2017/01/29

Weekly Chess Puzzle Vol.33


Kojima, S - Nakagori, K
Matsudo Autumn 2006
White to move


Sakai, H - Kojima, S
Japan Chess Championship 2008(4)
White to move

1つ目は典型的なSicilian のポジションです。黒は少しゆっくり組みすぎたため、白にアタックのチャンスが生まれています。2つ目は同色ビショップのエンドゲームで、2コネクテッドパスポーンを持っている黒が勝てるかと思いましたが、45... Kd6? が悪く、白はここでドローにするチャンスがあります。いつも通り、答えが分かった方はコメント欄へお気軽にどうぞ。

2017/01/20

Weekly Chess Puzzle Vol.32


Kitagami, S - Kojima, S
Chubu Rapid 2016 (4)
Black to move


Yamada, K - Kojima, S
Summer Open 2016 (3)
Black to move

2017年最初のパズル出題です。2012-2013年頃の試合から出題することが多かったですが、今回は去年の試合からにしてみました。

1つ目は中部快速での北神さんとの試合です。黒は2ルークvs. クイーンで駒得していますが、どのように試合を決めれば良いでしょうか。2つ目は人生初のナイト+ビショップでのメイトとなった、山田くんとの試合です。白キングを追い詰めるアイディアは色々あると思いますが、このポジションでポイントとなる1手を探してみてください。回答はいつも通り、コメント欄へお気軽にどうぞ。

2017/01/14

Saturday Lecture on 28th January 2017


Erenburg - Kortschnoj / 2004
Black to move

【日時】 2017年1月28日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Useful Pawn Moves
【テーマ詳細】

2017年最初のレクチャーとなります。ポーンは最も弱い駒でありながら、相手のピースの動きを制限したり、自分のピースの動けるマスを確保したりと、とても重要な働きを担います。ポーンがどこにあり、どのような働きをしているかは、そのポジションにおける形勢と、その後の作戦に大きな影響を与えるでしょう。そこで今回は様々なポジションにおいて、役立つポーンの手とそのアイディアをご紹介しようと思います。

【参加費】 レクチャー代1200円+飲み物代200円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2017/01/13

Characteristic of A Tournament in U.S


年末のラスベガスのトーナメントについて、忘れないうちに色々なことを書いてみようと思います。今後、アメリカのトーナメントに参加することを検討しているプレーヤーに、参考にしていただければ幸いです。

・チェスセットと時計は持参


アメリカのトーナメントは、基本的にチェスセットと時計をプレーヤーが持参します。日本のトーナメントと違い、シートも用意されていません。用意されているのは、棋譜用紙だけです。そのため、必要な道具を忘れたプレーヤーは会場で購入するか、他のプレーヤーから借りる必要があります。私は他のマスターから借りたことも、逆に貸したこともあります。ラスベガスのNorth American Open では、上位3ボードまではチェスセットと時計の用意がありましたが、他はすべてプレーヤーの持ち込みでした。

このようなシステムに慣れているアメリカのプレーヤーは、試合道具一式をバッグに詰め、どこのトーナメントにも参加するでしょう。逆にヨーロッパやアジアのように、運営側がチェスセットから時計までを用意するのが当たり前の文化圏のプレーヤーは、かなり戸惑うと思います。ちなみに私は、ラスベガスの4R で当たったプレーヤーが、黒のピースだけが赤いチェスセットを持参しており、それで試合の準備をしていました。それは流石に勘弁してくれと、私のチェスセットに変更してもらいましたが、譲らなかった場合はどちらのチェスセットを使うか、揉めるかもしれませんね。

・タフな試合スケジュール


アメリカのトーナメントは持ち時間も長く、それで1日2試合する日も多いため、体力的にはかなりきついでしょう。1日6時間を超える試合が続く可能性もあります。夕方から始まったゲームが7時間を超え、日付が変わっても終わらないということも、かなり珍しいですがありえます。そのうえで夜の10時、11時から数時間かかるブリッツトーナメントを開催し、それに多くの参加者が集まるのも驚きです。

加えて、日本から参加する場合は大きな時差の問題があります。もちろんヨーロッパのトーナメントもありますが、ブダペストが8時間であるのに対し、ラスベガスは17時間です。この大きな時差に体調を崩すことなく、ハードなスケジュールで試合をこなさなければいけないことも、アメリカのトーナメントに参加する際の課題となるでしょう。


・遅いペアリング発表


ペアリングの発表については、私はアメリカのトーナメントには不満があります。今回、エントリーの際に登録したメールアドレスに、対戦相手の名前と色がメールで送られてくることもあり、そのこと自体は画期的だと思いました。しかし、その通知が早かったり遅かったり、タイミングはまちまちでした。HP 上での公開も遅い場合が多く、試合直前に会場前に紙で掲示されてるものを確認しなければいけませんでした。Swiss Manager とChess Results を使うヨーロッパ、アジアのトーナメントとはこの点でも大きく特色が異なり、初めてアメリカに参加したプレーヤーは戸惑うでしょう。

・独特の持ち時間


試合の持ち時間も、他とはかなり違います。North Ameican Open は40手2時間+30分+初手から1手10秒delay でした。このdelay のシステムは、時計によってはBronstein と記載されているもので、Fischerのように時間が増えるのではなく、決められた時間、持ち時間が減らないということです。つまり10秒delay であれば、指し始めた際に最初の10秒は持ち時間が2時間のままで、10秒を過ぎてから1時間59分になるということです。9秒使ってから指しても、1秒しか使わずに指しても、余った時間は加算されません。

delay はDGT の時計の裏には記載があるため、特殊すぎるものではないと思いますが、私は少なくともヨーロッパのトーナメントで見かけたことはありません。日本でもFischer システムの持ち時間か指し切りしか使わないため、初めての人はこの持ち時間の違いにも気を付ける必要があると思います。

・モンロイの利用


アメリカのトーナメントでは、モンロイを使います。モンロイとは、棋譜用紙に自分で棋譜を記録する代わりに、ディスプレーをタッチして駒を動かし、棋譜を記録する小型の機械です。モンロイで記録された棋譜は即中継されるため、観戦をしているプレーヤーにとってはありがたいでしょう。私は今回、インドのアジアジュニア以来、10年ぶりにモンロイを使いました。使い勝手も良かったので、棋譜を紙に書いたのは最初の3試合ほどで、残りは全てモンロイで記録しています。

ちなみにモンロイは使うことは義務ではありません。運営スタッフから試合前に「良かったら使ってね」と渡されます。希望すれば両者ともモンロイを使えますし、逆にどちらも使わなくてもOKです。ラウンドによっては、上位のボードの中継がなく、かなり飛んだ下位ボードの中継はあるという不思議な状況もありえます。この点も、見る人によっては自由、見る人によってはいい加減ともとれる、アメリカ独自のスタイルです。

このように書いてみると、持ち時間とモンロイを除いた上の3つに関しては、日本の大会のスタイルと似ているとも言えるかもしれません。今回は注意点や不満なことを多めに書きましたが、もちろんレベルの高さや盛り上がりなど、参加するべき価値は大いにありますので、今後も機会があればアメリカの大会にはチャレンジしてみたいと思っています。



2017/01/09

New Year Open 2017 Tournament Report


3連休の2日目である昨日は、新年チェス大会に参加してきました。昨年は仕事の都合で2試合しかできませんでしたが、今年は4試合のフル参加です。結果は上のクラスで、Lorenzana さんと並び、4連勝での優勝でした。入賞した皆さん、おめでとうございます!

1st Place Kojima, S
2nd Place Arkenette, L
3rd Place Katsuta, Y


今大会は愛知県の豊橋から、日系ブラジル人で構成されたMinamoto Chess Japan のメンバーが、10人以上のグループで参加していたのが印象的でした。ジュニアの参加者が増えたこともあり、A、Bクラスで過去最多の計60名を超える参加者がありました。いつもこうして大勢の参加者で賑わうと良いですね。

私は神田さん、坂井さん、逢坂くんに3連勝の後で、同じく全勝の勝田くんとの最終戦を迎えました。勝田くんの指すSlav 対策には、新しい変化を用意して試合に臨みます。

Katsuta, Y - Kojima, S
New Year Open 2017 (4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. e3 Be6!?



2年前のジャパンオープンでは、5... b5 6. a4 b4 7. Na2 とメインラインを指しました。それに不満はありませんでしたが、少し調べて面白いラインを見つけていました。

6. Ne5


6. Ng5 Bf5!? 7. Bxc4 e6 はオランダのGM Spoelman の実戦で見つけました。メインのClassical Slav に似ており、黒は大きな問題なく指せると思います。

6... g6 7. Nxc4 Bg7 8. Be2 O-O 9. O-O Nbd7 10. b3 c5 11. Bb2 cxd4 12. exd4?!



ここでIQP を作ることは、b2 のビショップとd4 のポーンの相性が悪いうえ、黒のピースがd4 へのアタック、d5 のアウトポストのコントロールにとても良い配置になっているので、白にとって良い作戦とは言えないでしょう。12. Qxd4 であれば、形勢互角でゲームは進みそうです。

12... Nb6 13. Nxb6?!


マイナーピースを減らし、白のアタックチャンスを減らすことは、IQP を持たせている黒にとって良い方針です。

13... Qxb6 14. Na4 Qd6 15. Bf3 Bd5 16. Nc5 b6 17. Nd3 Rac8 18. Ne5 Bxf3 19. Qxf3 Qd5 20. Qe2 Rc7 21. Rac1 Rfc8 22. Rxc7 Rxc7 23. Rd1 Qe4!



ずっとイニシアチブを握ってきた黒ですが、cファイルをコントロールし、c2 やc1 への侵入を見せたうえで、クイーンを交換すれば具体的に駒得のチャンスを得られるでしょう。

24. Qxe4 Nxe4 25. f3 Nc3 26. Bxc3 Rxc3 27. Rd2 Bh6!


この手が見えたため、Ne4-Nc3 の跳び込みを決断しました。これでd4 のポーンを取り、黒が駒得した状態でエンドゲームに突入します。

28. Re2 Be3+ 29. Kf1 Bxd4 30. g3 Bxe5 31. Rxe5 Rxf3+ 32. Ke2 Rc3



この2ポーンアップのエンドゲームは、手数こそかかるものの、黒が問題なく勝てるでしょう。

33. Rxe7 Rc2+ 34. Kd3 Rxa2 35. h4 Rg2 36. Re3 h5 37. Kc4 a6 38. Kd5 Rc2 39. Kd6 b5 40. Ke7 b4 41. Re4 a5 42. Kf6 Rc6+ 43. Kg5 Kg7 44. g4 Rc5+ 45. Kf4 hxg4 46. Re7 Rc3 47. Ra7 g3 48. Rxa5 g2 49. Rg5 Rxb3 50. Rxg2 Rb1 51. h5 b3 52. hxg6 fxg6 53. Kg5 Rc1 54. Rb2 Rc5+ 55. Kg4 Rb5 56. Kf4 Kf6 57. Kg4 Rb4+ 58. Kf3 Ke5 59. Ke3 g5 60. Ke2 Kd4 61. Kd2 g4 62. Rb1 b2 63. Kc2 Kc4 0-1


新年チェス大会は中学生の頃から数え、最多の8回目の優勝となりました。今年も良いスタートが切れたと考え、今後のトーナメントも頑張っていこうと思います! 次は3月の百傑戦でお会いしましょう。


試合後の夕飯は蒲田駅近くにできた牛カツのお店へ

2017/01/06

Queen of Katwe


Queen of Katwe のポスター、wikipedia より

Queen of Katwe はディズニーの制作で、昨年秋にアメリカで公開された映画です。全編に渡りチェスが登場するため、チェスファンであれば一度チェックしてみると良いでしょう。2年前の年末に日本で公開された、完全なるチェックメイトとは違った趣で、楽しめると思います。私がなぜこのタイミングで記事にするかと言えば、ラッキーなことにラスベガスからの帰りの機内で見ることができたからです。

ざっくりと説明しますと、ウガンダの首都、カンパラ郊外のカトウェで、1人の貧しい少女、フィオナがチェスと出会い、その世界にのめり込んでいって成長していく、というストーリーです。これはウガンダでの実話をもとに作られており、主人公他、登場人物の名前も実名です。チェスを通じたフィオナの成長と、家族愛がテーマだと言って良いと思います。映画の世界観は、以下のYoutube の動画や、記事も参考にするとつかみやすいと思います。

Queen of Katwe - Official Trailer -
チェスが与える希望、ウガンダのスラムの子供たち

完全なるチェックメイトでは、世界チャンピオンになった天才チェスプレーヤー、ボビーフィッシャーの成功と苦悩が描かれていましたが、一方でQueen of Katwe のフィオナは、全く違うごくごく普通の少女です。現代の話にもかかわらず、コンピュータも満足な研究の資料もない中、チェスが好きな気持ちだけで、初心者だった少女が成長していくという点が、ある意味で恵まれた環境の日本で育った、私たち日本のチェスプレーヤーに訴えるものがあると私は感じました。フィオナがチェスを勉強する様は少しだけ、猫を抱いて像と泳ぐの、リトルアリョーヒンを思い出させます。

Queen of Katwe は日本では未公開のため、今後、日本でどのようにこの映画を見ることができるかは分かりませんが、チャンスがあればまたご紹介したいと思います。こうした映画が最近製作され、公開されたことは覚えておいていただけると幸いです。

2017/01/04

2016 公式戦戦績


マン島での対局

年末にラスベガスでの試合を終え、昨晩帰国しました。大会が終わり次第書こうと思っていたのが、2016年の公式戦戦績についての記事です。JCA とFIDE 別の公式戦の戦績は、以下の通りです。

JCA公式戦

55勝6敗11ドロー、勝率84%

FIDE公式戦

23勝10敗13ドロー、勝率64%


国内での公式戦勝率は、85%を超えるか超えないかのラインを例年さまよっています。12月末の国内レイティング計算では、中部快速、函館での全勝優勝を含め、2476とベストを更新しました。しかし、大会の優勝自体はこの2大会のみでしたので、今年は東京の大会でも優勝を重ねられるように頑張りたいと思います。

一方でFIDE の公式戦は、バクーオリンピアード、マン島、ノースアメリカンと3大会に参加し、安定してIM としての実力を発揮することができたと思っています。最後のラスベガスでは、レイティングは-2ですが、これはペアリングの関係もあるので、多少は仕方のないことです。今後の海外大会の予定は未定ですが、今年こそ大きくFIDE のレイティングも上げたいと思っています。まずは5月の全日本選手権ですね。

2016年の戦績が良かった人も悪かった人も、また新しい年を迎えて、1つずつ試合を積み重ねていきましょう。あらためて、今年もよろしくお願い致します。今年も試合の場でお会いしましょう。

2017/01/01

North Amercan Open 2016 Day5


ラスベガスでの年越しとなりました。

17時間の時差があるラスベガスでも、年が明けて2017年を迎えました。皆さん、今年もよろしくお願い致します。新年最初の投稿は、残っていたラスベガス最終日のレポートです。

30日の朝、ペアリングを見て愕然としました。最終戦はアメリカのYoo Christopher Woojin に白です。彼はまだ10歳の1800台ですが、2200台、2300台からポイントを取り続け、初戦以外負けなしでここまで乗り切っていました。前日の8R でも隣のボードで、2300台後半のFM からドローを取っています。当たりたくない相手でしたが、決まってしまった以上、覚悟を決めるしかありません。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Woojin Yoo, C (USA, 1833)
North American Open 2016 (9)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 c6 6. O-O d5 7. Qb3 Ne4!? 8. Nc3 Nxc3 9. bxc3 Qb6 10. Qa3



ここは最初の直感では、10. cxd5 Qxb3 11. axb3 cxd5 12. Ne5 Nc6 13. Nxc6 bxc6 14. Bf4+/- と進めれば、a7 のポーンへのプレッシャーで白が優勢だと考えていました。ところがいざ指す段階になり、クイーンを残しつつターゲットにして、b7 へのプレッシャーを作るほうが良いように思え、プランを変更します。

10... Re8 11. cxd5 cxd5 12. Bf4 Nc6 13. Rab1 Qd8 14. Rfd1 e6


相手は手堅くd5 を守ってきます。これに対しては、c3-c4e2-e4 でブレイクをするつもりでしたが、d4 のポーンの守りのことを考えれば、eポーンでブレイクするのが筋というものでしょう。

15. Nd2 b6 16. e4 Bb7 17. exd5 exd5 18. Re1



プラン通りにd5 に孤立ポーンを残し、これに対して攻撃を仕掛けようとします。

18... Qd7 19. Qa4 Ne5?


Nc6-Na5-Nc4 を嫌い、クイーンを動かしてナイトをピンにしたところで、黒はこのクイーン交換を持ち掛けてきます。クイーンを交換できれば黒はプレッシャーを緩和できると踏んだのでしょうが、そう上手くはいきません!

20. Qxd7! Nxd7 21. Nc4!



この手を見つけて私は一安心できました。白はナイトがd6 に入れればもちろん良し、ナイトビショップの交換をしても良し、e3 にナイトを退いてd5 を攻撃できても良しと、完全に流れをつかんでいます。

21... Bf8 22. Ne3 Nf6 23. c4 Rad8 24. Bg5 Rd6 25. Bxf6


ここはどうするか非常に時間を使って悩み、残り15分程まで考えて、最もシンプルに駒得する手を選びました。c4-c5 からb6 のポーンを攻撃することも考えましたが、なかなか決定打が見えず、ダブルビショップを放棄してもポーンをすぐ取りにいく決断に踏み切ったのです。

25... Rxf6 26. Bxd5 Bxd5 27. Nxd5 Rxe1+ 28. Rxe1 Rc6 29. Ne3



3試合連続でビショップvs. ナイトですが、前の2つの試合と違うのはルークが残っていることです。これを上手く使うことができれば、前の2つよりもプレーは簡単だと感じていました。

29... f5 30. f4 Bd6 31. Kf2!


白のシンプルなプランは、キングをd3 まで運んでc4,d4 を守ってしまい、ルークとナイトを最大限アクティブに使えるようにすることです。

31... h5 32. a4 a6?



若い彼は勢いで指してポイントを取れることはあっても、エンドゲームの技術がまだまだだと感じました。こうしてb6 を弱めてしまうことは、自分の首を絞める行為です。

33. Ke2 Kf7 34. Kd3 h4 35. Nd5 g5 36. Rb1!


キングサイドがどうなるか完全には予想できませんでしたが、さすがにクイーンサイドで押し切るのが早いと判断してルークを使いにいきます。

36... Kg6 37. a5!? bxa5 38. c5 Bxc5 39. Rc1!+-



これでピースを取り、ゆっくりとdファイルのパスポーンをいかせば、白の勝ちは確定です。

39... Kh5 40. Rxc5 Re6 41. Ne3 Rf6 42. g4+ Kg6 43. gxf5+ Kh5 44. fxg5 Kxg5 45. Rxa5 h3 46. Ke4 Kh4 47. Re5 Rf8 48. Kf4 a5 49. Re6


残った黒のaポーンは、ステールメイト対策として、あえて取らずに残しておきます。計算の手間を省くこうしたアイディアも、小さな実戦のテクニックです。

49... Rh8 50. f6 a4 51. f7 Kh5 52. Nf5 a3 53. f8=Q 1-0



この日は青嶋くんも10歳のFM (レイティングは2100台!) と対戦し、勝利を収めています。互いに絶対に勝ちたい最終戦を白星で飾り、5日間のOpen セクションを終了することができました。

Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Feng, M (WCM, USA, 2120) 1-0
Kumar, N (FM, USA, 2251) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Zhang, P (CHN, 2278) 1/2-1/2
Mousseri, D (FM, USA, 2161) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
Chen, P (CHN, 2297) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Zhu, J Q (USA, 2288) 1-0
Friedel, J (GM, USA, 2510) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
Li, Z (FM, JPN, 2313) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yoo, C W (USA, 1833) 1-0

私は最終戦の勝利で6/9 となり、8位タイの14位でのフィニッシュとなりました。North American Open では、各セクションとも10位と同ポイントのプレーヤーまで賞金が出るため、私も入賞の対象となりました! 海外大会で戦績によって賞金を獲得したのは、2013年のチェコでの2大会、そしてイタリアの大会以来ですので、賞金の額にかかわらず、とても嬉しいです。しかしも今回は、5年前に大苦戦で3.5/7 しか取れなかったNorth American Open で、複数のGM, IM に交じっての入賞ですので、喜びもひとしおです! この数年間での自分の成長を感じることができました。最終順位は、こちらかから確認ができます。


優勝したのは、私が唯一敗れたGM Friedel J でした。全体を通して上位ボードで試合を続け、1敗もしなかったのは流石です!


30日の夜は、ベラッジオの専用劇場で公演されている、シルクドソレイユの「O」を観に行きました。事前の話に聞いていた通り、大胆な舞台装置と演出、全般に渡って水を使ったショーは、シリアスとコミカルが交じり合い、素晴らしかったです!


ホテルの外では、カナダから来ていた田中さん一家と偶然出くわし、記念撮影をすることができました。去年の夏、圧倒的な強さで小学生選手権とジュニア選手権を優勝した田中くんとは、また日本の大会でも再会できることを楽しみにしています。

最後になりましたが、今回のラスベガス遠征でお世話になった東野さんと青嶋くん、お二人ともありがとうございました! ともに遠征ができて、とても楽しかったです。また2017年も、国内外の大会でよろしくお願い致します。応援してくださった皆さんにも、心から感謝致します。

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