2015/03/23

Hawaii Chess Festival Day5


Hawaii Chess Festival GM Challenge 参加者とオーガナイザー

ハワイの大会も、今日が最終日です。私はオープンの最終戦でカナダのジュニア(初戦の相手の兄) に勝ち、GM Challenge でも、GM Samuel Shankland にクイックとブリッツの両方で勝ちと、調子の良い1日でした。早速、オープンの棋譜から見ていこうと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Doknjas, J (CM, CAN, 2115)
Hawaii Chess Festival Open (6)

1. Nf3 c5 2. c4 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Qb6 5. Nc2



弟との試合ではオープニングに失敗したため、ここはきっちり改善していきます。c2 の位置にナイトを退いておけば、白はb2-b3 から黒マスビショップを組む準備を見せつつ、c4 を守ることができます。

5... Nf6 6. g3 e6 7. Bg2 Be7 8. Nc3 a6 9. O-O d6 10. b3 O-O 11. Bb2


典型的なHedgehog ポジションになりますが、ここから黒の組み方は不自然でした。クイーンをc7 に退いて、b7-b6 とするのが自然だと思いますが、それならば私は、Ra1-Rc1 からの、Nc3-Nd5 を狙ったでしょう。

11... Rd8 12. e4 Rb8 13. Qe2 Bd7 14. Kh1 Be8 15. f4 Qa5 16. Rfd1



d5 にナイトを跳びこませるアイディアは常に頭にあり、どのタイミングで仕掛けるべきか、探りつつゲームを進めます。コンピュータの提案は、ここで16. Nd5! exd5 17. exd5 Bf8 18. dxc6 bxc6+/- とすることで、確かにこれでも綺麗にダブルビショップの利きが開いた白が優勢なのは間違いありません。

16... Rdc8 17. Ne3 b5


Ra8-Rb8 から予期していた手ではありますが、私の得意のアイディアが、満を持して登場します。

18. Ncd5!!



d5 にナイトが跳びこむアイディアは、Tal のSicilian の試合でも見られます。English では、cファイルを開くことを狙いとすることが多いですが、ここでのメインは、eファイルを開き、f5 のマスを使えるようにすることです。

18... exd5 19. exd5 Na7 20. Nf5 Bf8


20... Bd8 21. Nxd6 Bd7 22. Nxc8 Rxc8 23. Bd4+/- これならば、白はセンターの2コネクテッドパスポーンで、大きなアドバンテージを掴みます。本譜でもそうですが、a7 のナイトがすぐに使えないこともポイントです。

21. Bxf6 gxf6 22. Qg4+ Kh8 23. Qh4?



ここは重要なポジションであることは理解していましたが、最低でもドローになるように指そうとする悪い癖が出てしまいました。ここはもっと厳しく攻めるべきです! 23. Qh5! (Qh4 との違いは、f5 にクイーンを利かせておくことで、黒のBe8-Bd7-Bxf5 に対してクイーンで取れるようにし、Bg2-Be4 との組み合わせで、すぐにh7 のメイトスレットを作れるようにすることです。) 23... Rc7 24. Be4 Bd7 25. Nxd6 f5 26. Nxf7+ Kg8 27. d6! Rcb7 28. Bxb7 Rxb7 29. Ne5+- 途中までは読みましたが、これで勝ちになるの確信が持てず、弱気に指してしまいました。ここまで進めば、白の勝勢は明らかです。

23... Bd7 24. Qxf6+ Kg8 25. Qg5+ Kh8 26. Be4!


相手からはドローオファーがきましたが、選ぶ権利を持つ白は、早々にドローにするはずがありません。このようなオファーは、この先を指し続ける自信がないということを相手に伝えてしまうため、しないほうが良いでしょう。

26... Re8 27. Bd3 bxc4 28. bxc4 Qd8?



これはパペチュアルチェックこそ防ぎますが、白が勝つラインです。実際のところ、次のQg5-Qh5 にどう対応するべきか(f6 など取らずに、最初からh5 に行けという話ではあるのですが...) 黒が正確に読むのは難しいものです。28... Qc3! 29. Rac1 Qb2 30. Rc2 Qa3 31. Qh5?! (31. Kg2!?+/=) 31... Re1+! 32. Kg2 Rxd1 33. Qxf7 Qxd3 34. Qf6+ Kg8 35. Qg5+ Kf7 36. Qh5+ Kf6 37. Qg5+ Kf7 38. Qh5+= こういった変化を読むのは難しいですが、パペチュアルチェックの筋がずっとある白は、色々と勝負に行くアイディアを捻ることができるでしょう。

29. Qh5! Kg8?


キングを生かすためには、29... Qf6 ですが、それでも白はd6 を取ってマテリアルを取り返し、大きく優勢です。

30. Ne7+ Kg7 31. Qxh7+ Kf6 32. Qh8+


32. Ng8# 悲しいことに、1手メイトが見えません! それでも、本譜のメイト形も美しいと思います。

32... Kxe7 33. Qh4+ 1-0



ハワイのオープン最終戦をこうして良いゲームで締めくくることができ、とても満足です。この後、GM Challenge の後半戦でクイック3試合、ブリッツ3試合を指しましたが、平均2650 のGM と6試合指し、2勝3敗1ドローと非常に良い戦績を残すことができました。こちらの棋譜については、また後日公開します。

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