2015/05/29

World Youth Chess Championship 2015 in Halkidiki, Greece


日本チームコーチのミーシャと、それを囲む日本代表ユースたち

アラブ首長国連邦のドバイ、南アフリカのダーバンに続き、今年のWorld Youth Chess Championship は、ギリシャのハルキディキで開催されます。最近、活動が活発になっている日本のユースたちは、今年も遠征する気満々で、各地で準備に動き出しているでしょう。

[Data] from 24th Oct to 6th Nov 2015
[Place] Halkidiki, Greece
[Section] Open U18, U16, U14, U12, U10, U8, Girls U18, U16, U14, U12, U10, U8

日本からは、各セクション共に1名ずつが招待選手となり、滞在費無料で渡航費やコーチ費のみでの参加できます。招待選手でなくとも、滞在費を払えば参加は可能です。7月に開催される小学生選手権と、ジュニア選手権の結果により、招待選手の選考が行われます。

エントリーの締め切りは非常に早く、6月10日までには日本チェス協会に参加の意思を示す必要があるとのことです。詳細の確認でも構わないので、興味のある方はぜひ、日本チェス協会にコンタクトを取ってみてください。

info(a)jca-chess.com (a) を@ に変えてください。

それでは、日本のユースプレーヤーの親御さんたちは、よろしくお願い致します。まだ半年後のことですが、私は今年も日本から、子供たちの勇姿を見守っています!

2015/05/27

Weekly Chess Puzzle Vol.6


Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Gupta, B (IND, 2227)
CAISSA GM December 2012 (8)
White to move and win


Kojima, S (FM, JPN, 2368) - Faure, S (FRA, 2069)
Cappelle 2013 (9) Analysis
Black to move and draw

エンドゲームの中でも、しばしばメイトスレットは作れるものです。特にルークを持っている場合、それをアクティブに使えれば、相手キングに大きなプレッシャーをかけることができます。いつも通り、答えはコメント欄にお気軽にどうぞ。

2015/05/26

第2回将棋ウォーズ帝王戦 最終日生中継


Photo by Sugiura

一つ前の記事で書いた通り、日曜日夜は久々のニコ生、第2回将棋ウォーズ帝王戦 最終日生中継に参加してきました。4時間を超える放送の枠で、私の登場は30分ほどでしたが、麻布の後輩であり、プロ棋士の青嶋くんとのゲームは、とても楽しませていただきました。互いにミスの続いたブリッツでしたが、せっかくですので、棋譜を公開しておきます。

Kojima, S - Aoshima, M
Blitz

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. d4 Nxc3 6. bxc3 cxd4 7. cxd4 e6 8. g3 Nc6 9. Bg2 Bb4+ 10. Bd2 O-O 11. O-O Bxd2 12. Qxd2 Qa5 13. Qb2 Rd8 14.
Rfd1 Qb4 15. Rab1 Qxb2 16. Rxb2 a5 17. e3 a4 18. Rc1 Ra5 19. Nd2 a3 20. Rb3 Ra4 21. Nc4 Na5 22. Nxa5 Rxa5 23. Rc7 b5 24. Bc6 Ba6 25. Ra7 Rc8 26. d5



b, c ファイルから強いプレッシャーをかけた白は、大きなアドバンテージを掴んでいます。しかし、ここでは時間がなく、ポーンを取って良いのかどうか、瞬時に判断することができませんでした。26. Bxb5! Rxb5 27. Rxa6 Rxb3 28. axb3+- こうなれば、白勝ちのルークエンディングです。

26... exd5 27. Bxd5 h6 28. Bxf7+ Kh7 29. Bd5 b4 30. Be4+ Kh8 31. Kg2?


ここは試合後に青嶋くんも気づいていたようで、Ba6-Bf1+ のディスカバードチェックのスレットを外せていません。白は代わりに、31. Rxb4+- とポーンを取れば、バックランクメイトのスレットができるため、黒はa7 のルークを取ることができませんでした。

31... Rb8? 32. Re7?



ここも指した直後に気づきました。バックランクメイトがあるため、32. Rxb4 が可能です。また、黒のディスカバードチェックを外してはいるものの、もう1つ、もっとシンプルなスレットを作らせています。

32... Kg8? 33. f4? Kf8?


私は試合後に1人で局面を思い返していて、Ba6-Bc4 でまずいことに気が付きました。32手目でも、33手目でも黒はこのチャンスがありました。

34. Rc7 Rab5 35. Bd3? Bb7+?



ここは黒のラストチャンスでした。とてもとても気づきにくいですが、35... R5b7! 36. Rxb7 Bxb7+ 37. e4 Bc6! ならば、ゲームはまだ分かりません。狙いは、Bc6-Ba4 から、b4-b3 のブレイクを狙うことです。

36. Kf2 Rb6 37. e4 g5 38. Ke3 gxf4+ 39. gxf4 Ba6 40. Bxa6 Rxa6 41. f5 Rf6 42. Kf4 Rbb6 43. e5 Rfc6 44. Rxc6 Rxc6 45. Rxb4


この辺りで私は一安心。ルークエンディングにすれば、2コネクテッドパスポーンを持つ白が勝てるでしょう。ここからは、やや不正確な手もありましたが、なんとかパスポーンを突き進めることができました。

45... Rc2 46. Ra4 Rxa2 47. f6 Rf2+ 48. Ke4 a2 49. Kd5 Kf7 50. Ra7+ Kg6 51. Kd6 Rd2+ 52. Ke7 Rf2 53. Ra3 Re2 54. e6 Rf2 55. f7 Kg7 56. Rg3+ Kh7 57. Rg1 1-0



最後のルークの切り替えは、先週出題したルークエンディングと似たアイディアですね。相手のパスポーンを止めるためには、後ろからルークでアタックするのが良いとされますが、時には横利きへの切り替えが必要です。


7時からフルで登場した青嶋くんにとっては、将棋ウォーズで3分指し切れを1時間続けて指すなど、ハードな内容だったと思います。そんな中でチェスにも頭を切り替え、私との対局に付き合ってくれたこと、とても感謝しています。


半年ぶりにニコ生に登場した私は、前回ほど緊張してはいなかったと思いますが、それでも青嶋くんとの対局がスタートすると、だいぶコメントする余裕がなくなりました(笑)すでに百傑、ゴールデンオープンでチェスの大会デビューを果たしている青嶋くんとは、これから公式戦で対戦できる機会も楽しみにしています。

最後になりましたが、今回のニコ生の出演に当たり、声をかけてくださった林さん、一緒に出演してくださった中村さん、青嶋くん、そして視聴者の皆さん、ありがとうございました。また次にニコ生に出演できる機会が待ち遠しいですね。

2015/05/22

ニコ生出演情報 on 24th May


昨年11月のニコ生の様子

Twitter では少しだけ告知していましたが、日曜日の夜、久々のニコ生に出演します。私自身、ニコ生への出演は、Check Mate Lounge、CHESS HEROZ 宣伝、Kasparov - 羽生さんイベントに続き、半年ぶり4回目となります。

放送のメイントピックは将棋ウォーズの帝王戦生中継で、4月にプロ棋士になったばかりの青嶋未来くんが登場します。私は21時10分頃からの登場予定で、CHESS HEROZ でプレーすることになると思います。チェスも嗜む青嶋くんとは、まだ試合会場で少し話をしただけですので、今回の放送で直接交流できることを、とても楽しみにしています。放送自体は19時からですので、皆さんよろしくお願い致します!

第2回将棋ウォーズ帝王戦 最終日生中継

2015/05/20

Weekly Chess Puzzle Vol.5


Vo Thanh Ninh (VIE, 2340) - Kojima, S (FM, JPN, 2323)
Zone 3.3 2009 (8)
Black to move and win


Aaron, D (USA, 2288) - Kojima, S (FM, JPN, 2328)
Philadelphia International 2011 (2) Analysis
Black to move and win

FM を取ったばかりで、馬場さん、暁さんと3人で参加した2009年のZone 選手権は、私にとってとても思い出深い大会です。Vo Thanh Ninh とのゲームは、この年のベストゲームの1つです。アメリカのAaron とのエンドゲームは、実際には私が正しく指すことができず、勝ちを逃してしまいました。試合後に、馬場さんから勝ち方を指摘され、とても勉強になった1局です。いつも通り、答えの分かった方は、お気軽にコメント欄にどうぞ。

2015/05/16

IVL Training


Vachier-Lagrave - Jobava/ FIDE Grand Prix Khanty-Mansiysk 2015 (2)
Black to move

今日は私、桑田くん、尚広くん、篠田くんの4人でトレーニングを行ってきました。まずは昨晩の、Vachier-Lagrave - Jobava 戦のエンドゲームの振り返りから。上記のポジションで黒番ですが、ここからのJobava の指し方が疑問で、実際のゲームはすぐにドローに落ち着きました。私たちも実際に時計を使い、このポジションから指してみましたが、短い持ち時間ではやはり白で正確なディフェンスが難しく、3回試していずれも黒勝ちとなりました。こうした実際のエンドゲームを、自分たちでも指して検証してみるのは、良いトレーニングになりそうです。


続いて、25/10 のラピッドを1局。私は篠田くんに黒でさっくり勝ち。桑田くんも尚広くんに黒を持って、やや難しいエンドゲームをしっかり勝ち切っていました。

そして、尚広くんが帰宅してから、今日のメインです。3人で何をするかということでしたが、2対1に分かれて、ペア vs. 個人の15/10 ラピッドを指してみることにしました。私が昨晩、なんとなく思いついたのですが、篠田くんからは「クロノ・モノクロームですか?」と聞かれました。確かに、漫画に登場するトレーニングと同じ形式ですね。ペア側は奇数手目を指すプレーヤーと、偶数手目を指すプレーヤーを分担します。

Kuwata - Kojima & Shinoda
IVL Training

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Be2 e5 7. Nb3 Be7 8. O-O O-O 9. Be3 Be6 10. a4 Nbd7 11. a5 Rc8 12. Qd2 Nc5 13. Nxc5 dxc5 14. Qc1 Qc7 15. Rd1 Rfd8 16. Bf3 Rxd1+ 17. Qxd1 Rd8 18. Qe1 Qc6 19. Bg5 c4 20. Nd5 Bxd5 21. exd5 Qc7 22. Bxf6 Bxf6 23. Qb4 Be7 24. d6 Rxd6 25. Qxb7 Qxb7 26. Bxb7 Bd8?



篠田くんの手を見て、私はがっくり... 26... Rd2! と指せば、黒は7段目を抑え、十分な反撃を行えるでしょう。Be7-Bc5 とビショップを組みかえ、f2 をアタックするのがポイントです。a6 に明確な弱点を持つ黒は、このディフェンスに縛られてパッシブに指しては駄目で、アクティブにピースを使い、反撃を試みる必要があります。こうしたアクティブにプレーするという考え方は、エンドゲームで非常に重要です。

27. Kf1 Kf8 28. Ke2 Ke7 29. Ra4 Rd7 30. Bxa6 Ra7 31. Bxc4 Rxa5 32. Rb4 Ra7 33. Rb8 Rc7 34. Bd3 g6 35. g4 Rd7 36. c4 Kf6 37. c5 Be7 38. b4 Rd4 39. Rb6+ Kg5 40. Rb7 Kf6 41. f3 Ke6 42. Bc2 Bg5 43. Bb3+ 1-0


反撃のチャンスを逃してからは、ジリ貧でした。

今日はこの形式で3試合指し、桑田くんと組んで白を持ったゲームと、1人で白を持ったゲームでは無事に勝てました。このトレーニングでは、知らないオープニングやポーンストラクチャーになった際でも、自分なりにプランを立て、ロジカルなプレーができるかをチェックすること、加えて、自分の頭にはない手をペアが指すことで、新しいアイディアを吸収することなどを狙いとしています。初めて試してみた割には色々と勉強になることが多かったので、是非また別の機会にも、この形式でのゲームを行ってみようと思います。(もちろん、ペア vs. ペアもありです。) ただしこの形式、ペア側は普段以上に考えなければいけないため、とても疲れます!(笑)

今日、トレーニングに付き合ってくれた、桑田くん、尚広くん、篠田くん、ありがとう~。また次の機会も、よろしくお願いします!

2015/05/15

盤上のポラリス第一巻発売


Amazon より

クロノモノクロームは今年の1月に最終巻が発売されましたが、また新しいチェスコミックの情報です。本日、月刊少年マガジンで連載中の『盤上のポラリス』 1巻が、5/15 の今日、発売となりました。盤上のポラリスは、長崎に住む少年が、クラスに転校してきた少女からチェスを習い、チェスの世界に足を踏み入れていくというもの。少年漫画らしく、同級生のライバルも早々に登場します。一巻の現物がまだ手元にないので、何話まで収録されているか分かりませんが、私も各話には目を通しています。皆さんもぜひ、第一巻を手にとって中身を確認してみてください。

盤上のポラリスは、南條くんからの引継ぎで、私が作品のチェックをしています。これからますます、思い入れの強い作品になっていくでしょう。こうした作品を通して、日本でもチェスに関心を持つ人が増えると良いですね。また、盤上のポラリスが連載されている月刊少年マガジンは、今年で創刊40周年を迎えます。ノラガミや四月は君の嘘など、最近アニメ化された作品もありますね。(四月は君の嘘の連載が終わったのは、個人的にショック...) 来月発売の7月号には、各界からの40周年記念のお祝いコメントが寄せられる予定で、拙いですが、私のコメントも掲載されるはずです。盤上のポラリスと掲載雑誌の月刊少年マガジンを併せて、今後ともよろしくお願い致します!

2015/05/11

Weekly Chess Puzzle Vol.4


Kojima, S (FM, JPN, 2339) - Liu, G (CHN, 2233)
CAISSA IM November 2012 (3) Analysis
White to move and win


Kojima, S - Shiomi, R
Japan Rapid Championship 2008 (7)
White to move and win

全日本選手権ボケもほどほどにし、そろそろ次に向かわないといけませんね。まずは久々のWeekly Chess Puzzle からです。2つ目のエンドゲームは、私の好きなゲームの1つで、各所のレクチャーでも使わせていただいています。端ポーンのルークエンディングの好例だと思いますので、是非考えてみて下さい。

2015/05/09

Japan Chess Championship 2015 Day6


今年の全日本入賞者たち, Photo by Hasegawa

2015年もGW の全日本選手権が終了しました。6日間の長丁場を戦い抜き、最終的に8勝2敗1ドローという戦績でトップに立ったのは、私の麻布の先輩であり、14年以上の付き合いのあるチェス仲間でもある馬場さんです。昨年はゴールデンオープンでbye を挟みながらも出た試合で全勝して優勝。全日本でも、過去2回優勝しているチャンピオンですが、単独での優勝とアルゼンチンカップの今回が初めてです。私も後輩、ライバル、かつてのオリンピアードチームメイトとして、馬場さんの初単独優勝を祝福したいと思います。馬場さん、おめでとうございます!

私はと言えば、最終戦で塩見さんとの激闘を制し、7勝2敗2ドローで単独2位に終わりました。これで南條くん、惇多くんに競り負けた去年、一昨年に引き続き、3年連続での単独2位です。今年もタイトル奪還とはなりませんでしたが、最後まで優勝争いのもつれる非常に白熱した戦いができたので、その点は満足しています。そのうえで来年こそは、日本チャンピオンに返り咲きたいですね。それでは、長い長い塩見さんとの試合へ。

Shiomi, R (JPN, 2138) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Japan Chess Championship 2015 (11)

1. e4 c6 2. c4 d5 3. exd5 cxd5 4. cxd5 Nf6 5. Nc3 Nxd5 6. Nf3 Nxc3 7. dxc3!?



最終戦、勝たなければいけないゲームで、こうしたチョイスをされるのは少し焦ります(笑) しかし、クイーンを早々に交換して白に大きなアドバンテージがあるわけでないので、これも一局だと考えて塩見さんの誘いになることにします。クイーン交換を避ける自然なアイディアもないですしね。

7... Qxd1+ 8. Kxd1 Nc6 9. Bb5 Bd7 10. Ke2 a6 11. Bc4 Rc8 12. Rd1 Bg4 13. Bd5!?


この守り方は少し意外でしたが、少し考えれば、白はc6 でナイトを取っても、h2-h3, g2-g4, Nf3-Ne5 からビショップを取り返すチャンスがあるため、納得です。ただし、すぐにその変化は黒がやや良くなることに気づき、あまり捻らずにゲームを進めてみることにします。

13... e6 14. Bxc6+ Rxc6 15. h3 Bh5 16. g4 Bg6 17. Ne5 Rc8



塩見さんとしては少し勘違いだったのか、g6 のビショップをすぐ取ると、h3 のポーンがターゲットとなり、それを守らなければいけない白は負担が大きくなります。

18. Rd7 Be4! 19. Rd4 Bd5 20. c4 Bc5 21. Rd1 Be4


ここは私も時間を相当使い、自分が勝つチャンスをなるべく残せるようなポジションを模索しました。そのためには、リスクのある選択もします。

22. f3 Bc2 23. Rd2 Ba4?! 24. b3 f6 25. Nd3?!



ここはラッキーでした。塩見さんとしては、自分のポーンストラクチャーを乱す変化はあまり指したくなかったようですが、25. bxa4! fxe5 26. Bb2 Bb4 27. Rc2 Bd6 28. Rd1+/= と進めていれば、白が優勢でしょう。しかし、白も孤立とダブルポーンができているため、下手をすれば劣勢に転じる可能性があります。

25... Bd4 26. Nb2 Bxb2 27. Bxb2 Bc6


ポーンストラクチャーは互いに綺麗なまま、異色ビショップになりました。勝ちを目指すならば、同色のほうが良いのではないかと思われるかもしれませんが、ルークが残っていれば、異色でも様々なチャンスを作り出すチャンスがあります。

28. f4 Kf7 29. Rg1 h6 30. h4 Rhd8 31. g5?!




これは明らかにリスクの大きい仕掛けでしょう。私のルークがhファイルから離れたことをチャンスと判断したかもしれませんが、それは私の誘いです。

31... hxg5 32. hxg5 Rxd2+ 33. Kxd2 Rh8!


もちろん、私のルークはhファイルに戻ります! これでルークの働きに差が生まれた黒は、白のポーンにプレッシャーをかけていきます。

34. Re1 Rh4 35. gxf6 gxf6 36. Ke3 Kg6?!



しかし、ここでキングの位置の改善を優先したのはミスでした。残り7秒ほどまで考えて指したのですが、シンプルにf ポーンを取りにいったほうが、白としては嫌なポジションになるでしょう。36... Rh3+ 37. Kd4 Rh2 38. Kc3 Rf2=/+

37. Rf1 Kf5 38. Rf2 Rh1 39. Bd4 Be4 40. Bb2 Rh3+


ここで30分を増やし、いよいよ勝負を仕掛けます。黒はf4 の孤立ポーンだけでなく、a2-c4 に並ぶ白マスのポーンも攻撃するチャンスがあります。

41. Kd4 b6 42. c5 b5 43. c6 Bxc6 44. Kc5



私は4段目に上がった白キングに対して、メイトスレットを作ることで1ポーンを奪いました。しかし、メイトの危機を逃れた白キングは、黒のクイーンサイドのポーンを攻撃しにいきます。

44... Bf3 45. Bc1 Bd5 46. Kb6 Rc3 47. Bb2 Rc6+ 48. Ka5 Be4


ルークを退きたくはありませんでしたが、一時的にa6 を守るためには仕方ありません。(Bb7, Rh7 のような形は嫌でした。)そこからチャンスを作るために、色々とピースを切り替え、アイディアを捻ります。

49. Bd4 Bd3 50. b4 Rc4



ルークでビショップと、ターゲットになりうるf4 のポーンを攻撃するのは、黒としては自然な発想です。難しいのは、黒のf6 のポーンも狙われているため、ルークを交換した後の純粋な異色ビショップエンディングが、黒勝ちになるかどうかの判断でしょう。50... Rc2?! 51. Rxc2 Bxc2 52. Kxa6 Ba4 53. Kb6 Kxf4 54. Bxf6 e5 55. Kc5 e4 56. Kd4 ならば、白は難なくドローに持ち込むことができます。

51. Bb2 Rc6


51... Rxf4?! 52. Rxf4+ Kxf4 53. Bxf6 e5 54. Bxe5+! Kxe5 55. Kxa6 Kd4 56. Ka5 Kc3 57. a4 ここでも、白はこのように黒のポーンをすべて消して、ドローに持ち込むことができるでしょう。

52. a3 Bc2 53. Bd4 Rc4 54. Be3



54. Bb2 Ba4 55. Kxa6 (55. Kb6!) 55... Rxf4 56. Rxf4+ Kxf4 57. Bxf6 e5 58. Kb6 e4 59. Kc5 Ke3!-+ これはa4 にビショップが跳びこみ、a3-a4 を早く止めることで、勝てる異色ビショップエンディングになるのではないかと読んでいましたが、a6 のポーンを無視してキングが寄る(考えてみれば、a6 のポーンを取るるメリットはありません。)55. Kb6! ならば、黒はどのように勝てばよいのか難しくなります。

54... Rc3 55. Kxa6!?


この手はかなり驚きました。白が1ポーンダウンで粘るためには、異色をキープし続けるだろうと思っていたためです。このビショップ交換は、黒に2コネクテッドパスポーンができるために順当に勝てるだろうと思っていましたが、ルークエンディングはそれほど簡単ではありませんでした。

55... Rxe3?!



これは時間がなかったとしても、もう少し冷静にどちらから取るかを考えるべきでした。55... Rxa3+ 56. Kb6 (56. Kxb5?? 56... Ba4!-+) 56... Rxe3 57. Rxc2 Kxf4 58. Kxb5 これならば、白はb5 のポーンを取るのに手数をかけなければいけないため、黒は本譜より得をすることになります。

56. Rxc2 Rxa3+ 57. Kxb5 Kxf4


これで、黒が1ポーンアップのルークエンディングになります。

58. Rf2+ Ke5 59. Kc4 Ra1 60. Rb2 Rc1+ 61. Kd3 Rd1+



ひとまず時間を増やし、白のパスポーンに対抗する作戦を練りますが、ここは61... Kd5! 62. Ke3 (62. b5 Rc7-+) 62... Rc6-/+ このようにキングが寄り、完全にパスポーンをブロックしてしまうのが正解でした。

62. Kc4 Rc1+ 63. Kd3 Rc6?! 64. b5 Rb6 65. Kc4 f5 66. Kc5 Rb8 67. Re2+ Kf6 68. b6 f4 69. Kc6 e5 70. Kc7 Re8 71. b7 Kf5 72. Rd2!


ここは塩見さんは冷静です。一般的にここまで進み、キングにサポートされた2コネクテッドパスポーンを、ルークだけで止めることはできません。そこで白はルークを8段目でぶつけ、プロモーションを確実にする作戦を取ります。

72... f3 73. Rd8 Re7+ 74. Rd7 Re8 75. Rd8 Rxd8 76. Kxd8 f2 77. b8=Q f1=Q



こうしたゲーム展開になるとは、対局していた私たちも、観戦者たちも予想していなかったでしょう。ここからは、黒がもう一度プロモーションを成功させるか、それとも白がそれを止め、パペチュアルチェックに持ち込めるかという勝負です!

78. Ke7 Qa6 79. Qf8+ Ke4 80. Qf2 Qa3+ 81. Ke6 Qa6+ 82. Ke7 Qa3+ 83. Ke6 Qa6+ 84. Ke7


実はこの時点で3回目同一局面が成立しているのですが、塩見さんは指摘の仕方を間違え、ゲーム続行です。それにしても、私は実に同一局面のカウントが下手です! 9R の尚広くんとのゲームでも、するつもりのない3回同一局面を成立させてしまいました。

84... Qb7+ 85. Ke6 Qc8+ 86. Kd6 Qd8+ 87. Ke6 Qe8+ 88. Kd6 Qd8+ 89. Ke6 Qd5+ 90. Ke7 Qd4!



確信はありませんでしたが、勝つチャンスを作るために良い手を指せたと思います。ここからはチェックする側がチェンジとなり、黒がキングを動かして、チェックの切れるマスを求めます。

91. Qe2+ Kf4 92. Qh2+ Kg4 93. Qg2+ Kf4 94. Qh2+ Ke4 95. Qe2+ Kd5 96. Qa2+ Kc5 97. Qa7+ Kb4 98. Qb7+ Kc4 99. Ke6 e4


Qd4-Qc5+ というカウンターチェックからのクイーン強制交換を避けなければいけない白は、縦でのチェックができなくなります。そこでキングをeポーンに近づけて取るチャンスを作ろうとしますが、黒は当然、ポーンを前進させてプロモーションを目指します。

100. Qa6+ Kb4 101. Qb7+ Kc3 102. Kf5 e3 103. Qc6+ Kd2 104. Qh6 Qd5+ 105. Kg4 Qg2+ 106. Kf5 Qf3+ 107. Ke5 Kd1



いよいよ黒は仕上げの段階に入ります。ここは107... Ke1! がより早い手でしたが、いずれにせよ黒は好位置に置いたクイーンで、白クイーンでのチェックの可能性を減らしておき、キングをさらに理想的なポジションへと運びにいきます。

108. Qd6+ Ke1 109. Qb4+ Kf2 110. Qd4 Kg2!


これでようやく長いゲームに決着がついたことを確信しました。白からチェックを続けたり、ポーンの前進を止める方法はすでにありません。

111. Qb2+ e2 112. Qd2 Kf1 0-1



こうした長いクイーンエンディングを戦ったのは、自身初のことです。こうして最終戦を無事に白星で飾りましたが、白で桑田くんを破った馬場さんには0.5P 追いつかず、今年も2位でフィニッシュです。馬場さんと並んでトップを走っていた三ツ矢さんはAlex に負けてしまい、3位に後退してしまったのは勿体なかったですね。それでも三ツ矢さんは、最終戦を勝って7.5P グループに入ってきた唐堂くんと同様、全日本初入賞を果たしています。

1st Place 馬場雅裕 8.5P
2nd Place 小島慎也 8P
3rd Place 三ツ矢直人 7.5P
4th Place 唐堂 7.5P



全日本とゴールデンオープンの優勝者たちのツーショット。ゴールデンオープンは、アメリカから一時帰国中の上杉晋作くんが7勝1ドローで優勝しました。昨年、ゴールデンで優勝した馬場さん同様、晋作くんも全日本で優勝を狙うレベルのプレーヤーですし、この結果は当然でしょう。彼も本格的に公式戦に復帰してくれませんかね...


私はIM タイトルを正式に獲得したことが表彰式で伝えられ、記念の花束とFIDE からの証明書を受け取りました。今大会では、2009年のSam Collins ほど、IM としての実力を十分に発揮することができませんでしたが、それは私もまだまだ、勉強不足だということです。今後も国内、海外大会の両方で腕を磨き、プレーヤー、トレーナーとしての両面で活躍を続けていければと思います。

最後になりましたが、全日本選手権とゴールデンオープンの参加者と観戦者の皆さん、そして運営陣の皆さん、本当にお疲れ様でした。今年も多くのプレーヤーと交流することができ、とても楽しかったです。また次の大会でお会いしましょう!

05/01 10:00 R1 Takada, Y (JPN, 1841) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/02 10:00 R3 Kobayashi, A (JPN, 2085) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/02 15:30 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Lin, P (JPN, 1906) 1-0
05/03 10:00 R5 Tang, T (JPN, 2064) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Baba, M (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
05/04 10:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Kuwata, S (JPN, 2130) 1-0
05/04 15:30 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yamada, K (CM, JPN, 2087) 0-1
05/05 10:00 R9 Nakamura, N (JPN, 2054) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/05 15:30 R10 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Averbukh, A (JPN, 2198) 1-0
05/06 10:00 R11 Shiomi, R (JPN, 2138) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1

2015/05/07

Saturday Lecture on May 9th 2015


Photo by Hasegawa

【日時】 2015年5月9日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Japan Chess Championship 2015
【テーマ詳細】

5月のレクチャーでは、終わったばかりの全日本選手権のゲームを取り扱います。今年もアツい戦いが繰り広げられた全日本のトップ10ボードから、私が注目のゲームをピックアップし、序盤、中盤、終盤と幅広くアイディアをご紹介したいと思います。日本トップクラスのチェスがどのようなものか、是非チェックしてみてください。

【参加費】 一律1200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

今月のレクチャーは前回のちょうど2週間後で、全日本が間に入ったため、告知が遅くなったことをお詫び致します。2日後と急なレクチャーですが、皆さんの参加をお待ちしています。

2015/05/05

Japan Chess Championship 2015 Day5


例年と異なり、荒れに荒れている今年の全日本選手権は、最後の最後まで誰が優勝するか分かりません。私は9R で尚広くんとドローになり、10R ではオリンピアードチームメイトのAlex との対戦になりました。たまたまですが、去年の全日本選手権でも、10R でAlex に白でした。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Averbukh, A (JPN, 2198)
Japan Chess Championship 2015 (10)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Qc7 8. g3 e5 9. dxe5 Nxe5 10. Bf4 Nfd7 11. Bg2 g5 12. Nxe5 gxf4 13. Nxd7 O-O-O 14. Qd4
Qxd7 15. Qxf4 Bd6 16. Qc1 a5 17. O-O Kb8 18. Rd1 h5 19. Ne4 Bxe4 20. Bxe4 h4 21. Bg2 Qe7 22. Qc3 hxg3 23. hxg3 Rdg8 24. Rd3 f5 25. Rad1 Rh6 26. Qd2 Rgg6 27. e3 Qc7 28. Qe2 Rh8 29. Qf3 Rf8 30. Rd4 Rgf6 31. R1d3 Be5 32. Rd7 Qb6 33. Qd1 R6f7 34. Rxf7 Rxf7 35. b3 Ka7



この試合はここからです。序盤で1ポーンアップした白は、2つ目のポーンに狙いを定めます。

36. Bh3! Qc7 37. Qh5 Qe7


g3 のサクリファイスはやりすぎなので、黒は2つ目のポーンを見捨てるしかありません。これで2ポーンアップになり、3コネクテッドパスポーンもできる白ですが、なかなか勝ちを確実にするのに手間取りました。

38. Bxf5 Qf6 39. e4 Bc7 40. Kg2 Rg7



ここで余裕を持って30分を追加し、エンドゲームで勝つプランを模索します。黒キングにはあまり有効な攻撃ができそうにないので、ルークを交換したうえで、パスポーンを押し進めることにします。

41. Rd7 Rxd7 42. Bxd7 Qd4 43. Qf5 Qd3 44. Be6 Qd4 45. Bc4 Kb6 46. Qf3 Ka7 47. Qe2 Bd6 48. Qd3 Qc5 49. f4


焦らずにピースの位置を改善してから、いよいよfポーンを進めていきます。

49... Bc7 50. e5 Bb6 51. Kf3 Qe7 52. e6 Bc5 53. Qd7 Qf6 54. Qc7 Qc3+ 55. Kg4 Bb6 56. Qe5



白としては、クイーンを交換しても勝てる異色ビショップエンディングになるため、遠慮なくクイーンをぶつけてしまいます。これで勝ちかと思いましたが、Alex もまだまだ粘ります。

56... Bd4 57. Qe2 Bc5 58. Qd3


ここで再びクイーンをぶつける手を長い時間考えましたが、今度は黒のビショップはc5 に改善されているため、勝てるのかわかりませんでした。しかし、これは勝てるようです! 58. Qe5 Qxe5 (58... Bd4 59. Qd6) 59. fxe5 Kb6 60. Kf5 Kc7 61. g4 Kd8 62. g5 Ke7 63. g6 Kf8 64. e7+! Bxe7 65. Ke6+- ここまで進めてみれば、eポーンを1つ突き捨て、キングが侵入するアイディアも見えますね。

58... Qg7+ 59. Kf3 Qh6 60. Kg2 Qf6 61. Qd2 Kb6 62. g4 Bb4 63. g5



時間がない中、今度はg ポーンを進めてみることにします。g4 のマスが使えるようになったのは大きいですが、f4 がターゲットになりやすいという問題もあります。

63... Qf5 64. Qe3+ Bc5 65. Qf3 Bd6 66. Qe3+ Bc5 67. Qg3 Qe4+ 68. Kh3 Qf5+ 69. Qg4 Qe4 70. Qd1?!


とにかく時間がなく、f4 をうまくサポートしながら、パペチュアルも回避する方法が分かりませんでした。そこでf4 を捨ててもQd1-Qd8 と跳びこむプランを考えますが...

70... Ka7?



ここはf4 を取るしかありません! 70... Qxf4 71. Qd8+ Qc7 72. Qf6! これでまだ白に勝つチャンスがあるというのが、コンピュータの私的です。(72. Qxc7+? Kxc7 73. Kg4 Kd6 74. Kf5 Ke7= この異色ビショップエンディングはドローになります。)

71. Kg4!+-


これで白キングは安全を確保し、後はeポーンを進めるのみとなります。

71... Qg2+ 72. Kf5 Qh3+ 73. Kg6 Qh8 74. Qd7 Qh2 75. e7 Qxf4 76. e8=Q Be3 77. Qee7 1-0



こうして今年の全日本最長ゲームを制し、逆転優勝への望みをわずかに繋げています。10R 終了時の順位は以下のようになっています。

7.5P 馬場、三ツ矢
7P 小島、山田
6.5P 塩見、唐堂、桑田


そして最終ラウンドでも、このメンバーによる好カードが残っています。

1B 馬場 - 桑田
2B Alex - 三ツ矢
3B 塩見 - 小島
4B 唐堂 - 山田


このペアリングと現在のポイントを考慮すると、最終戦の結果次第では7.5P で最大5人同時優勝がありえることになります! もちろん、半歩リードしている馬場さん、三ツ矢さんはそれを許さないでしょう。上位4ボードの結果は、最後まで目が離せません。

05/01 10:00 R1 Takada, Y (JPN, 1841) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/02 10:00 R3 Kobayashi, A (JPN, 2085) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/02 15:30 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Lin, P (JPN, 1906) 1-0
05/03 10:00 R5 Tang, T (JPN, 2064) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Baba, M (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
05/04 10:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Kuwata, S (JPN, 2130) 1-0
05/04 15:30 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yamada, K (CM, JPN, 2087) 0-1
05/05 10:00 R9 Nakamura, N (JPN, 2054) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/05 15:30 R10 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Averbukh, A (JPN, 2198) 1-0
05/06 10:00 R11 Shiomi, R (JPN, 2138) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)

2015/05/04

Japan Chess Championship 2015 Day4


7R のトップボード, Photo by Uesugi

全日本4日目は、桑田くん、弘平くんと同期対決が続きます。午前のラウンド、桑田くんには完璧な指しまわしで勝利を収め、三ツ矢さんとドローだった馬場さんに5.5/7 で追いつきました。そして前日に連続黒だったため、次のラウンドでも白を引いての勝負です。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yamada, K (CM, JPN, 2087)
Japan Chess Championships 2015 (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 b6 3. g3 Bb7 4. Bg2 g6 5. O-O Bg7 6. d4 O-O 7. Nc3 Ne4 8. Bd2 Nxd2 9. Qxd2 d6 10. e4 Nd7 11. Rac1 c5 12. Rfd1 a6 13. Qe2 Qb8 14. Bh3 Rd8 15. Nd5 e6 16. Nc3 Qc7 17. Rc2 Rac8 18. d5 e5 19. Nh4 Rf8 20. Qd3 Rce8 21. Na4 Bf6 22. Ng2 Bc8 23. Qb3 Bd8 24. Ne3 Qb7 25. a3 Kh8 26. Rb1 Qb8 27. Nc3 Nf6 28. Bxc8 Qxc8



このゲームは序盤を飛ばし、ここから見ていきましょう。白マスビショップを交換した白は、クイーンサイドからの侵入を図ります。

29. Qa4! Nh5 30. Qc6!


白はクイーン交換を持ちかけます。もしc6 のマスでクイーンを交換するようであれば、白はパスポーンと、ナイトが跳ぶd5 のマスを得て勝勢です。黒はクイーンを残して、白キングへのダイレクトアタックに期待するしかありません。

30... Qh3 31. Qxd6 f5



この黒の反撃を捌き切れば、白は駒得とパスポーンにより勝つことができるでしょう。ここからもドローのアイディアは頭にありましたが、隣では馬場さんが早々に勝ちを決めていたため、私も勝ちを目指すことにします。

32. exf5 gxf5 33. Qd7


私のディフェンスのアイディアの1つ目は、クイーンをc8-h3 のダイアゴナルに置くことで、一時的にf5-f4 を止めることです。ポーンを進められなければ、これ以上のアタックを作るのが難しい黒にとって、以下のように指すのは自然な流れでしょう。

33... Re7 34. Qc8 Rc7 35. Qe6 Re7 36. Qc6!



私はさらに、d5-d6 を突いた際に、クイーンがa8-g1 のダイアゴナルを抑えていれば、黒の攻撃を防ぎきれると考え、実行します。ここでは、36. Qc8 Rc7 37. Qe6 Re7 38. Qc6 と手を稼いでおけば、40手目での悲劇はなかったのですが、それは言っても仕方のないことですね。

36... f4 37. d6 Rg7 38. Nf1


検討戦では、38. Qg2 Qe6 39. Ned5 と指すアイディアも出ましたが、せっかくの駒得を返してしまうのは勿体ないように私のは思えました。

38... f3 39. Ne3 Bh4 40. Kh1??



弘平くんの指した39... Bh4 が予想外で、私は混乱してしまいました。相手のほうが時間が少なかったにもかかわらず、私も40手目は残り1秒まで考えて指すことに... その結果、全くダメな手を選んでしまいました。冷静になれば、40. Ne4! と指してg3 をディフェンスしておけば良かったとすぐ分かりそうなものですが、大きなプレッシャーのかかった場面では、そうした冷静な判断ができません。

40... Bxg3!-+


これで白のディフェンスは崩壊し、メイト受けなしです。30分の持ち時間が増えた弘平くんが、ここから間違うはずはありません。

41. fxg3 Nxg3+ 42. Kg1 Ne2+ 43. Kh1 Rg2 44. Rxe2 Qxh2# 0-1



1B ではAlex に馬場さんが勝ち、今度は1P 差がつきました。さらに3B では、桑田くんが三ツ矢さんに負けました。これにより、上位勢の順位は以下のようになっています。

6.5P 馬場
6P 三ツ矢
5.5P 小島、山田、唐堂


遅れて上がってきた弘平くんと、bye で抜けていた唐堂くんが、上位の2名に9R で挑みます。明日のペアリングは、山田 - 馬場、三ツ矢 - 唐堂、中村 - 小島 と発表されています。大荒れの今大会、残りの3試合の結果と最終順位の行方は、まだまだ分かりません。私も最後までしっかりと指し続けたいと思います。

05/01 10:00 R1 Takada, Y (JPN, 1841) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/02 10:00 R3 Kobayashi, A (JPN, 2085) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/02 15:30 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Lin, P (JPN, 1906) 1-0
05/03 10:00 R5 Tang, T (JPN, 2064) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Baba, M (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
05/04 10:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Kuwata, S (JPN, 2130) 1-0
05/04 15:30 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yamada, K (CM, JPN, 2087) 0-1
05/05 10:00 R9 Nakamura, N (JPN, 2054) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
05/05 15:30 R10
05/06 10:00 R11

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