2016/12/10

London Chess Classic 2016 Vol.1


4年前のLondon Chess Classic の顔ぶれ

世界選手権が終わってつかの間、また面白い大会がスタートしました。現在、結果とゲームを追っているのは、昨日スタートしたばかりのLondon Chess Classic です。この大会は招待された世界のトッププレーヤーが集まるClassic セクションと、誰でも参加できるOpen セクション、そしてレイティングや日程で区分されたいくつかのセクションに分けられています。自分のレベルやスケジュールに合わせて、誰もが参加しやすく、ヨーロッパではもはや毎年12月の定番トーナメントと言えるでしょう。私も4年前、森内さん、高橋さんらと参加したことを懐かしく思い出します。

今年のClassic のメンバーは、オリンピアード優勝のアメリカトップ3、Caruana、So、Nakamura に、Anand、Kramnik ら10人という豪華な顔ぶれです。この大会が始まった当初は、海外のトップGM をイングランドのトップGM 数人が迎え撃つという構図でしたが、今年はイングランドからはAdams しか参加しておらず、その点に関しては少し寂しいですね。それでも昨日の初戦から3試合で決着がつき、大会は大きな盛り上がりを見せています。

Nakamura, H (GM, USA, 2779) - So, W (GM, USA, 2794)
London Chess Classic 2016 (1)

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. e4 Nxc3 6. bxc3 Bg7 7. Be3 c5 8. Rc1 O-O 9. Qd2 e5 10. d5 Nd7 11. c4 f5 12. Bg5 Nf6 13. Ne2? Nxe4!



驚いたことに、Hikaru から序盤に飛び出したこのブランダーで、ゲームは一気に黒に傾きました。トップレベルの試合でこうした序盤のブランダーは、かなり珍しいと思います。

14. Bxd8 Nxd2 15. Be7 Rf7 16. Bxc5 Nxf1 17. Rxf1 b6


こうしてクイーンを交換した黒は、c5 でポーンを返しても、その後でc4 を取り返すことで、再び駒得を得て優位に立ちます。白はf1 でビショップナイト交換を許しており、ダブルビショップを失っていることも痛手となります。

18. Bb4 Ba6 19. f4 Rc8 20. fxe5 Bxe5 21. Rf3 Bxc4-+



こうしてc4 を落としてしまえば、d5 も弱く白陣はボロボロです。すでに勝負は決したと言えるでしょう。

22. Re3 Bg7 23. Nf4 Rd7 24. a4 Bh6 25. g3 Bxf4 26. gxf4 Rxd5 27. Re7 Rd4 28. Bd2 Kf8 29. Bb4 Re8 0-1


マン島では、この2人は同じ色で試合をし、簡単にドローにしていましたが、今回はこのように決着がつきました。10人のラウンドロビンはまだまだ先が長いので、Hikaru はここから挽回できると良いですね。ちなみに私はKramnik を応援しているので、明日以降で彼のゲームや、他のセクションで気になったゲームの紹介もできればと思います。

London Chess Classic R2 Live Games


2 件のコメント:

チェス さんのコメント...

こんばんわ。日本、または海外でチェス関係の仕事だけで生活していくことは可能でしょうか?差し支えなければお答えいただきたいです。

Shinya_Kojima さんのコメント...

コメントありがとうございます。日本のチェス市場はまだまだ成熟していませんが、海外ではコーチングや本の執筆、イベント関連など、チェスに携わる仕事は場所によって多いと思います。プレーだけで生計を成り立たせるのは、本当に世界のごく一部のトップだけですね。

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