2017/09/25

Isle of Man International 2017 R2


会場に一歩入ると大会の旗がお出迎えです。

マン島2日目はアメリカのNo.1 ジュニアプレーヤー、Xiong Jeffery との対戦です。アメリカでも注目の成長株で、ここ数年、名前を聞く機会がぐんと増えました。試合中はHikaru やCaruana も局面をチェックしにやってくるので、いやでも気合が入ります。

Xiong, J (GM, USA, 2633) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Isle of Man International 2017 (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 Bf5 5. Nc3 a6 6. Bd2 e6 7. Nh4 Bg4 8. Qb3 b5 9. cxd5 exd5 10. h3 Be6 11. Qc2 g6 12. Nf3 Nbd7 13. Bd3 c5 14. dxc5 Nxc5 15.
Nd4 Rc8



ここまではJapan League のXu Yinglun 戦と同じ流れで、黒は満足です。白はアウトポストを持ちますが、黒はピースがアクティブで、自分の弱点を十分にカバーできそうです。

16. Rd1 Bd6 17. a3 O-O 18. b4


この手は将来的にc4 のマスを弱めるため、少し不自然に感じました。ナイトビショップの交換をどうするか、選択肢をここまで残しておきましたが、こうなれば取って勝負です。

18... Nxd3+ 19. Qxd3 Rc4



私のプランは、弱めたc4 のマスを早く活用し、cファイルにルークをダブル、ないしはクイーンも入れてトリプルに重ね、オープンファイルをコントロールすることでした。これも良いプランですが、Xiong からは試合後、19... Nd7! からナイトをe5 経由でc4 に指すアイディアがあると指摘されました。確かにこれも良さそうです。

20. O-O Bb8 21. f4 Qc7 22. Nce2 Rc8 23. Bc1!


これはすっかり見通していた手で、考えてみれば黒マスビショップをa1-h8 のダイアゴナルで使いなおすのが自然です。g7-g6 と指したために弱くなっている黒マスをどうカバーするか、黒には工夫が必要になります。

23... Ne4 24. Bb2 Qd6 25. Ba1 Bc7 26. Nf3 Bb6



Bb8-Bc7-Bd8-Bf6 がオリジナルのアイディアでしたが、d4 のナイトが退いてa7-g1 のダイアゴナルが活用できそうであれば、ビショップをb6 に置いてe3 のポーンを狙ってみます。

27. Ne5 Rc2 28. Nd4 R2c7?!


この手に時間をかけすぎたのが、最後に時間切迫を生む要因になってしまいました。試合中に読み切れず切り捨ててしまった、28... Ra2! 29. Nef3 Qc7!-/+ ならば黒良しでした。私はa2 に潜り込んだルークが生きられるのか自信が持てず、このアイディアをあきらめてしまいましたが、クイーンをcファイルに置き、c4 でぶつけてしまえばa2 のルークがトラップされることはなさそうです。

29. f5!



Xiong はこの手をあまり時間をかけずに指してきました。私としては最も警戒していた手だっただけに、このタイミングで指してくるのは意外です。こうなればナイトを取って勝負するしかありません。

29... Qxe5 30. Nxb5?


Xiong は29... Qxe5 を過小評価していたようで、最も良いディスカバードアタックが何か、かなり悩み始めました。30. Nxe6? Rc3!-+ ならば、黒はエクスチェンジを捨て、e3 のポーンを取って勝ちとなります。正しくは30. fxe6! fxe6 31. Nxb5 Qg5 32. Nxc7 Bxe3+ 33. Kh2 Bf4+ 34. Kh1 Ng3+ 35. Kg1 Nxf1 36. Rxf1 Rxc7 37. Qxa6= これで形勢互角でした。Xiong は検討では、31... Qg5 で白に面白みがないと言っていましたが、それでもこの変化しかなかったようです。

30... Nc3?



しかし、私も正しい手を見つけることができませんでした。黒の正解はdポーンを押し進めてa1-h8 のダイアゴナルをブロックする30... d4! です。以下、31. Nxd4 (31. Bxd4 Qxb5 32. fxe6 Qxd3-+) (31. Nxc7 Bxc7-+ なんとQd6-Qh2 がメイトスレットのため、白はビショップを取ることができません!) 31... Bc4-+ でいずれも黒勝勢です。私はe3 のポーンへのアタックこそが黒のカギだと思い込んでしまっていたため、自分からビショップのダイアゴナルを閉じるアイディアを完全に頭から切り捨てていました。時間切迫もありましたが、落ち着いてすべての可能性を考慮しなければいけませんね。

31. Nxc3 Rxc3?


白の30手目が予想外だったことで動揺したか、悪手が続いて苦しくしてしまいます。31... Qxe3+ 32. Qxe3 Bxe3+ 33. Kh2 d4! 34. Nb5 Bb3 35. Nxc7 Bxd1 36. Rxd1 Rxc7 37. fxg6 hxg6= ならば、まだ形勢互角でゲームは続きます。おそらくここまでくればドローになるでしょう。

32. fxe6 fxe6?



頭の中では、32... Qxe3+ 33. Qxe3 Bxe3+ 34. Kh2 fxe6 35. Bxc3 Rxc3 36. Rf6+/- この形をイメージしており、黒は駒損ながら、センターの2コネクテッドパスポーンでなんとかできるかもしれないと読んでいました。ちなみに32... Rxd3? 33. exf7+ Kf8 34. Bxe5 Rxd1 35. Bd6+! Kg7 36. f8=Q+ Rxf8 37. Bxf8+ Kg8 38. Rxd1+- これは完全に白勝ちです。

33. Bxc3 Qxe3+ 34. Kh1!+-


これで上記の変化にならず、白の勝勢です。

34... Rxc3 35. Qxa6 1-0



a6 が落ちてメイトスレットを作られてしまうようでは、センターのパスポーンも働きません。30... d4! の勝ちの手が見えなかったのは残念ですが、2600台ともしっかり渡り合えると自信をもって、次のラウンドに臨みたいと思います。


試合後は2日遅れでマン島に到着した妻、私と同じマスターセクションに参加している大山くんと3人で、イタリアンレストランへ。大山くんはこの日、Naiditsch の奥さん、Yuliya さんとドローでした。今回、下が上からポイントを取るゲームも多く目にしていますので、まだまだ大会は荒れそうです。

私は3R、ロシアのGM Riazantsev を引き当てました。尊敬するCaro-Kann プレーヤーとして、たくさんの試合を勉強させてもらっています。なかなか大変なペアリングですが、胸を借りるつもりで、引き続き頑張ってきます。

2017/09/23 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Dahl, B (ENG, 1974) 1-0
2017/09/24 R2 Xiong, J (GM, USA, 2633) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
2017/09/25 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Riazantsev, A (GM, RUS, 2666)

Isle of Man International 2017 R3 Pairings
Isle of Man International 2017 Live Games

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