2015/03/27

Introduction of the QGD Vienna Variation


あまり関係無いですが、ウィーンの街並み

今夜は最近私が調べている、Queen's Gambit Vienna Variation について記事を書こうと思います。私の白番のレパートリーでは指される可能性があるものの、これまで実戦では遭遇することがありませんでした。日本の試合でも、古い全日本の三阪 - 権田戦(記憶が正しければです。) で見たことがあるくらいです。それでも、世界的な流行を見せているために、黒番で指しても良いかなと思って研究はしていました。そんな中、先日のハワイのGM Samuel Shankland とのブリッツ最終戦で、このオープニングが登場したのです。

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 dxc4



この辺りの手順はRagozin と前後しても良いのですが、Nc3, Nf3 とナイトが揃ったのを確認したうえで、c4 のポーンを取るのがVienna Variation の基本的なアイディアです。

5. Bg5


最近の流行としては、5. e4 Bb4 6. Bxc4!? と指して、e4 のポーンを捨てる変化も指されています。この変化は今のところ、白の勝率が良く、ポーンの代償も十分にあると考えられそうです。私も勝負にいく白番であればこれを指してみたいと思いますが、今夜のところはクラシカルなメインラインをご紹介します。

5... Bb4 6. e4



私がかつて指していた(今でも指せますが) Ragozin Variation からも、1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Bb4 5. Bg5 dxc4 (私は、5... h6 を指していました。) と進んで、この形は現れます。ここからVienna Variation 独自の変化に入っていきます。

6... c5 7. Bxc4 cxd4 8. Nxd4


白はテンポ良く白マスビショップを展開してポーンを取り返しますが、一方で黒も、早い段階で互いのc,d ポーンを交換し、白のセンターを崩すのはロジカルなアイディアと言えるでしょう。

8... Bxc3+



今日、メインでご紹介する変化では、早めに黒がc3 を取って白のポーンストラクチャーを乱します。私が黒であれば、8... Qa5!? 9. Bd2 Qc5 10. Bb5+ Bd7 この変化を指してみたいと思います。黒は問題となるc8 の白マスビショップを捌いてしまえば、大きなオープニングの問題はないと考えられそうです。実際にこちらの変化は、昨年のトロムソオリンピアードで、Vallejo Pons がKramnik を黒で破っています。

9. bxc3 Qa5 10. Bxf6!?


f6 を取られてポーンストラクチャーを乱されることを恐れないのも、Vienna Variation の特徴です。一方で白は、c3 のポーンを捨てても、アクティブなピースでダイナミックなプレーを続けます。10. Bb5+ Bd7 (10... Nbd7!?) 11. Bxd7+ Nbxd7 12. O-O a6 ちなみにこちらが、Vienna のメインラインと考えられている変化で、私ももう少し研究してから指してみたいと思っています。

10... Qxc3+ 11. Kf1 gxf6



私が初めてこのポジションに遭遇した中学生の頃、なぜ黒はc4 のビショップを取らないのだろうと疑問を持ちましたが、それはRa1-Rc1 からc8 のビショップを取り返せるからです。Shankland とのブリッツでは、11... Qxc4+ 12. Kg1 0-0 と進みましたが、この変化は黒にとってリスクが高く、白の勝ちまでほぼ研究されているようです。

12. Rc1 Qa5 13. Bb5+!?


ここまで前置きが長くなりましたが、今夜紹介しておこうと思った変化は、ここからが本番です。この先はお互いがしっかり研究していればドローになるので、白が勝負にいきたければ、13. h4, 13. Nb5 といった変化を試してみると良いでしょう。

13... Ke7



黒はチェックに対する手が、これしかありません。13... Bd7?? 14. Rc8+ はもちろんダメ。13... Nd7?? 14. Rxc8+! Rxc8 15. Bxd7+ Kxd7? 16. Nb3++- もクイーンが落ちるので、すぐに白の勝勢です。

14. e5 fxe5 15. Qh5


黒がクイーンしか動かしていないのに対し、白はビショップ、ナイト、ルーク、クイーンを動かしているので、その点だけ見れば有利に試合を進められそうですが、意外と決定的なアタックは作れないものです。

15... Nd7!



15... exd4? 16. Qg5+ f6 17. Qc5+ Kf7 18. Be8+ Rxe8 19. Qxa5+- こうしてクイーンを取れば白勝ちであるため、黒はナイトでキングをサポートします。

16. Qg5+ Kf8 17. Rxc8+!


これは巧みなタクティクスで白が優位に立ったように見えますが、黒にもうまいディフェンスがあります。

17... Rxc8 18. Bxd7 Qd8!



少し見えづらい1手です。こうなると白は勝ちを目指すことができず、パペチュアルチェックで我慢するしかありません。

19. Nxe6+!


こうした白からのサクリファイスも、なかなか盤上で思いつくのが簡単ではないと思います。

18... fxe6 20. Qh6+ Kf7 21. Qxe6+ Kf8 22. Qh6+ Kf7=



この変化はこうしてドローになることが研究済みで、それを知らなかったり、嫌って黒が外そうとすると、白に勝ちのチャンスが出てきます。白で勝ちにいく変化は私もいくつか調べてはいますが、ひとまずこうしたドローのラインを知っておくことは、損にならないでしょう。この変化の中で登場するいくつかのアイディアは、Vienna の他の変化でも生かすことができそうです。

ひとまず、今夜はVienna Variation のご紹介として、これぐらいにしておきます。白でも黒でも、機会があれば実戦で指してみたいですね。

2 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

チェスは難しくてさっぱりわかりません ▽o・~・o▽

http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1434778

Shinya_Kojima さんのコメント...

これは確かに難しい... 駒が両者とも、あたりすぎですね。

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