2017/06/25

25th IVL Tournament Report


6/24 に25回目となるIV League が開催されました。今回はリストが上位から、南條くん、羽生さん、青嶋くん、馬場さん、Antonさん、私と豪華なメンバーが揃い、白熱した戦いが繰り広げられました。前回のIVLで初優勝を飾ったAntonさんは、今回も好調でスタートから星を重ねます。彼からはベストゲームだという3R の棋譜を貰っているため、今夜はそれをご紹介しようと思います。

Kockum, A F (FM, SWE, 2365) - Sano, T (JPN, 2148)
25th IVL (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 c5 4. d5 exd5 5. cxd5 d6 6. Nc3 g6 7. h3 Bg7 8. e4 a6 9. a4 O-O 10. Bd3 Nbd7



Antonさんはここ2回のIVL で、篠田くん、東野さん、佐野さんと3連続で、Benoni をこのModern Variation で受けています。この先の本譜の流れが嫌であれば、黒には10... Nh5!? と早めに跳び、f4 のマスを受けておくアイディアもあったでしょう。11. g4!? Nhf6 と戻っても、白はキングサイドキャスリングがしづらく、h7-h5 から崩すチャンスもあるので、黒は大丈夫だと思います。

11. Bf4 Qe7 12. O-O Nh5 13. Bh2 Ne5 14. Be2 Nxf3+ 15. Bxf3 Nf6 16. e5!?


Benoni ではときどき見られるポーンサクリファイスです。白はポーンを捨てる代わりにdファイルのパスポーンと、ナイトが跳ぶのに絶好の、d5,e4 といったマスを得ます。

16... dxe5 17. d6 Qe6 18. Re1 Ne8 19. Ne4



このナイトはd6 を守りつつ、c5 のポーン取りかえしとg5 跳びを見せる、黒にとって嫌な存在です。

19... Rb8 20. Qd2 b6 21. Rad1 Bd7 22. Ng5!


白はテンポ良くdファイルにヘビーピースを重ね、d6 のポーンを守ってからナイトをアタックに使いにいきます。このナイトはクイーンをe6 のマスを追い出しつつ、f7 を狙う働きをしています。

22... Qb3 23. Bxe5! Qxa4 24. Bxg7 Kxg7 25. Qc3+ Kg8 26. Re7!



依然として黒は1ポーンアップですが、7段目にルークが侵入され、f7 がいよいよ危なくなってきます。白はd1 のルークのお守りさえなえれば、次にBf3-Bd5 とビショップを進めて勝負を決められそうです。ここからのAntonさんのアタックの作り方に、ぜひ注目してみてください。

26... Rd8 27. Qe5! Bc6 28. Nxf7!


ここでナイトをサクリファイスし、白は決定的な攻撃を作り出します。f3 のビショップが消えるとd1 のルーの守りもなくなるため、黒のカウンターは多少ありそうにも見えますが...

28... Rxf7 29. Rxf7 Kxf7



もう1つの先にビショップを取る変化に対しては、29... Bxf3 30. Rd3!! このルーク避けで白の勝ちです! ルークをビショップとクイーンから避けつつ、3段目で振ることで、黒のキングを一気に追い詰めます。

30. Qe7+ Kg8 31. Qxd8 Bxf3 32. d7!!


f3 のビショップを取らせただけでなく、d1 のルークも無視します! 黒はカウンターを続けることも、クイーンを残したままプロモーションを止めることもできません。

32... Qxd1+ 33. Kh2 Qd6+ 34. g3 Bc6 35. dxe8=Q+ 1-0



こうして綺麗なフィニッシュで佐野さんを下したAntonさんが単独3連勝。次のラウンドで馬場さんにこそ敗れましたが、最後は南條くんに勝って、連続でのIVL 優勝を決めました。


一方で馬場さんも、南條くん、青嶋くんにドローのみで他の3試合を勝ち。Antonさんと並んで4P となり、同時優勝となっています。Antonさん、馬場さん、おめでとうございます! 今回は会場の都合でタイブレークまではできず、2人同時優勝という扱いですが、タイブレークのブリッツも毎回盛り上がりますので、時間が許せば次回はタイブレークをやりたいですね。

1st-2nd Place Kockum, A F (FM, SWE, 2365) 4/5
Baba, M (CM, JPN, 2378)
3rd-5th Place Nanjo, R (IM, JPN, 2444) 3/5
Kojima & Sano (JPN, 2317)
Higashino, T (JPN, 2128)


私個人としては、午前の2R のみ参加でどちらも勝ち。青嶋くんに勝てたゲームは内容は良かったと思っていましたが、やや形勢判断の甘いところや、詰めが緩かったのを反省します。最近は5R フルでの参加がなかなかできないので、次回は自分も1日時間が取れるスケジュールでIVL を企画したいと思います。IVL 参加者の皆さん、今回もお疲れ様でした。また次回もよろしくお願い致します。


2017/06/20

The Highest Level Training in Japan on 19th June 2017


昨日の月曜日は羽生さんとのトレーニングでした。4月には青嶋くんを交えて3人の形式も試していますが、今回はそれ以前の2人形式に戻っています。この日は先に私が白を持ち、久々の1. e4 を試してみることにします。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Habu, Y (FM, JPN, 2399)
Training (1)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 Nf6 4. e5 Nfd7 5. f4 c5 6. Nf3 Nc6 7. Be3 a6 8. Qd2 b5 9. a3 g5!?



French Defence は予想の範囲内でしたが、ここでg7-g5 と突く珍しい変化は予想外です。黒はキングサイドを崩しても、白のセンターポーンを壊してアンバランスなポジションを目指します。

10. fxg5


私にとっては自然なリアクションです。1ポーンを取っても、黒マスビショップを失う10. Nxg5!? cxd4 11. Bxd4 Nxd4 12. Qxd4 Bc5 という流れは、好みではありません。

10... cxd4 11. Nxd4 Ncxe5 12. Be2 Be7!?



この手は見たことのないもので、試合中不思議に感じました。e5 のポーンを崩したのであれば、12... Bg7 と組んでh8-a1 のダイアゴナルを抑え、キャスリングした際のディフェンスとしてビショップを使うほうが自然なのではないかと思います。

13. O-O O-O 14. Rae1 Bb7 15. Bh5!


Kg1-Kh1 を入れておくかどうか迷いましたが、遅かれ早かれこの1手は指すつもりでした。fファイルが開いた以上、f7 を狙うのは自然な流れです。気になるのは当然c4 のマスの守りですが、ここはある程度読んで大丈夫だと判断しました。

15... Nc4?!


本譜の流れを見る限りこの手は機能せず、検討では15... Rc8 などとゆっくり準備をするのが良いのではないかという意見が出ました。ナイトが5段目の弱いマスに侵入する手は良さそうに見えますが、白のアタックをやや軽視しています。

16. Qf2 Nde5 17. Bf4! Ng6 18. Bxg6! hxg6 19. Nxe6!



羽生さんが見落としていたのはこの手で、白はピースを捨てても十分な代償を得られます。もう1つの候補はQf2-Qh4 ですが、これにはBe7-Bc5 の返し技があり、キングをh1 に寄せておかなかったことを白は後悔しそうです。

19... fxe6 20. Rxe6 Qd7


ここは様々な手があり、黒は選択に頭を悩ませます。20... Rf5 21. Rxg6+ Kf7 22. Rh6! Bxg5 23. Bxg5 Rxf2 24. Rxf2+ Kg7 25. Bxd8 Kxh6 26. Bb6+-, 20... Qe8 21. Rfe1! Rf7 22. Rxg6+ Rg7 23. Rxg7+ Kxg7 24. Qd4+ Kg6 25. Re6+ Kf7 26. Nxd5 Kxe6 27. Nc7++-, 20... d4 21. Qe2! Bf6 22. Rxf6 Rxf6 23. gxf6 dxc3 24. Qe6+ Kh8 25. Qh3+ Kg8 26. f7++- どの変化も難しいですが、白は駒取りかえすか決定的なアタックを仕掛けて勝ちとなります。

21. Rxg6+ Kf7 22. Rh6 Ke8 23. Re1 Kd8 24. Rh7?



あと一歩で白の勝勢がはっきりするという状況で、ひどいミスをしてしまいました。残り時間は3分半、最も自然に見える手を選んだつもりでしたが、黒の反撃を見通しています。代わりに24. Rhe6! Bd6 25. Rxd6! Nxd6 26. Qb6+ Qc7 27. Qxd6+ Qxd6 28. Bxd6 Re8 29. Rd1+- と進め、3ポーンエクスチェンジのマテリアルにすれば、黒には白のパスポーンを止めるすべがなく、白の分かりやすい勝ちでした。

24... Rxf4!


このディフェンスの1手を見ていなかったのは、深く反省すべきです。これでも白は駒を取りかえせますが、上記の変化に比べて形勢判断はとても難しいポジションになります。

25. Rh8+ Kc7!



25... Rf8 26. Rxf8+ Bxf8 27. Qxf8+ Kc7 28. Qc5+ Kd8 29. g6 Qd6 30. Qxd6+ Nxd6 31. h4+/- ならば、白はまだピースを捨てた状態ですが、黒は白の2コネクテッドパスポーンを止めるのが難しそうです。

26. Qxf4+ Bd6 27. Qd4 Rxh8 28. Qxh8 d4?!


2ビショップをキープしたまま、黒はキングを逃がした窮地を脱しました。ところが、これでもまだ白のgポーンをストップしながらカウンタープレーを作らなければいけないという課題が残ります。d5-d4 から白マスビショップのラインを開くのは良さそうなアイディアに見えますが、白ナイトにe4 の好位置を与えてしまうことになります。まずは28... Qg4! と指してg5 を狙いつつ、d5-d4 のチャンスを伺えば形勢不明でした。

29. Ne4 Ne3?



ディフェンスしなければいけないこちらはひやひやですが、黒マスビショップを消させてくれるのはありがたいと感じました。29... Bxe4 30. Rxe4 Qf5 31. Qg7+ Kc6 32. Re1 ならば、まだどちらも指せる状況です。

30. Nxd6 Qxd6 31. Qh7+ Kb8 32. g6


こうしてパスポーンが6段目に到達できれば、いよいよプロモーションが現実味を帯び、勝ちが近づいてきます。しかしまだまだミスがお互いに出ます。

32... Qd5 33. Re2?



33. Qh3! Qg5 34. Qg3+! ならば、黒の反撃はこれ以上なく、完全に白の勝勢でした。

33... Qe4?


読み切るのは少し難しいですが、ここはパペチュアルチェックのチャンスでした。33... d3! 34. cxd3 Qxd3 35. Qh8+ Ka7 36. Kf2 Nd1+ 37. Ke1 Ne3 38. g7 Nxg2+ 39. Rxg2 Bxg2 40. g8=Q Qe3+ 41. Kd1 Bf3+ 42. Kc2 Be4+ 43. Kd1 Bf3+= と進み、白はクイーンを作ったにもかかわらず、キングがチェックから逃げきれずにドローとなります。

34. Qh8+ Ka7 35. g7 Qf4 36. Qf8 1-0



難解なポジションが続き、お互いに反撃やディフェンスにミスが出ましたが、それでも通して振り返ると面白いゲームだったと思います。それにしても最後までハラハラしました(笑)


お昼は近くで和風パスタを頂きました。食事の席での話題はいつも通り多岐にわたりましたが、囲碁界とAI の話は個人的に興味深かったです。そしていつも通り、チェスや囲碁など、他の業界の最新情報にも詳しい羽生さんに驚きです。


Habu, Y (FM, JPN, 2399) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Training (2)
Position After 29... Kf8

午後のゲームは簡単にエンドゲームだけを振り返ろうと思います。イコールで全てのポーンが同じファイルにいるため、順当にいけばドローになりそうですが、白キングのみセンターに出てこられないため、どちらかと言えば黒が指しやすく、続けるべきだと考えました。

30. f4?


この手ははっきり悪く、黒に狙われる弱点を作ってしまいます。検討ではh4-h5 を白から突くべきだという意見も出ましたが、コンピュータはもっと明快なドローの筋を示します。30. Bc5+! Bxc5 31. dxc5 b4 32. Ba4 Ke7 33. Kg2= 私たちは2人とも、黒マスビショップを交換してイコールであることに、試合後も気づいていませんでした。c5 のポーンは落ちると思い込んでいましたが、Bd1-Ba4 からa4-e8 のラインを抑えてしまえば、黒キングはポーンに近づけないのですね。勉強になります。

30... Be1! 31. Bc5+ Ke8 32. Kg2 h5!



このタイミングであれば、g3、h4 をターゲットとして固定しておく効果が分かりやすく、白は自分からh4-h5 を突かなかったことを後悔します。これで白キングはg3 の守りに縛られることになり、黒キングのみがポジションを自由に改善するチャンスとなります。

33. Bc2 Kd7 34. e4


このポーン突きはどこかでブレイクしないとジリ貧である白にとって当然かもしれませんが、私は白マスビショップの交換から有利なエンドゲームを迎えられると感じました。白ポーンを黒マスにすべて固定し、黒マスビショップだけを残せば黒に勝ちのチャンスがある、その判断自体は間違いではないのですが...

34... dxe4 35. Bxe4 Bd5?



ここはビショップ交換を焦りすぎました。本譜の流れを見ると、黒はg3、d4 だけがターゲットでは不十分で、白のbポーンも黒マスに固定しておく必要があることが分かります。そのため、黒はbポーンをb3 まで刺してから白マスビショップを交換するのが正解でした。35... b4 36. Kh2 b3 37. Bf3 Bd2 38. Ba3 Kc7 39. Kh3 (39. Kg2 Bd5 40. Bxd5 exd5 41. Kf3 Kc6 42. Ke2 Bc1 43. Kd3 Kd7 44. Ke2 Ke6 45. Kf2 Kf5 46. Kf3 f6-+) 39... Kb6 40. Bd1 Kc6 41. Bf3+ Kb5 42. Kh2 Be3 43. Bc5 Bd3-+ これでc4 のマスにキングを侵入させれば、d4 のポーンが落ちて黒の勝ちでした。

36. Bxd5 exd5 37. Kf3 Ke6 38. b3 Kf5 39. Bd6 Bc3


ここまで進めてみましたが、黒には決定打がありません。b2-b3 を許してしまったことで、c4 のマスを使えないことが上記の変化との違いです。

40. Bc5 Ke6 41. Ba7 Kd7 42. Bc5 Be1 43. Bf8 Bd2 44. Bc5 Kc6 45. Be7 f5 1/2-1/2



こうなってしまってはドローは仕方がありません。またビショップのエンドゲームは試合でも、本でも勉強しなおしてこようと思います。また次のトレーニングの機会も楽しみにしています。羽生さん、いつもありがとうございます!

2017/06/11

Saturday Lecture on 24th June 2017


Botvinnik, M - Yudovich, M
URS-ch08 1933
White to Play

【日時】 2017年6月24日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Combination of Positional Play and Tactical Play
【テーマ詳細】

チェスは99% がタクティクスだという名言がありますが、私はそれは少し違うと思っています。勝負の決定打はタクティクスであることも多いですが、そのタクティクスが成功するポジションに到達するためには、丁寧なポジショナルプレーが隠されているものです。目の行ってしまいがちな派手なタクティクスだけでなく、それを導くポジショナルプレーにスポットを当て、ゲームをご紹介させていただきます。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2017/06/02

CHESS STRATEGY FOR CLUB PLAYERS


先日の名古屋の大会で、優勝の副賞としていただいた2冊の本のうちの1冊がこちらです。オランダのIM Herman Grooten 著のCHESS STRATEGY FOR CLUB PLAYERS The Road to Positional Advantage は、2009年に1st Edition、今年の頭に3rd Edition が出版されています。Material Advantage、Passed Pawn、The open file などのテーマに各章で分かれ、丁寧に解説が書かれている良書です。自分の勉強とレッスンとどちらにも使いやすく、早くも重宝しています。

この本を読んでいて嬉しかったのは、さほど有名ではなくとも、非常に勉強になると個人的に注目していたゲームが取り上げられていることです。古典の名局としてよく取り上げられる棋譜ならばともかく、よくこれを見つけてきたな、といった感じです(笑)

Fischer, Robert James - Gadia, Olicio
Mar del Plata 1960 (3)

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bc4 e6 7. Bb3 b5 8. O-O Bb7 9. f4 Nc6 10. Nxc6 Bxc6 11. f5 e5 12. Qd3 Be7 13. Bg5 Qb6+ 14. Kh1 O-O 15. Bxf6 Bxf6 16. Bd5 Rac8 17. Bxc6 Rxc6 18. Rad1 Rfc8 19. Nd5 Qd8 20. c3 Be7

21. Ra1! f6 22. a4 Rb8?? 23. Nxe7+ Qxe7 24. Qd5+ 1-0


まだ半分ほどざっと目を通しただけですので、私の知らない面白いゲームもこれから出てくると思います。それを楽しみにして、今後も読み進めてみようと思います。素晴らしい本を賞品として用意してくださった名古屋チェスクラブの堀江さんには、とても感謝しています!

2017/05/31

FIDE Rating June 2017

5月最終日の今日、6月更新のFIDE レイティングを確認することができました。国内のレイティングと違い、FIDE レイティングは毎月更新ですが、今月は日本国内の数少ないFIDE 公式戦である全日本選手権が開催されたため、日本のプレーヤーも変動が多くなっています。上位で試合をしたメンバーの変動は以下の通りです。

Kojima Shinya 2401 (+-0)
Aoshima Mirai 2257 (-15)
Bibby Simon 2180 (-45)
Yamada Kohei 2168 (+32)
Schweizer Simon 2163 (-12)
Noguchi Koji 2150 (+89)


私は試算通り、9勝1敗1ドローで変動無しです。ベストレイティングである2403 を更新するのは、次の大会での楽しみにしておきます。他のメンバーを見ると、青嶋くんはレイティングを落としましたが、優勝した野口さんと3位の山田くんは大きくレイティングを上げ、ベストを更新しています。全日本のゲームを見る限り、2人とも2200に乗っても良い力はありそうですね。

他にも全日本選手権が初のFIDE 公式戦だったプレーヤーが5名、新規のFIDE レイティングを獲得しています。現在のアクティブプレーヤーは70名ですが、100名以上になると良いですね。また次の日本のFIDE 公式戦、8月のジャパンリーグも楽しみにしています。日本の現在のランキングと、全日本選手権での変動は以下のリンクを参考にしてください。

Japan FIDE Rating Ranking
Japan Chess Championship 2017

2017/05/29

Tokai Open 2017 Tournament Report


準優勝のScott さんと。入賞者には本やチェス盤など、立派な賞品がありました。

先週末は東海オープンに参加するため、昨年の秋の中部快速以来、久々に名古屋に足を運んできました。中学生で愛知県選手権、高校生で名古屋オープン、大学生で中部快速オープンと、名古屋の大会デビューしてきましたが、東海オープンは今回が初めてです。40分+30秒を1日で4R はかなりハードでしたが、なかなか面白いゲームを指すことができたと思っています。

Scott, T - Kojima, S
Tokai Open 2017 (3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. g3 d5 4. Nf3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O c6 7. Nbd2 b6 8. Qc2 Bb7 9. e4 Na6!?



全日本の篠田くんとの試合でも使ったのが、Catalan でNb8-Na6 と組むセットアップです。白がQd1-Qc2 と指してきた際に有効で、Na6-Nb4 を狙いつつ、d7 と同様にc5 をサポートし、c6-c5 のポーンブレイクを目指します。

10. e5 Nd7 11. Rd1


白がセンターポーンを交換しようとした場合は、11. cxd5 Nb4! 12. Qb3 Nxd5 と進めるがポイントで、黒は理想的なd5 のアウトポストにナイトを運ぶことができます。

11... Rc8 12. Nf1 Nb4 13. Qe2 dxc4 14. Qxc4 Ba6!?



少し悩みましたが、白マスビショップのダイアゴナルを切り替えることにします。すぐにc6-c5 と仕掛けても良さそうですが、4段目が開けば白はQc4-Qg4 と指してクイーンをキングサイドに振ることができるため、それを警戒しました。

15. Qb3 h6


これもこのラインのゲームをいくつか見る中で学んだアイディアです。15... Qc7 16. Bg5 と進み、黒マスビショップを交換する流れは、d6 のマスを弱めてしまい、将来的にナイトに侵入されるリスクがあると考えました。

16. Be3 Nd5 17. Rac1 c5 18. Qa4 Be2!



a7 を取らせても、a2 を後に取りかえせるので、Ba6-Bb7 と退くアイディアもあると思います。しかし、もう少し攻撃的に指してアクションを起こしてみたかったため、強気にビショップを跳びこませることにします。

19. Rd2 cxd4!?


この手は決して悪くありませんが、少し単調なポジションにしてしまうため、黒の面白みは減ってしまいそうです。代わりにコンピュータはa7 を捨てる変化を示しますが、とても読み切れません。

19... b5! 20. Qxa7 Rc7 21. Qa5 Bxf3! 22. Bxf3 cxd4 23. Rxc7 Nxe5!!


Analysis Diagram

24. Bxd5 Qxd5 25. f4 Nf3+ 26. Kf2 Ra8 27. Qb6 dxe3+ 28. Nxe3 Qxd2+ 29. Kxf3 Rxa2 30. Rxe7 Rxb2-/+
これで白キングが不安定な分、黒が有利という評価ですが、人間にとっては難しいです。

20. Rxc8 Qxc8 21. Bxd4



この手は多少ありがたいと思っていました。21. Rxe2 dxe3 22. Nxe3 Nxe3 23. Rxe3= と進め、黒の武器であるアウトポストのナイトを捌いてしまったほうが、白は安全だったでしょう。

21... Ba6 22. Rc2?


これも指したくなる手ですが、黒の次の手を見落としています。22. Ne3 Nxe3 23. Bxe3= とやはりナイトを捌くべきです。

22... Nc5 23. Bxc5 Bxc5



これで強力なビショップペアを得た黒が、はっきりと優勢になりました。f2 への攻撃は簡単には通りませんが、ゆっくりとチャンスを伺います。

24. a3 Bd3 25. Rd2 b5 26. Qd1 Bc4 27. h4 a5 28. N1h2 a4


実は2R の中原くんとのゲームでも色が逆でこのようなポーンストラクチャーになりました。黒はa4 にポーンを刺しておくことで、b2 のポーンを固定し、b2-b3 と指されないようにして白マスビショップを安定させます。

29. Nd4 Qc7! 30. Qh5?!



ジリ貧の白は一発逆転をかけて派手なカウンターを狙いたいところですが、これはきちんと受け切れて問題ありません。30. Nhf3 を試合中は考えていました。

30... Rd8 31. Ng4 Ne7!


dファイルを開きつつ、Ne7-Nf5 からキングサイドを守り、白のカウンタープレーを封じます。dファイルで対抗できるようになったことも、Qd1-Qh5 が黒にとってありがたいポイントです。

32. Nf3 Nf5 33. Kh2 Bd5 34. Rc2 Qa7 35. Ne1 Bb3 36. Rc3 Bxf2 37. Nxf2 Qxf2 38. Nf3 Qxg3+ 39. Kh1 g6 0-1



最後はf2 を崩したうえで、クイーンをトラップして黒の勝ちです。途中でイコールにされてしまう緩手はありましたが、全体としては上手く指せたと思います。

続く最終戦の古谷くんとの試合は、ちょっとしたミスでアドバンテージを逃してイコールのルークエンディングになってしまいましたが、最後に相手のミスを誘って勝ち。なんとか全勝で優勝することができました。参加者の皆さんと運営の堀江さん、今回もお世話になりました。また次の名古屋の大会、またはイベントでもよろしくお願い致します。


大会前日は三重県の伊勢へ。伊勢神宮の外宮最寄り駅、伊勢市駅までは近鉄名古屋から1時間40分ほどです。


外宮はゆっくり回りましたが、おかげ横丁が楽しすぎて内宮はパスしました(笑)


栄駅近くにある味噌カツの店、らむちぃにも久々に足を運んできました。味噌が甘く、矢場とんより好みの人もいると思います。

2017/05/20

麻布PTA講演会


今日は昼過ぎから、母校の麻布学園のPTA総会内で講演会を行ってきました。「Shinya Kojima 麻布を語る」と銘打たれていると、なかなか気恥ずかしくもありますが、後輩の親御さんと後輩たちを相手に1時間半、精一杯お話しさせていただきました。2014年には慶應義塾大学でも講演会に出席させていただきましたが、あの時は羽生さんら他の登壇者もおり、100人規模の講演会を1人で担当するのは今回が初めてです。緊張はしましたが、よく知る麻布での講演会ということで、自分とチェスの関り、現在の仕事のこと、学生時代の過ごし方などを中心に喋り、思っていた以上に楽しい時間を過ごすことができました。

講演会終了後もPTA と麻布チェス部の現役生からそれぞれ花束を頂いたり、打ち上げの席で恩師とお話しできたりと、とても満足な1日でした。半年前に今回の講演会について提案された際は、自分にできるだろうかと不安もありましたが、終わってみれば引き受けて本当に良かったと思えるものでした。今日、麻布の足を運んでくださった保護者と、総会の運営を取り仕切られたPTA の皆さん、そして試験前に忙しい時間を縫って講演を聞きに来てくださった先生方には、心から感謝しています。また別の機会にも、こうしてチェスのこと、自分のことをお話しできればと思います。

2017/05/16

Weekly Chess Puzzle Vol.36


Kuwata, S - Kojima, S
Summer Open 2014(6)
Black to move


Kojima, S (JPN, 2277) - Nakamura, R (JPN, 2183)
Japan Chess Championship 2009(4)
White to move

久々の出題はタクティクスとエンドゲームのセットです。1つ目の桑田くんとの試合は、2ピースルークで駒得している黒が、いかに白に反撃を許さずに勝ちを決めるか。2つ目の龍二さんとの試合は、白が押しているエンドゲームで、ここからどうポジションを改善するかです。答えが分かったかたは、いつも通りにコメント欄にどうぞ。

2017/05/13

国内レイティングS112

全日本前に集計されながらも、公開が遅れていた新しい国内レイティングを昨日チェックすることができました。ゴールデンウィークの全日本選手権、およびゴールデンオープンの参加者は会場でレイティングを知ることができましたが、他の会員は気になっていたでしょう。今回計算されたメンバーの、上位は以下の通りです。

Tran Thanh Tu 2491 (+2)
小島慎也 2487 (+7)
青嶋未来 2398 (+7)
馬場雅裕 2378 (-11)
Averbukh Alexander 2330 (-17)


上位にそこまで大きな変動はありませんが、私は自分のレイティングがプラスになったことに驚きました。ここに全日本とゴールデンオープンの結果を反映させたものが、6月末のレイティングとして公開されます。6月の集計までに行われる公式戦は、6/10、11 の快速選手権と、各地のクラブでの例会くらいでしょうか。私は2500に乗ることを期待しつつ、1か月半待とうと思います。いつも通り、変動のあったメンバーのリストは、松戸チェスクラブからご確認ください。

2017/05/07

Saturday Lecture on 13th May 2017


Kojima - Aoshima
Japan Chess Championship 2017(9)
Black to move

【日時】 2017年5月13日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Japan Chess Championship 2017
【テーマ詳細】

今年も全日本選手権では、例年に劣らない熱い戦いが繰り広げられました。そこで5月のレクチャーは例年通り、終わったばかりの全日本選手権から、私が注目したゲームをご紹介しようと思います。全日本に参加された方にも、そうでない方にも、今年の日本トップを決める試合の面白さをお伝えできればと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

Japan Chess Championship 2017 Day6


アルゼンチン大使と今年の全日本入賞者たち

今年の全日本選手権も無事に最終戦を終え、入賞者たちが決まりました。私は最終戦、4年連続全日本での対戦となる三ツ矢さんとの対戦を制し、9.5/10 でフィニッシュ。対する野口さんも1B でAlex を下し、単独優勝を決めました。野口さん、初の全日本選手権優勝、本当におめでとうございます!

1st Place Noguchi Koji 10/11 (JPN, 2061)
2nd Place Kojima Shinya 9.5/11 (IM, JPN, 2401)
3rd Place Yamada Kohei 8/11 (FM, JPN, 2136)
4th Place Aoshima Mirai 8/11 (JPN, 2272)


私以外の3名は、全日本初入賞となります。久々の全日本で優勝をした野口さん、百傑の優勝に続き安定したプレーを見せた山田くん、私に勝ってトーナメントを盛り上げた青嶋くん、皆さん好ゲームを見せてくれ、最後まで面白い全日本だったと思います。私は今年も2位に終わりましたが、この数年の全日本で初めてFIDE レイティング+-0 で落とさず、国内のレイティングは2500近くまで上がりそうです。これを励みに、また今後も一層頑張っていきたいと思います!

そして忘れてはならないのは、今回入賞の4名には、来年の9月にジョージアのバツミで開催されるオリンピアードの出場権利が与えられることです! 野口さんはドレスデン以来2回目、山田くんはバクーに続き3回目、そして青嶋くんは初のオリンピアード出場のチャンスです。参加の意思確認はまだ先ですので、皆さんが参加するかどうかはまだ分かりませんが、このメンバーで臨めたら良いですね。言うまでもなく私はトリノから連続、7回目のオリンピアードに出場する気満々です。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Mitsuya, N (JPN, 2102)
Japan Chess Championship 2017 (11)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. d4 b6 4. g3 Ba6 5. Qa4



私はQueen's Indian Ba6 のラインには、長く5. Qa4 を指しています。試合前日にはMamedjarov のゲーム全てに目を通して準備をしてきました。

5... Bb7 6. Bg2 c5 7. dxc5 bxc5


かつて羽生さんもトレーニングで選択してきたラインです。7... Bxc5 8. 0-0 0-0 9. Nc3 Be7 10. Rd1 Na6 11. Bf4 Nc5 12. Qc2 Qc8 13. Rd4 d5 14. Rc1!? と指すのがもう1つの準備でした。

8. O-O Be7 9. Nc3 O-O 10. Rd1 d6 11. Bf4 Qb6 12. Rd2 Rd8 13. Rad1 Ne4??



三ツ矢さんはこの変化を深く知らなかったようで、早い段階でブランダーを出してしまいました。このようにピースを捌くのは黒にとって楽な展開になることが多いですが、このポジションではd6 へのプレッシャーを甘く見ています。代わりに13... h6!? 14. Qb5 Ne8 15. g4 という流れを予想していました。

14. Nxe4 Bxe4 15. Bxd6!


バックランクでのメイトがあるため、黒のd8 のルークは8段目を離れることができず、d6 を取りに来たピースを消すことができません。これで1ポーンアップとなった白は、黒のクイーンサイドのピースの展開とバックランクが弱いことを利用して、さらにチャンスを拡大します。

15... Bc6 16. Qc2 Bxd6 17. Rxd6 Rxd6 18. Rxd6 Qc7 19. Qd3 g6



ここでのポイントは、19... Bd5 20. Rxd5! exd5 21. Ng5!+- という流れでも白が勝勢だということです。黒は一時的にルークを取って駒得ですが、d5 とh7 取りのダブルスレットが強く、受け切ることができません。

20. Rd8+ Kg7 21. Ng5 Bxg2 22. Kxg2 1-0


最後は8段目のピンと、キングへのさらなる攻撃を受け切れず、黒はリザインしました。私は逆転優勝のために必ず勝たなければいけないゲームでしたので、こうして勝てて胸をなでおろすことができました。9R での負けが痛く、野口さんには一歩及びませんでしたが、勝ったゲームからも負けたゲームからも、学べることが多い全日本だったと思います。これから他のプレーヤーのゲームにも目を通し、面白い棋譜を発掘したいと思います。

最後になりますが、百傑に続いてChessResults を利用してペアリングを公開してくれたYumiさん、ありがとうございました。他の全日本およびゴールデンオープン参加者に皆さんもお疲れ様でした。今年の試合はまだ半分も終わっていませんので、全日本が終わっても燃え尽きず、また次の大会でお会いしましょう!

2017/05/04

Japan Chess Championship 2017 Day5 Tournament Report

今年の全日本もようやく終わりが見えてきました。私は7連勝をかけた9R、青嶋くんとの難しい勝負を悪いエンドゲームにしてしまい、挽回できずに負け。競り続ける野口さんは勝って、9R 終了の時点でトップが入れ替わりました。0.5P 差で私が追いかける展開となり、10R は大多和くんとの対戦になります。

Otawa, Y (JPN, 1920) - Kojima, S (IM, JPN, 2401)
Japan Chess Championship 2017 (10)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 c6 6. a3 Ba5 7. b4 Bc7 8. e4 d6



Nimzo-Indian Rubinstein の5. Nge2 ラインに2回目となる5... c6 を試します。白がe3-e4 とセンターポーンを突きなおした際は、d7-d6、e6-e5 の形で対抗することにします。

9. Ng3 Nbd7


私としては、この手は当然入れておくものだと思っていましたが、試合後にデーターベースを調べてみると、9... e5 10. d5 a5 からNb8-Na6 とする棋譜が多かったです。確かにc5 がアウトポストになれば、ナイトはa6 から跳んで使いやすいですし、c8 の白マスビショップは利きを開いたままでf5 をサポートしています。

10. Bd3 e5 11. d5 Re8 12. O-O Nf8 13. Qc2 Bb6!



黒マスビショップをc7 に置いたままではいけないので、a7-g1 のダイアゴナルに切り替えます。このビショップは白キングを狙い続けても良いですが、白の黒マスビショップと交換してももちろんOKです。

14. Na4 Bd4 15. Bb2 Bxb2 16. Qxb2


黒マスビショップの交換は黒の注文通りで、バッドビショップを捌けたうえ、Nf8-Ng6-Nf4 というマヌーバリングがやりやすくなります。

16... cxd5 17. exd5



ここはどちらで取り返すか迷うところですが、17. cxd5 Bd7 18. Nc3 Qb6 と組めれば、黒に大きな不満はないでしょう。大多和くんは将来的なc4-c5 を目指してeポーンで取りかえしたようですが、もちろん黒はそれを警戒して簡単に実行させません。

17... Ng6 18. Rac1 Nf4 19. Bb1 b5!


ポーンのブレイクはこのタイミングだと思いました。これで白のポーンをバラバラにし、黒がセンターポーンの厚みを持つようになります。

20. cxb5 N6xd5 21. Nc3?



ゲーム中、これではっきり黒が有利になったと感じました。21. Be4 Bb7 22. Rfd1 Qd7 のように進めていれば、g2 をカバーして白はまだ戦えたでしょう。

21... Nxc3 22. Qxc3 Bb7 23. Be4?? Bxe4 0-1


e2 のフォークの見落としはもったいなかったですが、23. f3 Qb6+ でもb5 のポーンを取って黒の優勢は明らかです。大多和くんとしては不満の残る内容だったと思いますが、私は敗戦のショックを引きずらなかったので一安心です。

先に試合を終え、1B の結果を待ちますが、野口さんはここまでの勢いをそのままにこの試合も勝利。0.5P差を残したまま、明日の最終戦を迎えることになりました。気になる最終戦のペアリング、上位ボードは以下の通りです。

Noguchi(9) - Averbukh(6)
Kojima(8.5) - Mitsuya(6)
Yamada(7.5) - Hiebert(6)
Shiomi(6) - Aoshima(7)
Higashishiba(6) - Nakamura(6.5)


泣いても笑っても明日が最後です。この5B の結果次第で、入賞の4名とその順位が決まります。それでは皆さん、最終日もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2017 Day4 Tournament Report


全日本も4日目を迎え、上位の争いもますます白熱してきました。前日に野口さんとの直接対決を制して0.5P リードした私は、今日も逃げ切りのためにポイントを伸ばしにいきます。午前中は山田くんに、Caro-Kann の研究していたラインがうまく決まって勝ち。そして午後は混戦の4.5/7 グループから、古谷くんがトップボードに上がってきました。

Kojima, S (IM, JPN, 2401) - Furuya, M (JPN, 1961)
Japan Chess Championship 2017 (8)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 c5 7. dxc5 Bxc5 8. Qc2 Qa5 9. a3 Nc6 10. Rd1 Ne4 11. cxd5 exd5!?



このナイトが飛び込む変化は11... Nxc3 12. Qxc3 Qxc3+ 13. bxc3 exd5 14. Rxd5 Bxa3 15. Nd4!+/= と指すものだと記憶していたので、先にポーンを取りかえされて考え込みます。上記のラインに手順前後する可能性もありますが、黒から勝負するならエクスチェンジを取りに来るでしょう。

12. Rxd5 Nxc3 13. Qxc3 Bb4!?


この手で黒は駒得ですが、白のダブルビショップは強力で、十分な代償があるだろうと感じていました。f7、g7 へのプレッシャーを中心に、白は黒のルークが活きにくい展開を目指します。

14. axb4 Qxd5 15. b5! Nd8 16. Bc4 Qh5 17. Be5!



このアイディアが重要で、g7 を攻撃しつつ、5段目を閉じて黒のクイーンの行き場を狭めます。黒マスビショップが存分に働ければ、白はエクスチェンジが足りていなくても戦えると思っていました。

17... Ne6 18. O-O Qh6 19. Bd5!


これもポイントになるアイディアで、b7 をアタックしておくことで、黒の白マスビショップを使いづらくします。

19... Bd7 20. Qb4 Nd8 21. Nd4 a6 22. Qe7!?



試合中、この手で勝っただろうと思っていましたが、さすがにそれは気が早すぎました。コンピュータの評価は22. Bd6! Re8 23. Ra1 で白が少し指しやすいというものです。確かに、ルークがまだ活用できていない以上、焦らずじっくりと構えるべきでした。

22... Bxb5 23. Nf5?!


g7 とe7 のマスを目指す攻撃的なアイディアですが、実際には黒が上手く受け切れます。ここは23. Nxb5 axb5 24. Qc7 でじっくりといくべきだったかもしれませんが、それではQb4-Qe7 と飛び込んだ甲斐があまりなく、つまらないように思えてしまいました。

23... Qg6 24. Bd6?



g7 へのアタックはあまりうまく決まらず、f1 のルークを取られてさらに駒損が広がってしまいます。そこでf8 のルークを別ルートから狙いに行き、エクスチェンジを取りかえすことにしますが、これにも黒はぴったりの受けがあり、上手くいきません。24. Be4! Nc6 25. Qh4 Bxf1 26. Kxf1 f6 27. Ne7+ Nxe7 28. Bxg6 Nxg6 29. Qc4+ Kh8 30. Bc3= ならば、おそらくドローになるでしょう。

24... Ne6?


ここは互いにミスが続き、白のチャンスが復活しました。24... Nc6! (本譜と違うのは、この瞬間にナイトがe7 を守っていることです。) 25. Bxc6 Qxf5! (この手を古谷くんは見落としていました。こうして駒を捌いてしまえば、白からの脅威はほぼなくなります。) 26. Be4 Qe6 27. Qxe6 fxe6 28. Ra1 Rf7-/+ これは純粋に黒のエクスチェンジアップで、黒勝ちになりそうです。全体を通して上手く指せたと思っていたゲームですが、この変化を検討で見つけ、実は厳しいポジションがあったことを知りました。

25. Qxf8+! Nxf8 26. Ne7+ Kh8 27. Nxg6+ hxg6



こうしてエクスチェンジを取りかえせれば、ダブルビショップを持つ白の優勢は明らかです。さらにb7、f7 を同時に攻撃していることで、白は駒得になってエンドゲームに突入できます。

28. Rd1! Ne6 29. Bxb7 Rd8 30. Bf3 g5 31. h3 Kh7 32. g3 Ba4 33. Rd2 Rc8 34. Be5 Rc1+ 35. Kg2 Bc6 36. Rd6 Bxf3+ 37. Kxf3 a5?


時間が増える間際、もったいないミスでした。ポーンを黒マスに動かしてしまえば、白の黒マスビショップの餌食です。

38. Ra6 Rc5 39. Bc3 Rf5+ 40. Ke2 Kg6 41. Rxa5 Rxa5 42. Bxa5 Nc5 43. b4 Nb7 44. Bc7 Kf5 45. Kd3 g4 46. hxg4+ Kxg4 47. Ke4 1-0



この大事な4日目も2つ勝って、2日目からの連勝を6に伸ばしました! これで優勝に向けて大きく前進... してはいるのですが、後ろを0.5P差でぴったりと野口さんがつけてきています。明日の5日目の結果で、優勝の行方が左右されるでしょう。

Kojima(7.5) - Aoshima(5.5)
Noguchi(7) - Sano(5)
Yamada(6) - Nakamura(5.5)
Lorenzana(5) - Hirao(5)
Higashishiba(4.5) - Hiebert(5)


私は今日、初の連勝で上がってきた青嶋くんとようやく対戦です。私だけ彼を避けてそのまま逃げ切り、などという虫の良い話はありませんでしたので、ここでしっかりポイントを取ったうえで優勝したいですね。今年の全日本選手権も、いよいよ大詰めです!

Japan Chess Championship 2017

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