2016/09/05

Baku Chess Olympiad R3 Turkmenistan - Japan


ホテル前での日本チーム集合写真 Photo from Mrs.Hoshino

バクーでのオリンピアードも3R 目を迎え、トップチームの対戦も多くなってきました。私たち日本のオープンチームは、全員が2400台という強豪国、トルクメニスタンとの対戦です。私と唐堂くんの相手は、GM のタイトルも持っています。私は黒を持ち、ソリッドに指すことを心がけました。

Atabayev, M (GM, TKM, 2485) - Kojima, S (IM, JPN, 2398)
Baku Chess Olympiad (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4



Atabayev Maksatは正統派のe4 プレーヤーですが、Caro-Kann に対してはいくつかのラインを指しており、どの変化になるかは絞り切れませんでした。それでも、Gabrielian に勝ったゲームのあるこのメインラインは、指される可能性があると思い、試合前に調べていました。

13... Nxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Qd5 16. Kb1!?


私の手持ちの本では、16. c4?! Qe4 17. Qxe4 Nxe4 18. Be3 f5 はすでに黒が満足で、白にとって良くないと書かれています。次の手は16... Qb5!? も考えましたが、それよりもe4 でクイーンをぶつけるポピュラーなアイディアを選ぶことにします。

16... Qe4 17. Be3 Ng4



クイーン交換を避けられた場合、このようにビショップを取りに行くのが自然でしょう。そうしなければ、Nf3-Ne5, f2-f3, g2-g4 とされ、クイーンをe4 まで運んだ意味を失ってしまいます。

18. Nd2 Qf5 19. f3 Nxe3 20. Qxe3 O-O-O


ここは少し考え、クイーンサイドキャスリングをすることにしました。どこかのタイミングでa7 を捨てることは、この時点ですでに視野に入れています。

21. Nc4 Bd6!?



私はCaro-Kann Classical の黒マスビショップは、e7 にしか展開したことはありませんが、e5 のマスを抑えるためにd6 に展開するアイディアがあることも知っています。ナイトビショップの交換からポジションを単純化することは、私にとってありがたかったので、ここでNc4-Ne5 を防ぐためにビショップをd6 へと動かしました。もちろん、自然に見えるBe7-Bf6 も大丈夫で、21... Bf6 22. Qa3 Qd5 23. Ne3 Qg5 と進んで黒OK です。

22. Nxd6+ Rxd6 23. Qa3 Rhd8 24. Qxa7 e5


a7 は取らせましたが、d4 へすぐ反撃をしてポーンを取りかえしにいきます。ここから白が無理をすれば、黒が有利なエンドゲームになるため、ほぼ白には選択肢がないでしょう。

25. Rhe1 Rxd4 26. Qa8+ Kc7 27. Qa5+ Kc8



黒はキングを逃がす場所が一択しかありません。27... Kb8?! 28. Qxd8+! Rxd8 29. Rxd8+ Kc7 30. Re8 ならば、2つのルークvs. クイーンで、白にチャンスのある局面です。一方で、ポーンを取りかえされえたうえ、オープンファイルをコントロールされた形は白にとって悪いため、ルークを交換してゲームを続けるのは、白にとってリスクが高いでしょう。

28. Qa8+ Kc7 29. Qa5+ Kc8 30. Qa8+ Kc7 1/2-1/2


ここでのパペチュアルチェックは妥当だと思います。私自身、ドレスデンのBaburin戦から続いていた、オリンピーアドでのGM戦連敗が、13で止まって一安心です。私がドローで抜け、残りの3B の結果を待つことになりました。

そして、事情は一部で伝えられていると思いますが、このラウンドで何が起こったのか、私から説明する必要があると思います。日本で観戦しているチェスファンは、南條くんは負けたものの、Alex が1ポーンダウンのエンドゲームを大逆転で勝ち、唐堂くんも少し苦しい序盤から盛り返し、最後は相手キングを追い詰めて勝ち。日本チームが格上のトルクメニスタンを破ったと思ったでしょう。私や山田くんもそう思って、トルクメニスタンに勝ったと報じました。

しかし、実際には4B で勝ちになった唐堂くんは、試合後に持ち物検査を受け、携帯電話を所持していたことから反則負け扱いとなりました。もちろん、通信やアプリの使用記録がなく、不正をしていないことは示せましたが、試合会場に禁止されている電子機器を持ちこんだという事実だけで、負けになるという判定は覆りませんでした。かつて、試合中に携帯電話が鳴って負けになるプレーヤーはいましたが、試合後の検査で電子機器が見つかり、負けになるという話は私も初めて聞きました。R1 前に通告がありましたが、今大会は不正のチェックがとても厳しく、カメラや時計、ペンですら試合会場に持ち込むことはできません。私のブログでも、試合会場内の写真がないのはそのためです。唐堂くんは自分の不注意を反省しているようですので、私からは特に厳しく言わず、今日のラウンドを休ませて、また明日から頑張ってもらうつもりです。

Turkmenistan - Japan 2.5-1.5

Atabayev, M (GM, TKM, 2485) - Kojima, S (IM, JPN, 2398) 1/2-1/2
Atabayev, Y (IM, TKM, 2453) - Nanjo, R (IM, JPN, 2340) 1-0
Atabayev, S (FM, TKM, 2406) - Averbukh, A (JPN, 2223) 0-1
Odeev, H (GM, TKM, 2401) Tang Tang (JPN, 2108) 1-0


一方で女子チームは、格下のパレスチナ相手にしっかりと4連勝! チームとして初めての白星を挙げました。ここから波に乗っていけるとよいですね。

Japan - Palestine 4-0

Ishizuka, M (JPN, 1778) - Faqeeh, R (WCM, PLE, 1450) 1-0
Hoshino, K (WCM, JPN, 1802) - Albzoor, R (WFM, PLE, 1570) 1-0
Shibata, M (JPN, 1638) - Faqeeh, A (PLE, 1488) 1-0
Fukuya, N (JPN, 1636) - Faqeeh, Y (PLE, 1499) 1-0


4R はオープンがアフリカのサントメ・プリンシペ、女子がIPCA との対戦となりました。サントメ・プリンシペのメンバーは、全員が規定試合数に到達しておらず、試合経験が足りていないことは明らかですので、ここはしっかりと4-0 で勝って、浮上のきっかけをつかみたいと思います。

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