2018/04/18

Melkumyan's Endgame Technique

最近はなかなかブログが更新できていませんが、全日本に向けて毎日チェスの勉強は続けています。Chess24 ではEuropean Women's Championship、Chinese Championship などいくつかの大会を追っていますが、その中でも注目は18th Bangkok Chess Open です。Open クラスは先ほど6R が終了したところですが、トップボードではアルメニアのGM Melkumyan が、2試合連続で素晴らしいゲームを見せてくれました。

Tran, T M (GM, VIE, 2514) - Melkumyan, H (GM, ARM, 2669)
18th Bangkok Chess Open (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 Re8 6. a3 Bf8 7. Nf4 d6 8. Bd3 e5 9. Nfe2 d5 10. cxd5 exd4 11. Nxd4 Nxd5 12. Bxh7+ Kxh7 13. Qh5+ Kg8 14. Qxd5 c6 15. Qxd8 Rxd8 16. O-O



このゲームはこのポジションから見始めました。ここまでの手順が全く分からず、2回ほど初手から見直します。Nimzo-Indian の5. Nge2 Variation は私も何回か指されたことがあり、Rf8-Re8, Bb4-Bf8 のアイディアがあることは知っていましたが、このポーンサクリファイスの変化は見たことがありませんでした。黒はh7 で1ポーンを捨てていますが、ダブルビショップとdファイルのコントロール、白マスの将来的な使いやすさで代償を得ています。

16... Nd7 17. b4 Ne5


白マスビショップを消してしまった白は、d3,c4 といったマスにナイトを入られてしまいそうなことが気になります。そこで黒マスビショップを展開する前にe5 のナイトを追い返そうとしますが、黒は巧みな手順でそれに対抗します。

18. Na4!? b6! 19. f4 c5! 20. fxe5 cxd4 21. exd4 Rxd4



センターのナイトは捌けましたが、代わりにe5 まで進んだポーンが伸びすぎでターゲットになりそうです。黒は相変わらずダブルビショップをキープし、d4 のアクティブなルークも嬉しい存在です。

22. Bb2 Rg4 23. Rac1 Be6 24. Rfe1 Rd8


ここは読み切るのが難しいですが、面白いアイディアがありました。24... a5! 25. Nxb6 Ra6! 26. bxa5 Rxa5 と進めば、黒はa3 とe5 をターゲットにしつつ、Bf8-Bc5+ も狙って楽しみにあるポジションです。

25. Nc3 a5!



Melkumyan は白がナイトを退き、b6 を狙えなくなったタイミングを見計らってaポーンを伸ばします。白はa3 のポーンがターゲットになれば、駒得を長く維持することは難しくなるでしょう。

26. bxa5 bxa5 27. h3 Rg3 28. Kh2 Rgd3 29. Ne4 Rb3 30. Rc2 Be7 31. Bc1 Rb1!?


私が面白いと思ったのはこの辺りです。黒は取りかえせるポーンを無視してプレーします。a3 のポーンを取ってパスポーンを作っても、ビショップを交換してしまうことは白に楽をさせてしまうとMelkumyan は判断したのでしょう。

32. Rce2 Rd3 33. Bb2 Rxe1 34. Rxe1 a4 35. Re2 Kh7 36. Bc1 Kg6



黒はポーンを取りかえすことを焦らず、キングのポジションを改善してチャンスを待ちます。

37. Nd6 Rc3 38. Bb2 Rb3 39. Bc1 Bh4 40. Re3 Bg5!


黒はb3 でのルーク交換か、a3 のポーンのタダ落ちか、嫌な選択を白に迫ります。a3 のポーンを取るだけであれば、もっと早い段階でBxa3 を入れても良いのでは? と思いましたが、ゆっくりキングをg6 まで上げてきたことで、e5 のポーンの負担が大きくなっていることがポイントです。

41. Rxb3 axb3 42. Bb2 f6!



白の最後の希望であるb3 のポーンのブロックを外すアイディを見つけ、黒は勝ちを引き寄せます。白はこのポーンを取るわけにいきませんが、そうなれば黒はeファイルにパスポーンを得て、白のピースの働きを制限します。

43. Kg3 fxe5 44. Kf2 Bd5 45. g4 e4 46. Nf5 Bf6 47. Bxf6 Kxf6 0-1


最後は黒マスビショップ同士をぶつけ、ブロックを外せば黒の勝ちです。エンドゲームであ焦らないことが肝心だと言われますが、Melkumyan はまさにそのことを盤上で見せてくれました。

ちなみに白を持っていたベトナムのTran Tuan Minh は、8年前、ブダペストで私と馬場さんが対戦しています。少年と呼べる年頃から海外に長期滞在して腕を磨き、現在はベトナム代表の座を狙える位置まで成長したTran Tuan Minh ですが、このラウンドでは2600後半のMelkumyan に力の差を見せつけられた感じがします。世界は広いですね。

そしてこのタイのトーナメントには、Open、Challenger 2つのクラスに日本から数名のプレーヤーが参加しています。今年のカペルに一緒に参加した阿部くんは、6R で1900に2勝目を挙げ、ここまで好成績を収めています。これらのゲームは帰国後、彼がブログで紹介してくれることを楽しみにしています。中継されている上位ボードでは、明日以降も面白いゲームが見られるよう期待しています。

18th Bangkok Chess Open R7 Pairings
18th Bangkok Chess Open Live Games


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