、軽くないと判断します。

41... exd5 42. Qxd5 Re1 43. b4 Qe7 44. Ne4 Kh7 45. c6 Rc1


この辺りで私の持ち時間が増えないトラブルがありましたが、時計を交換してゲーム再開。直前のオファーを蹴り、決着をつけにいきます。

46. Qd6 Qe8 47. Nxg5+ Kg8 48. c7 Qa8+



私は48手目を指した後、これはまずいかもしれないと思っていたので、本譜のこの手を見て少し安心しました。試合後に代案として、汐口くんが見ていなかったもう1つの手を指摘しましたが、それで黒が助かるというのは、私の勘違いでした。とは言え、とても面白い変化なので、ご紹介しておきます。

48... Qc6+ 49. Qxc6 Rxc6 (試合中、これでcポーンが落ちたらまずいのではないかと読んでいました。ところが...) 50. e6!


Analysis Diagram

まさかのこの1手で白勝ちです。50... f6 51. e7!+- も、50... Rxc7 51. exf7++- も、50... fxe6 51. Nxe6+- (黒キングはf7 に上がることができず、白はf2-f4-f5 から、キングをクイーンサイドに寄せて勝ち。) も、全て白の勝ちです。全日本でのAndrew戦でも痛感しましたが、ルーク vs ナイト+パスポーンは大変難しいですね!

49. Kg3! Rc3+ 50. Kh4 Qf8 51. Qd8+-


こうしてd8 のマスにさえ飛び込めれば、これでゲームセットです。黒はクイーンをf8 にキープすることができません。

51... g6 52. e6 fxe6 53. Nxe6 1-0



非常に複雑なゲームでしたが、これを制して3連勝! 隣のボードでは、私の生徒である三ツ矢さんが、桑田くんを下して先に3連勝を決めていたので、私も気合が入りました。3連勝が2人のみであることから、4R1B は三ツ矢-小島のオリンピアード代表対決が確定したので、明日の試合も楽しみですね。


試合後、豪雨によってだいぶ会場で足止めを食らいましたが、なんとか区民センターを脱出し、友人との再会を果たしました。ポール飯沼さんは、普段はハワイに住んでいますが、今回は久々の来日で、束の間の日本を楽しんでいるようです。2009年の全日本選手権では、南條くんを最終戦で下して4位入賞、名古屋では暁さんに勝ちなど、1年間の日本留学生活の中で、印象に残る戦績を残していました。ポールとは明日の夕方に再び合流する予定ですので、彼と縁があったプレーヤーは是非、明日、蒲田まで足を運んでみてください!

2014/07/19

Saturday Lecture and A Farewell Party for Pablo


今日のレクチャーの様子, Photo by Kawanaka

3連休の初日の今日、池上でのレクチャー、日吉のトレーニングへの顔出し、Pablo のお別れパーティーへの出席と、チェスイベントに奔走していました。月に1回のサタデーレクチャーは、先月に引き続き、ポーンエンディングがテーマです。お互いに自分から入ってはいけない、Mined Squares の考えかたは皆さん理解できたようですが、以下のポジションはやはり難しかったようですね。


White to move and win.

このポジションは私が6年前、北京に行く前に勉強して感銘を受けたものです。ポーンが計3つしかないポジションでも、白は勝つために様々なアイディアを使わなければならず、ポーンエンディングの奥深さを知ることができます。ロジックで解く方法を知っていれば試合でも正確に指すことができるでしょうが、時間に追われる実戦で行き当りばったりでは、なかなか勝ちを引き寄せるのは難しいかもしれませんね。

レクチャー後の予定は少し迷いながらも、日吉で行われていた小林くん主催のトレーニングへ。1時間という短い時間で数局だけ指してから、蒔田くんを連れて千葉へ向かうことに。この1ヶ月、日本に滞在していたPablo と別れを告げるため、Yumi さんの家で行われたパーティーへと足を運びます。


パーティーでは食事やお喋りのほか、チェスももちろん行われました。男子3名と女子3名の2分ブリッツ、負けた側は酒を一杯飲むとことにしようとPablo が言い出したときは、さすがに男子の圧勝で終わると思っていましたが、男子側は神の見えざる手によって、ルークやナイトがゲーム中に消滅(笑) レクリエーションとして、なかなか楽しませてくれます。他にもバグハウスやリレーチェスなどで、Pablo との最後の交流の時間を過ごしました。


Pablo からは、チェスだけでなくスペイン語のレッスンも。どういう流れで、ajo (にんにく) という単語が出てきたのか(笑)

パーティーは予定を1時間ほど過ぎた21時に完全にお開きとなり、皆、彼との最後の挨拶を済ませて家路につきました。Pablo、IVL や同時対局イベントを含め、1か月近くの長い間、日本でお世話になりました! また来月、ノルウェーでの再会を楽しみにしています。彼はノルウェーには、アルゼンチンの女子代表チームのコーチとして、参加予定です。

そして明日からの2日間は、蒲田でサマーオープンが開催され、私も参加予定です。今回は海外から私の友人が来日し、2年半ぶりの再会となりますので、それがメインの楽しみです! もちろんオリンピアード前、最後の公式戦としも良い調整になればと思っていますので、参加者の皆さんは、よろしくお願い致します。

2014/07/12

新潟国際親善チェス大会 Tournament Report


今年はGM Wen Yang, GM Lu Shanglei, IM Shen Yang, WGM Wang Jue の来日です。Photo by Kawanaka

この土日、私は新潟でチェスをしています。10回目を数える今年の新潟国際親善チェス大会は、中国からGM 2人を含む4名のゲストが招かれています。私は彼らとの対抗する特Aクラスに入り、日中の対抗戦を行いました。今夜は時間がさほどないので、ゲームは後日に回して写真と結果の報告にとどめておきます。


中国のマスター勢に対するのは、私、南條くん、山田くん、小林くんの4名です。

日本勢と中国勢は、平均レイティングが300ほど離れています。予想通り苦戦を強いられた私たちは、中国勢の中ではレイティングが最も下の、Wang Jue から私と南條くんが白星を挙げ、中国女子代表のShen Yang から小林くんがドローを取りましたが、残りは13敗。2人のGM Wen Yang, Lu Shanglei の壁は厚く、2人に4連勝を許してしまいました。(私は初戦、Wen Yang にルークただ取りを見逃す恥ずかしいミス...)


日中対抗戦以外は、例年通り、A~Cクラスでのトーナメントです。Aクラスの優勝は、リストトップで全勝の馬場さんでした。3R でAlex - 権田がドローとなり、その2人が当たらなかったことは、馬場さんを多少楽にしてしまいましたかね。それでも最終戦、馬場さんと同じく唯一の3連勝で、トップボードに上がってきた東北大のエース、多賀くんは非常に素晴らしいゲームを見せてくれました!


Bクラス優勝は、3.5P を獲得した石塚さんです。優勝賞品の大理石チェスセットはとても価値の高い物ですが、個人では持て余すもの。東北大学チェスサークルへの寄贈となりましたので、ホワイトナイツの皆さん、大事に使ってくださいね。学園祭などでは、人目を集めることでしょう。


そしてB,Cクラスの表彰式のさなか、Aクラスの上位入賞者には中国代表たちと試合をする権利が、ボーナスとして与えられました。ペアリングは、馬場 - GM Wen Yang, Alex - IM Shen Yang, 権田 - Lu Shanglei, 多賀 - Wang Jue で、日本勢が全員白を持ちます。


この特別ステージでは、権田さんがLu Shanglei からドローを取り、彼の日本での連勝を4でストップさせました。しかし、他3人はいずれも負け。今日5連勝のWen Yang は、馬場さんを圧倒した最終戦で、特に鬼神のような強さを見せました。

本日、新潟国際親善チェス大会に参加された皆さん、そして運営を務めた新潟チェスクラブと朝霞チェスクラブの皆さん、お疲れ様でした! 普段は会えない地方のプレーヤーたちとも、久々に会うことができて嬉しかったです。私は今夜は新潟市のホテルに1泊し、明日の日中女子の交流イベントに顔を出してから、神奈川に帰る予定です。

2014/07/11

The Highest Level Training in Japan in July 2014


7月の羽生さんとのトレーニングは、新潟行きの前日である今日に急遽決定。朝10時の待ち合わせは台風の影響でどうなることかと思いましたが、いつも通りに午前中からスタートすることができました。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2373)
Training (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Nd7 6. O-O h6 7. Nbd2 Ne7 8. Nb3 g5!?



南條くんとの全日本との試合でも使いましたが、現在私にとって最も関心のあるアイディアです。

9. a4 Bg7 10. a5 O-O 11. a6 b6 12. c3 c5 13. Be3 Rc8


このポジションですでに感触は悪くありません。cファイルを開くことも、c5-c4 から閉じることも候補に入れ、後はf7-f6 からキングサイドを開く準備を整えます。

14. Ne1 Bh7 15. f3 Ng6 16. Kh1 Kh8 17. Bb5 c4 18. Bxd7?



羽生さんはここで、白マスビショップを放棄したことを悔やんでいました。確かにc5-c4 と閉じられても、Bb5-Ba4-Bc2 と戻れば、ビショップの使い道は十分に残されています。

18... Qxd7 19. Nc1 f6 20. exf6 Rxf6 21. Ne2 Bf8!? 22. Nc2 Bd6 23. Bd2 Rcf8 24. Ne3 Qg7 25. Ng3 Nf4 26. Ng4 R6f7 27. Qe1 Qg6?!


白マスをつけば黒が優位に試合を進められるかと思っていましたが、e5 のアウトポストの存在が頭から抜けていました...

28. Ne5 Bxe5 29. Qxe5+ Qf6 30. Qd6 Nd3 31. f4?



検討では、この手は一体何だったのかと互いに首をかしげています。f4 のマスは十分に黒が抑えているため、ここでポーンを捨てる手はまるで働きません。

31... g4?


互いに時間が相当なかったとは言え、31... gxf4 となぜ取れなかったのか。

32. f5 Bxf5 33. Nxf5 exf5?



ここも33... Rd8! で黒優勢でしたが、互いに見落としていました。

34. Qxd5 g3 35. Bf4


これで白の勝ちでしょう。黒のキングサイドでの攻撃は、全く届かないものでした。

35... Nxf4 36. Rxf4 gxh2 37. Raf1 Qg5 38. Qxc4 Rg7 39. Qd5 Rf6 40. Rxf5 Rxf5 41. Rxf5 Qc1+ 42. Kxh2 Qc2 43. Rf8+ Kh7 44. Qf5+ 1-0



序盤で十分なポジションを築いておきながら、白マスの弱さをうまく突くことができず、eファイルからのカウンターを許してしまったのは、大きな反省点です。ちなみにこの試合、検討戦には2時間をかけました。


お昼はすぐ近くのインド料理へ。私は去年から気になっていた店ですが、羽生さんも初来店だそうです。昼食の席での話題は、明日からお互いに行く青森や新潟の話や、他のボードゲームについて。羽生さんは将棋、チェスに限らず、多くのボードゲームのプレーヤーとかかわりのあることが感じられます。

午後は当然、色を変えて私が白です。先月はトリッキーなオープニングでしたが、今回はこれまでもよく指している、Semi-Slav の一変化になりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2373) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Bd3 Bb7 11. Rd1 b4!?



Ponomariov - Giri のこの変化は、ハンガリーでも一度指された経験があります。

12. Na4 c5 13. dxc5 Rc8 14. Qe2 Nxc5 15. Nxc5 Rxc5 16. Bd2 a5 17. e4 Qb8 18. h3 Rd8


ここまで羽生さんはノータイム。対する私は少しばかり時間を使って、なにか有効なアイディアがないかを考えます。

19. a3 bxa3?!



19... Rcc8 20. axb4 axb4 と進めた場合、白は本当にわずかなアドバンテージがありますが、黒は大きな問題はないでしょう。

20. Rxa3 Qa8 21. Bb4!


a5 がターゲットとなった黒は、そのサポートに奔走しますが、あまりうまいアイディアはありません。私はこれで優勢を確信しましたが、ゲームはここから怪しい展開へと突入します。

21... Nh5



羽生さんはエクスチェンジを捨てて、f4 にナイトを運ぶプランを取りました。21... Rh5 22. Bxd6 Rxd6 23. e5 Bxf3 24. Qxf3 Qxf3 25. gxf3 Rxe5 26. Bxh7+ Kxh7 27. Rxd6+- この変化はもちろん白勝ちです。

22. Bxc5 Bxc5 23. Rc3 Nf4 24. Qd2 Bd6 25. e5!


残り時間2分まで考えて、これで勝てるだろうと読みました。この手が好手なのは間違いありませんが、私は大きな勘違いをしていました。

25... Nxg2 26. Bxh7+!



ポイントとなる手です。

26... Kxh7 27. exd6?


27. Qc2+! g6 (27... Kg8 28. Rxd6+- c8 のチェックがあるので、ナイトを取ることができません!) 28. Rxd6 Rxd6 (28... Nf4 29. Ng5+ Kg8 30. Rc7+-) 29. Ng5+ (29. exd6!? Bxf3 30. d7 Ne1 31. Rc8+-) 29... Kg8 30. exd6+- こうなれば、白はエクスチェンジの駒得をキープしたまま、d6 のパスポーンの存在もあいまって勝勢でした。この変化を指せなかった要因は、27. Qc2+ Be4?? 28. Ng5+ というシンプルな手を見落としたことです。

27... Bxf3 28. Qd3+ Be4 29. Qg3



2ピースルークになったこのポジションでも、d6 のパスポーンと、g2 のナイトが行き場がないことで優勢だと考えていましたが、なかなかそう単純でないことを検討で確認することができました。

29... Bd5 30. Rc7


30. f3 Qb8 31. Qxg2 Qxd6 このようにナイトを取る変化も、肝心のパスポーンが落ちてポーンストラクチャーが悪ければ、黒はエクスチェンジの代償ありで戦うことができそうです。

30... e5?



この辺りは細かい駆け引きが続きますが、羽生さんの手は判断ミスでした。30... Kg8 31. Kh2 ならば、まだ形勢不明です。

31. Qxe5 Be6 32. Qh5+?!


32. Rd3!+- こうしてh3 をシンプルに守り、Rd3-Rg3 からg7 のメイトとナイトを狙えば勝勢でした。この勝ちの1手を逃したことは、今日最も悔やまれるポイントです。

32... Kg8 33. Qg5?



時間切迫の中、h3 を取らせても大丈夫だと読みましたが、大きな読み抜けがありました。

33... Bxh3 34. Rd3 Nf4 35. Rg3?


この後は駒が足りずに白の完全に負けです。唯一救いになるのは、ルークをサクリファイスする大胆な1手でした。35. Rxf7! Ne2+ (35... Kxf7 36. Qxf4++/-) 36. Kh2 Kxf7 37. Rxh3 Rxd6 38. Qh5+ Rg6 39. Qf5+ Rf6 40. Qh5+ Rg6= これでパペチュアルチェックでドロー! 時間の無い状況では、読み切ることは不可能でした。

35... Ne2+ 36. Kh2 Nxg3 37. Qxg3 Be6 38. Qf4 Qd5 0-1



今日は互いにすぐ時間切迫になり、悪手が目立つ1日でした。勝負所であと1手手が伸びなかったことは、オリンピアードに向けて改善していきたいポイントですね。羽生さん、今月もトレーニングにお付き合い、ありがとうございました!

2014/07/10

Tromso Chess Olympiad Open Teams Composition


開催まであと3週間ばかりと迫ったトロムソのチェスオリンピアードですが、昨日、各国のオープンチームメンバーとリストが、公式HP で公開されました。女子は未公開で、もう少し待たなければならないようです。

Open Teams

1. ロシア 2767
2. ウクライナ 2714
3. フランス 2705
4. ハンガリー 2693
5. アメリカ 2686


リスト上位5か国はこの通り。だいたい世界ランキングと同じですね。Rapport が2700に乗り、リスト4につけているハンガリーは、大先輩であるSax への追悼の意を込めて、優勝を狙ってほしいと思います。Lenderman に代表入りしてほしかったアメリカは、Shankland でしたか... 日本は世界ランキングから多少落ちて、リスト99のスタートです。

今回、各国のメンバーをチェックしてみると、レイティング通りではないボード順の国が、ちらほら目につきます。上位勢ではアゼルバイジャンとアルメニア。2006年のトリノオリンピアードでブレイクしたアルメニアのAroanin は、1番をベテランAkopian に譲り、2番を務めるようです。ただし、オーストラリアは惇多くんが1番ボード、日本では同じく私が1番ボードとなっており、表記ミスである可能性もあります。これについては、連絡を取って確認してみることにします。

ただ、ボード順はさておき、5人のメンバーは各国ともに、公開されている通りで確定でしょう。悲しいことに、インドはNo.1 とNo.2 のAnand, Harikrishna ペアの名前がありません。ベストメンバーを揃えられない国は珍しくないですが、この戦力ダウンは痛いですね... 世界チャンピオンでなくなって初めての今回は、Anand が参加してもおかしくないと思っていたので、彼のプレーを見られないのは残念です。

いずれにせよ、メンバーが公開されたことで、いよいよオリンピアードも本番が近付いてきたという気がしますね。明日は台風の勢いが弱まるようであれば、様子を見てトレーニングに出かけてくる予定ですので、あと3週間、気合を入れて準備を進めていきたいと思います!

2014/07/07

Saturday Lecture on July 19th 2014


6月のレクチャーの様子, Photo by Kawanaka

7月の池上でのレクチャー予告です。開催の曜日は土曜に戻りますが、開始時間が普段と違いますので、その点はご注意のうえ、参加をご検討ください。また7月-9月は、チェスセンターでのサタデートーナメントは開催されませんので、その点もご了承ください。

【日時】 2014年7月19日(土) 11:30~13:30
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Pawn Ending Part 2
【テーマ詳細】

6月のレクチャーではポーンエンディングをテーマとし、スクウェア、オポジション、キースクウェアといった、ポーンエンディングの基礎を学びました。7月のレクチャーでも、引き続きポーンエンディングを扱い、オポジションの応用やアクティブキングといった、多少レベルの高いポーンエンディングのアイディアをご紹介していこうと思います。

【参加費】 一律1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

GM Lafuente Lecture and Simul Events Report


レクチャーの最初に、ルールを説明するLafuente

この週末、上智大学と松戸チェスクラブの協力で、アルゼンチンから来日中のGM Lafuente のイベントが開催されました。私は土曜日に上智イベントの前半、そして日曜日に松戸イベントの後半に顔を出してきましたので、今日はそのレポートをお届けします。

両日とも、前半はグループに分かれたレクチャー、後半が同時対局です。上智のレクチャーは参加者を学生中心で募集しており、ポーンエンディングの基礎からスタートでした。4人のグループ3つ(おまけで私と生徒の弟コンビ) に分かれ、それぞれのグループを世界チャンピオンたちの名前、Capablanca、Karpov、Carlsen、(おまけのTal) と名付けます。そのようにして分けたグループで意見をまとめ、正解を目指すスタイルのレクチャーは、私の目にはユニークなアイディアに映りました。


皆さん、メモを広げて真剣に聞いています。

Lafuente が使う英語のレベルは、さほど難しすぎないと感じましたが、帰国子女の逢阪くんが流暢な英語でばしばし答えるので、大学生はタジタジだったでしょうか(笑) 頑張れ、大学生たち!

こちらのグループレクチャーは、内田さん率いるチームが優勝し、チームメンバーには同時対局前にLafuente とブリッツできるご褒美が与えられました。こうしたちょっとしたゲストとの交流は、参加者にとっては嬉しいものですね。


各参加者との握手と、Lafuente の初手を皮切りに、同時対局のスタートです。

続く土曜午後の同時対局は、レクチャーとメンバーが多少入れ替わり、日本のプレーヤー12人 vs Lafuente となりました。私は開始30分ほどで抜けてしまい、肝心なところは見逃してしまいましたが、久々のチェスイベント参加となった、現KUCC 創設メンバーの大塚さんと、同じくKUCC 現役の小林くんがドローを獲得し、Lafuente の10勝2ドローだったと、後で結果報告を受けました。参加した皆さん、お疲れ様でした!


上野公園では、この時期涼しげな氷の彫刻展示が行われていました!

一夜明けた今日は、松戸でのイベントです。私は上野公園での仕事を済ませてから松戸に向かうことに。上野公園内に設けたスペースで、初対面のオーストラリア人と畳の上でチェスをやるというのは、私がこれまで依頼を受けた中でも、なかなか珍しい仕事です(笑)


松戸の会場はゆったりスペースを取ってあり、参加者が増えても余裕があるようでした。

私が松戸に到着したのは15時半過ぎで、同時対局はすでにスタートしていました。同時対局の参加者は前日に比べて少し増え、15人になっています。ノルウェーの代表である三ツ矢さんや、女子チャンピオンの内田さんが参加したことで、前日よりもLafuente が苦戦するかと予想していましたが、5時間を超える大熱戦の末、ポイントを落としたのは三ツ矢さんのドローだけ。14勝1ドローという結果でした!

先週のIVL ではバタバタでしたので、ようやくLafuente のチェスをゆっくり見ることができましたが、彼は特に難しいことをやっているわけではないようでした。ピースを展開して攻撃の準備を整え、タイミングを見計らって仕掛ける。そうした当たり前のプレーを、スタイルの違う15人を相手にきちんとこなせることが、彼が実力の高いマスターであることの証明なのだと感じました。Nigel や、Almira のような、怪しいギャンビット系のオープニングがないのも印象的でしたかね。

それでも、黒で満足に試合を進めたプレーヤーもいます。国府さん、赤堀さん、石井さん、三ツ矢さんの4人は、黒が十分指せそう(中には黒良し) なポジションでしたが、ちょっとしたすきを突いたLafuente は逆転に成功していました。特に気になったのは、最後まで残った赤堀さんとのゲームです。


Lafuente - Akahori
Black to Move

赤堀さんはちょっとした隙を突いて、Lafuente のポーンを掠め取ったようでした。そして、このポジションで黒番です。すでに試合は赤堀さんと、隣の弘平くんしか残っておらず、強敵Lafuente は目の前に鎮座した状態でした。ここから

1... Be6 2. Nxa6 Rxa5 3. Nb4!?


と進んだ末、Lafuente はうまくルークでh6 を取りに行き、難解なゲームを逆転して最終戦を締めました。私は試合後に、赤堀さんに対して、1... Rxa5 2. Rxc8 (2. Nb3? Rb5!) 2... Rxc5 3. Rxc7+ Kd6 とピースを交換して、ルークエンディングに持ち込むほうが良いのではないかと指摘しました。コンピュータの評価は本譜でも問題ないようですが、c5 やb4 といった黒マスをナイトに抑えられたままで、cファイルにダブルポーンが残る展開は、人間としては指しづらいように感じます。なかなかこの辺りの判断は難しいですが、レイティング上位者が敗れる中で最後まで残り、クロックを使って決着をつけるところまでいった赤堀さんのファイトには、拍手を送りたいと思います。

この2週間で日本のプレーヤーを相手に、29勝3ドローのLafuente は、今月後半まで日本に滞在します。オリンピアード前のトレーニングとして、南條くんがこれから挑みにいくという噂を小耳に挟んでいますので、私も来週時間を取って、彼とのトレーニングを考えてみます。それではこの週末、イベントに参加した皆さん、お疲れ様でした~。

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